コーチングのすべて ― その成り立ち・流派・理論から実践の指針まで [Kindle]
- 英治出版 (2012年10月23日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (423ページ)
感想・レビュー・書評
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コーチングの全てという名に恥じないほどの情報量が詰まっている。歴史についても、コーチングという概念そのものについても色々な角度から説明してくれるから解像度が爆あがり。これまでコーチングとはなんとなくこういうものだよねというスタンスがあったが、それらの起源というか、ルーツがどこにあり、現在どのように発展して体系化されたものになっているかがわかる。そこにはさまざまな前提があり、フレームワークがあり、コーチとしてどの手法を使っていくかは重要な観点ではないかとおもう。
また、発達コーチングについてはハッとさせられた。コーチングセッションにおいて、自分よりステージが上にいるクライアントのコーチングがとても難しさを感じる理由がわかるし、コーチとして、自分のステージを認識し、クライアントのステージを察した上でセッションを行って行かないと、クライアントの成長は見込めないという部分は特にコーチが認識しておくべき観点だった。
コーチは問題解決の人ではなく、そのプロセスを支援する人、そして、問題解決は副産物であり、自分を知り、思考を解き放ち、行動、ひいては生活を変えていき成長していくことを目指す。コーチという職業の立ち位置が明確になり、自分がどうしていくべきか、考えさせられる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
・GROW
・コーアクティブ・コーチング
・インテグラル・コーチング
・NLPコーチング
・ポジティブ心理学コーチング
・行動コーチング
・オントロジカル・コーチング
ひとつのケースに対するそれぞれのアプローチ例が非常に分かりやすい。何がどうというより、辞書的に。 -
コーチングにも流派があるらしい。あまりそういう内輪もめに巻き込まないで欲しいところですが、パッと手にとったコーチングの本がどれなのかとか、コーチング無関係と思ってた本がコーチングの本だったとかもわかるだろうから、無益ではないのかな。
第11章コーチングの効果測定に興味を惹かれて手にとった。正直、他の章は読んでない。
いわく、「主観的反応」「学習」「行動」「業績」「ROI」で、どれも限定条件をつけたうえでの測定が可能なようだ。
「主観的反応」は満足度アンケートで測る。「学習」は、知識やスキルをテストすることで測る。まあまあ、なるほどね。
「行動」は、360度評価、他人による観察、テストなどなどで測る。しかし、ほんとにその行動の変化がどこまでコーチングによるものなのですか、と迫られると、やっぱり苦しいらしい。
「業績」は、コーチングによる変化から、業績指標(KPI)までのプロセスに外部要因が多い。なので、コーチングの前後で比較はできるけど、どこまでコーチングによるものなのですか、と迫られると、行動と同様に苦しくなるらしい。
「ROI」がわりとシンプルな数式で表現して驚いたものの、その内訳は数値の収集がくっそ面倒で、そのために大規模なコーチングプロジェクトでしか計算されていないという。
総じて、読む前から予想はしてたけど、コーチングの効果測定の努力がなんだか高コストで不毛な気がした。コーチングの受講者(?)が定性的なポエムを提出することはできるだろうけど、みっちり金額換算して価値が有った無かったを論じる行為が高コストっぽい。