子どもの脳を傷つける親たち NHK出版新書 [Kindle]

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  • ・心の痛みが脳容積を変化させるという研究成果は衝撃的。脳の部位別機能を解明する実験はよく聞くが、各機能に影響を与える要因を経験の側面から解明するという研究は新鮮。こうした研究成果は、臨床につながり、意識変革につながり、教育・カウンセリング手法や制度につながりうるインパクトの大きいもの。
    ・マルトリートメントは行為の強弱、傷つける意図の有無に関わらず、結果的に“子どもが傷つく行為すべて”という定義は常に心にとめておくべきことと感じた。

  • 繊細な子どもの脳、壊すのは簡単だが、これを元通りにするのは莫大な時間と手間がかかる。そのことを考えると普段の関わり方が重要となるのは言うまでもないだろう。

    “マルトリートメント”と言う言葉は“虐待”と言う言葉と比べて、誰にでも起こりうるものだという意味合いがあるが、親自身もこのことを理解して自分の行動を省みる必要がある。親自身が、子どもの頃に満足な親の愛情を受けられなかったかもしれない。けれどそれを子どもにしわ寄せしてはならない。(本書で述べられているような回復プログラムではないが)そのような過去を受け入れ、自分と向き合うことで、これからの子どもとの接し方を考えてもらいたい(自戒の念も込めて)

    親とて完璧な人間ではない。外してはいけないところは外さなければとりあえずは良し、という心持ちで臨みたい。60点取れれば試験は合格。

  • 暴言やDVなどのマルトリートメントは、子どもの脳を変形させるほどのダメージがある。
    子どもを見守り、共感、その時の環境について癒してあげることで、改善することもわかっている。早期の治療が大事。

    子どもには褒め育てが大事。
    スキンシップ、話を聞く、見守ること。

  • 子どもの育成に対する親の不適切行動をマルトリートメントとし、それが子どもの脳に及ぼす影響について。回避方法と負の連鎖になってしまうことを防ぐ手段についても示されている。

    全体的にはエビデンスに基づいた正しい議論だとは思うが、こうやって子育てのハードルを上げていることが少子化につながっているので、これが良いこととも悪いこととも言えない。

  • この本のおかげで不適切な養育=マルトリートメントという概念を知れた。

  • この著者の他の本も読んだが、基本的には同じような内容。しかし、何回読んでも説得力があるし、理解がより深まります。
    子供にとって「安全」な場所が一番大切。マルトリートメントによってその安全が脅かされ、様々な症状がでてくる。
    このことを知っていると、昨今の自殺問題、イジメ、不登校など様々な社会問題がリンクしてくるように思える。親、親になる人、学校関係者は絶対に読むべき本です。もっとこの著者の活動が広まり、たくさんの人が救われることを願っています。

  • 本を読むと、マルトリートメントが子供の脳にもたらす影響が想像以上だとわかる。
    子供の前での夫婦喧嘩など、気をつけようと思わせてくれる本。

  • 虐待によって子供の脳に与える悪影響と,脳に与えた悪影響が引きおこす症状について解説.
    自分にとって大切な人間が被害にあっている状況を見ることで,直接的な虐待以上に脳にダメージを与えてしまうという話が一番怖かった.

  • 片親育ちの私は小学生の頃から生きづらさを感じていて、母親との関係に長い間悩んできたので読んでみることにしました。読み進めてすぐに、私が幼い頃から受けてきた扱いは"マルトリートメント"だったんだな、と確信しました。
    読みながら昔の記憶が蘇って、あの時悲しかったよね、辛かったよね、と幼い頃の自分を思い切り抱きしめてあげたいと思いました。
    親に嫌われては、捨てられては生きられない非力で無力な子供に対してするべきではないことを、私の母親はしていた。でも私にとって母親は自分が生きる世界そのものだからその行為に何も疑いをもたないし、むしろ自分が悪いからだと思っていた。けど、違った。
    ショックと怒りと悲しみで読み進めるのが辛い時もあったけれど、なんとか読了し、読んでよかったと思っています。
    自分が子供を育てるかはまだわからないけれど、子育てをしている時は教科書として常に読んでいたいなと思いました。

  • 虐待と言う言葉を「マルトリートメント」と言う言葉で表現する。マルトリートメント=間違えた関わり方。この言い方をすると自分も関わり方を間違えているのでは?と言う疑問を持てる。マルトリートメントを受けた子どもは脳が変形する。

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著者プロフィール

小児精神科医。医学博士。福井大学子どものこころの発達研究センター教授。熊本大学医学部医学科修了。同大学大学院小児発達学分野准教授を経て、2011年6月より現職。福井大学医学部附属病院子どものこころ診療部部長兼任。2009─2011年および2017─2019年に日米科学技術協力事業「脳研究」分野グループ共同研究日本側代表を務める。著書に『子どもの脳を傷つける親たち』(NHK出版新書)、『新版 いやされない傷』(診断と治療社)、共著に『虐待が脳を変える─脳科学者からのメッセージ』(新曜社)などがある。

「2019年 『親の脳を癒やせば子どもの脳は変わる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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