東大助手物語(新潮文庫) [Kindle]

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  • 教授がオーバードクターの助手ために、助教授(当時)のポストをきちんと配慮してくれるということは、東大だからこそできることであり、またなんて、幸運なことなのかと思った。時代背景を考えても、他の国立大学では、考えられない。
    中島氏の行動について、社会人として組織で生きる上では、全く不十分であり、まるで傍若無人な印象を受けた。その様な人間に対しても、何とか就職させようとしてくれ、実際に准教授ポストをあてがってくれた糟谷教授ー谷嶋喬四郎は、人格的、には、尊敬することができなくても、ありがたい感謝すべき上司なのではない考えた

    私がかつて社会人になる前の大学生の頃は、『孤独について』を中島氏の思考をまるで、自分の思考のように追体験し、興奮して読んだものだった。 しかし社会人として四十を過ぎた現在、中島氏の自分の思考感情を最優先し、他者への配慮がないという行動言動は、組織に生きる社会人として、不適切ではないかと考えるようになった。仕事においては、やりたくないことをやらないで済ますことができない場合も多い。というか、ほとんど毎日、多数の不合理かつ意味のない、しかし、組織、自分の評価のためには、やらなくてはいけないことをするのが仕事である。
    他者から評価、利益を受けるためには、他者に配慮し、他者に利益を与えることは必要不可欠だ。他者への配慮なしに、自分の思考、感情を最優先して生きていくことは、それこそ、教授が言うように「態度が悪い」のだ。

    むしろ教授や教授婦人の言ってることが、社会人として、正当であり当然のことだと思われた。

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著者プロフィール

中島 義道(なかじま・よしみち):1946年福岡県生まれ。東京大学法学部卒。同大学院人文科学研究科修士課程修了。ウィーン大学基礎総合学部修了(哲学博士)。電気通信大学教授を経て、現在は哲学塾主宰。著書に『不在の哲学』(ちくま学芸文庫)、『反〈絆〉論』(ちくま新書)、『私の嫌いな10の言葉』『私の嫌いな10の人びと』(以上、新潮文庫)、『生き生きとした過去――大森荘蔵の時間論、その批判的解読』(河出書房新社)などがある。


「2024年 『時間と死 不在と無のあいだで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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