賢者の弟子を名乗る賢者 THE COMIC 2 (ライドコミックス) [Kindle]

  • マイクロマガジン社
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  • 人々行き交う世界と、そこを生きる空気が、空間として描かれている、そんな漫画です。

    主人公のミラ様が作品の表紙を飾り、間違いなく物語の華にして主役として気合が入って描かれていると思う『賢者の弟子を名乗る賢者』。
    コミカライズでも、ここ二巻にしてその真髄を早速見せていただけたと存じます。

    この辺は原作でも企図してることなのですが、ひとつの事件を解決するごとに新衣装が用意されていたりで、小説二巻の内容に突入したこの漫画版二巻でも、それを踏襲して早速着替えているのですね。

    コスチュームも相まって一ページ一ページ、ひとコマひとコマ、目を離せない見逃せない魅力を伴っているんですよ。
    主人公が小柄なので群衆で身長差が逆に映えたり、今回ダンジョン探索に同伴した女性陣と頭一つ以上違う分、視線の合わせ方がスキンシップを生んだりとか、漫画ならではの躍動感が素晴らしいと思う次第です。

    同時に、今回の護衛対象であるタクト少年相手にも身長差からか姉のような母のような存在感を発揮しているので、かなり奥行きの深い空間と人間関係を生み出していると思ったりしています。

    で、今回ダンジョン探索に同伴した大手ギルド「エカルラートカリヨン」の基幹メンバー四名との掛け合いも楽しいです。
    冒険の障害はかっ飛ばして、快適かつ迅速に目的地に辿り着き、旅先での人間関係や景勝を楽しむという原作のよさをしっかり再現しています。

    今後も旅の縁でご一緒する機会もあったりする面々ですが、黒髪ロングで面倒見のいいお姉さんエルフの「エメラ」を筆頭に、面倒見のいい兄貴分「アスバル」、お調子者のムードメーカー「ゼフ」、そして特に。

    ちっちゃくてかわいい女の子=ミラちゃんを愛するあまり、濃厚なスキンシップを図る残念美人「フリッカ」がヤバい。
    絵情報主体の漫画だからこその相性か、漫画家の力量か、テンポを損なわず、オンオフのギャップも相まって破壊力がすごいです。

    ほか、さらっと流された細かい一幕を膨らませ、掘り下げて書いているところも強いですね。
    作中でミラ様が言及した通り確かにベタだけどみんな好きですよね、兄が亡き妹との再会で涙と過去の後悔を洗い流し、前を向くシーンって。

    情報の総量はもちろん原作小説の方が上だとしても、細部は描かずポイントをピックアップすることで、原作を楽しく読む方法を指南してくださっている気もします。
    さりげなく漫画オリジナルも加えられており、今後の布石として機能していたりもします。
    原作に寄り添いながら、独自の面白さも追求するコミカライズの理想のひとつなのかもしれません。

    そしてここまでで原作小説二巻前半部までを消化。
    まったく飾り気のなく面白みのないデザインだけど、だからこそ人類への純粋な脅威であり「敵」という認識を植え付ける「悪魔」との対峙と、退治へ向けて不敵に笑むミラ様の勇姿で〆です。
    いよいよ敵対に値する相手との本格的な戦闘に入るわけです。読者諸姉諸兄が存分にミラ様の可愛さを味わったあとだとして、当然格好良さも十分に受け入れられるはずだと、そう信じています。

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