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感想・レビュー・書評
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〈羽州ぼろ鳶組〉シリーズ第二作。再読のため電子書籍版でレビューを書く。
前作で「ちょっとやり過ぎでは…」と引き気味になった「黒幕」だが、今回は更なる陰謀を仕掛ける。
前作同様江戸の町に放火するのだが、事前に管轄の大名火消頭の家族を誘拐し火事が起きても出動しないように脅迫したのだ。
ここにも当時の火消ルールが重要な背景になっている。火事が起きればまず担当の大名火消が太鼓を打ち出動、その後町火消が半鐘を鳴らし出動、そして初めて消火活動に当たることが出来る。この順番を守らなければ厳罰に処せられる。
つまり家族を人質に取られた大名火消が太鼓を打てないと大名火消はもちろん町火消も半鐘を鳴らせず消火活動が出来ない。
火消たちももちろん指を咥えて火が燃えるのを見ているわけではない。直接的な消火活動は出来なくとも周囲の建物を壊して火除地を作ったり住民たちを避難させたりと救助活動にシフトしている。
だが大名火消が脅迫を受けているとは知らない源吾ら新庄藩火消は太鼓を鳴らさない大名家に押し入って無理やり鳴らしたり、ついに法度を犯して半鐘を鳴らしてしまう町火消の万組・武蔵も現れる。
法や秩序を犯してまで火事を止めようとする火消たちを嘲笑うかのように続く放火と誘拐事件。それは町の人々の不安だけでなく、火消たち同士の不安や不信までを招くことに。「黒幕」の狙いは江戸の町を焼くことよりも人々の心を荒ませることなのかも知れないと源吾は気付く。
そんな中ついに魔の手は加賀鳶・大音勘九郎にも。
なんと陰険で残酷なテロ事件を起こすのか。そこまでして権力を奪いたいのか。前作にもまして「やり過ぎ」感はあるが「黒幕」のやり方が陰険で残酷で執念深いほど源吾たち火消集団の矜持や立ち向かう力が際立ってくる。
大音の覚悟にも畏れ入るし、大音の覚悟を止めようと文字通り身体を張る部下の牙八の忠義も凄い。
火事も誘拐も止めると張り切る源吾らの活躍も良いし、それを後押しする妻の深雪も格好良い。
三枚目な新之助が再び剣術シーンでは抜群の切れ味を見せるし星十郎も知恵袋の本領を発揮する。
「黒幕」側の実行部隊・風早の危険キャラも立っていて最後までハラハラした。
最後と言えば大火事を鎮火させるためのトンデモ作戦は再読でも面白かった。こんなことして大丈夫か?と思いつつも痛快だった。
例のライバル・鵜殿もすっかり良いヤツになってちょっと拍子抜け。残念ながら長谷川平蔵は京都へ栄転したが、田沼意次は相変わらず頼もしい。
そうそう、この第二作で武蔵が仲間入りになったのだと思い出した。源吾に対する誤解が解けて良かった。
そして源吾はついに父親に…。
だが「黒幕」の執念深さはまだ続いていたはず。今後も折を見て読み返していこう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
内容(「BOOK」データベースより)
「八咫烏」の異名を取り、江戸一番の火消加賀鳶を率いる大音勘九郎を非道な罠が襲う。身内を攫い、出動を妨害、被害の拡大を狙う何者かに標的にされたのだ。家族を諦めようとする勘九郎に対し、「火喰鳥」松永源吾率いる羽州「ぼろ鳶」組は、大音一家を救い、卑劣な敵を止めるため、果敢に出張るが…。業火を前に命を張った男たちの団結。手に汗握る傑作時代小説。 --このテキストは、paperback_bunko版に関連付けられています。
令和3年9月27日~30日 -
去年1巻めを読んで、まー面白いと最後に思った。最初はちんたらっていうか、まあ1巻なので、登場人物紹介みたいな。ただ、ラストになると続き読みたい!と。で、1年待ちましたwセールをね。正確には、1年と3ヶ月。セール来たので、半額になったものだけ、ばーっと大人買いで。現在もセール中!
1年空いてしまったので、ん?誰だとぼろ鳶組以外の人はなかなか思い出せなかったけど、おかまいなしに、ぐいぐいラストまで力強く引っ張ってくれる良作でした。
熱い男たち、しかもイケメンが山盛りで楽しいお話です。続き楽しみ。
とはいえ、続き読んじゃうとなくなっちゃうなー、という
私の悪癖がね……。ああ、もったいない、って後回しにしちゃうんだよね、どうにかなんないかね。