消失!(『中西智明掌編集』特別書き下ろし収録) (講談社ノベルス) [Kindle]

著者 :
  • 講談社
3.50
  • (1)
  • (3)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 46
感想 : 6
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (386ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 消失!
    200813読了。
    今年64冊目今月5冊目。
    #読了
    #消失
    #中西智明

    図書館本。入手困難。
    寡作の著者唯一の長編。
    この年代にこの年齢でこのミステリをかけるのはぶったまげる。

    正直3度仰天した。
    また、文庫版の表紙にもある仕掛けがしてある。読後確認したが、さらにやられた!感がある。

    惜しむらくはこの一作で作者も消失!したことか。

  • 消失という中編と、ショートショートを再アレンジした短編の構成。
    消失: コペルニクス的発想に加え、どんでん返しあり。ただ後味は良くない。まず構想ありきのようで、辻褄合わせ感あり。とは言え、斬新な作品であるし、ライト感あり、十分楽しめた。

  • お勧め度:☆7個(満点10個)。読み終えて一番の感想は、何とも後味悪い、腑に落ちないミステリーだと思う。これが、ミステリーファンの中で本格ミステリーと評されることがちょっと不思議な気がする。さすがに、私も最初は騙されていた(誰でもそうだろうけど)これはミステリーの根本を崩す展開だと思う。ネタバレなので言えないけど、それを知れば何とばかばかしいとさえ思う。要するに解説でも言っているように、消失マジックなのだ。「人間消失」のミステリーの本質を覆すような作品と言えるかもしれない。ただ、それはタブーとも言える。

  •  中西智明というミステリ作家をご存知だろうか。1990年に、講談社ノベルスから初版刊行されたこの作品が、唯一の単行本である。以下に、過去に書いた感想を転載する。

    -----

     なぜ著作リストがないのかというと、中西智明さんの著作は本作一作のみだからである。同志社大学在学中の1990年10月に講談社ノベルスから刊行され、1993年7月に講談社文庫化されたが、それ以降次作は刊行されず、本作も絶版となってしまった。

     そんな本作だが、本格ミステリーが好きな方限定の作品であると、まず断言しよう。ストーリー性は皆無。単純かつ大胆なトリックこそミステリの命、と言ってはばからないだけあって、読者を騙すことのみに特化している。一切の濁りのなさは、さしずめ本格ミステリーの大吟醸とでも言うべきか。

     タイトル通り、死体と真犯人の消失を扱っている。大きく分けて三つの罠が仕掛けられているのだが、わははははは、これはやられました。露骨すぎるくらいの伏線が、あっちこっちに張られているではないか。文庫版では、さらに堂々と…。でも騙された。実に愉快痛快。うーん、至福の一時であった。

     と僕は拍手喝采を送りたいのだが、人によっては青筋立てて怒りまくることうけあいだろう。本格のスピリットを凝縮した作品であると同時に、本格嫌いな人が指摘するところの欠点を凝縮した作品である。それでいいのだ。だからこそ、綾辻行人さんや我孫子武丸さんの後押しが得られたのだろう。

     一日も早い再会を期して…とあとがきは結ばれているが、結局再会は果たされぬまま。本作のような作品でデビューしてしまうと、後が続かなくなるのも無理はない。読者を騙し続けるプレッシャーの大きさたるや、さぞかし神経をすり減らすに違いない。常に際どい勝負を強いられるのだから。

     この先、中西さんの新刊が刊行されることは期待薄だが、もしも刊行されたら著作リストを作成しよう。同時に、本作の復刊もお願いしたい。本格好きを自認する方は、是非古本屋を探してみよう。手に入れるなら、ノベルス版より文庫版がお薦めだ。その理由は、ここには書けない。

    -----

     僕は書籍版も所有しているが、今回電子書籍版を購入したのには、理由がある。電子書籍限定で、『中西智明掌編集』が、特別書き下ろし収録されているという。かなり期待して、その掌編集を読んでみた。

     ………。7編とも、掌編と呼ぶには中途半端に長いが、何よりとっても期待外れ。まとめ部分もとってつけた感じだし、お金を取れるレベルではないだろこれ。「結界」の話とかは、膨らませる余地がありそうだが、あくまで本編のおまけと思っておいた方がいい。

     ミステリ業界との接点は持っていることはわかったが、本気で単行本第2作を出す気はなさそうである。あ、本編は本格好きならお薦めですよ。

全6件中 1 - 6件を表示

中西智明の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×