マザリアン : 3 (アクションコミックス) [Kindle]

著者 :
  • 双葉社
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感想・レビュー・書評

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  • 全3巻を一気読み。
    面白かったけど、面白さが説明しにくいマンガでもある。「こんなマンガ初めて読んだ」と思えるほど独創的な作品だ。

    「ひずみ」と呼ばれる怪現象――それに巻き込まれると、そこにある別のもの(生物でも非生物でも)と自分が「融合」してしまう――が、世界を覆ってしまった時代が舞台。
    融合してしまった者は、「融合者」と呼ばれて差別される。タイトルの『マザリアン』とは、「混ざってしまった者」=融合者のことだ。

    ケンカをくり返す不良高校生・木屋俊郎と、進学校でイジメを受けている女子高生・野々宮桃子は、偶然2人でいたときに「ひずみ」に遭遇してしまう。

    その遭遇によって、俊郎は桃子の飼い猫と融合して猫人間になってしまう。
    一方、桃子は猫の体についていたノミと融合し、(見た目は変わらないものの)ノミ人間になってしまう。人間離れした跳躍力を身につけ、人の血を吸うと元気百倍になり、時に吸血願望が抑えがたくなるのだ。

    元のフツーの人間に戻る方法を求めて、俊郎と桃子の冒険が始まる……。というような話。

    コミックスのジャケの印象から〝ほのぼのファンタジー〟的な内容を思い浮かべるかもしれないが、全然ほのぼのしていない。
    カワイイ絵柄ながらも、ド迫力のアクション・シーンが頻出する。また、ときどき意表をつく形で黒い笑いが組み込まれ、ブラックコメディ色もある。

    すごく奇妙な物語なのに、骨格となるのは甘酸っぱいボーイ・ミーツ・ガール・ストーリーであり、風変わりな青春マンガなのである。

    生物とも非生物とも融合してしまうというアイデアは、諸星大二郎の初期傑作短編「生物都市」へのオマージュかもしれない。

    また、作品全体のテイストは、伊図透の傑作『ミツバチのキス』を彷彿とさせる。異能力を持ってしまったがゆえに孤独になる主人公の〝旅〟を描く――という点が共通なのだ。

    惜しむらくは、ラストに明らかな尻切れトンボ感・失速感があること。もしかしたら、打ち切りによる失速なのかもしれない。

    本作が面白かったので、同じ作者の最新作『メイコの遊び場』の1巻も読んでみた。これまた面白さが説明しにくい、奇妙なマンガだ。

    岡田索雲(さくも)、要注目である。

  • これでおわりなんてひどいや

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