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- / ISBN・EAN: 4943566310519
感想・レビュー・書評
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勝利にこだわる弁護士・重盛(福山雅治)はやむを得ず、30年前にも殺人の前科がある三隅(役所広司)の弁護を担当することになる。
解雇された工場の社長を殺し、死体に火をつけた容疑で起訴された三隅は犯行を自供しており、このままだと死刑は免れない。
重盛は、どうにか無期懲役に持ち込もうと調査を開始する。
三隅は会う度に供述を変え、動機が希薄なことに重盛は違和感を覚える。
やがて重盛が三隅と被害者の娘・咲江(広瀬すず)の接点にたどりつくと、それまでと異なる事実が浮かび上がっていく。
是枝裕和監督が、裁判ものに挑戦した作品。
殺人犯三隅の二転三転する証言を周辺の人や三隅の前科を弁護士重盛が照らし合わせて殺人事件の謎を、重盛と娘や父親との関係などを絡めて描いていく展開の中で問われるのは、裁判の中で真実は見えてくるのか、自分にとっての真実は本当に真実なのかということ。
重盛が殺人事件の被害者の娘と自分の娘を重ねたように、三隅も被害者の娘と自分の娘を重ねた。
いくら俯瞰で見ようとしても、自分の思い入れなどが入って本当のことは遠ざかる。
裁判でも、警察と検察と弁護士が落とし所を探して妥協したところを、真実と称している。
そんな灰色な部分に、分かり易い白黒ついた決着をしていないのがユニークな傑作心理サスペンス映画。
福山雅治、役所広司、広瀬すずの演技が、印象的。 -
何が本当かわからない。
本当のことを追い求める中で、主人公の動揺や焦りも見えてくるし、正義に対するゆらぎのようなものも見えてくる。
単に「人を殺した」ということを、どういう文脈で見るかによって向き合い方も変わるのだろう。
唯一はっきりと、この作品の中で良心であり続けたのは、3人の中で一番若手の弁護士。彼だけが常に、純粋に本来あるべき姿を主張し続けた。しかしその本来あるべき良心はすぐに何か大きなものによって勢いを失う。それが世の中というものを比喩的に表現しているのであれば悲しい。
真実かどうかはわからないにせよ、娘に性的暴行をはたらいた父親の圧倒的クズ・クズオブザクズを筆頭に、自らは手を汚さず食品偽装の汚い金で甘い蜜を吸う妻のしたたかなクズさ、根も葉もないところから容疑者と被害者妻の関係を妄想して記事にしようとする週刊誌記者の下品でゲスなクズさ、そして犯人に死刑という極刑を下す立場にありながら、一言でいえば「めんどくさい」という理由で真実の追求などに目もくれない裁判官の日本をダメにしてる系のクズさと、何かと汚いものが蔓延っていて何やら末期的な様相。
別にそれらに対して作品として何かしてくれるわけでもなし。
良くも悪くも、ただただ裁判をめぐる人間心理のうつろいの描写にこだわっているのみ。
スッキリしないという声が多数の作品であるが、私的にはそういう意味でスッキリしない映画。 -
福山雅治の弁護士は、はまっているかもしれない。
法廷戦術になれた弁護士。
クレバーなアタマを、そこに集中する。
法廷とは、法律を駆使して、戦術を使うことだ。
犯人 役所広司の持つ危うい性格。
福山雅治VS役所広司。
役所広司の嘘の中の真実を見つける。
なぜ、人を殺したのか?
広瀬すずの複雑な想い。
それに、答えることができない
大人の不具合な社会。
人間の複雑な想いが錯綜して、
福山雅治の変化が 見ものだね。 -
人が人を裁く行為は「正しい」と言えるのか?
死刑制度というものを改めて考えるきっかけになる、重厚な作品。 -
役所広司が薄気味悪くてさすがだった。
斉藤由貴も生々しくて気持ち悪い感じが
よく出てた
広瀬すずちゃんも闇抱えてます感たっぷりで
どうにもこうにも陰鬱な雰囲気醸し出してた。
役者陣はそれぞれお見事だったんだけれどなぁー
うーん、真実を求めて翻弄されていく様は
わかったし
いろんな角度から見るとそれぞれの
ストーリーも
見えてきて引き込まれては行くんだよ。
三度目の殺人が何を言おうとしているか
はわかるし
「誰をさばくかは誰が決めるんですか?」
っていうすずちゃんのセリフや
司法のあり方について突き詰めていくと
「人は人を裁けるのか?」っていう
ことになっていくのだろうか?
何度か見たらまた違う感想に
なるのだろうか?
今ひとつ私には謎だらけで
終わったのが残念だった。
ヨーロッパ映画っぽい感じがしたのは
音楽だろうか?
それとも画面の色味かな?
とりあえず見終わった私の頭の中は
??????? ハテナ? がいっぱいでした。 -
* 是枝監督の作品はどれも好きなんだけど、他とは全然テイストが違く、正直あまり好みではなかった。
* とにかく全てをふんわりとさせていて、視聴者は置いてけぼりにされて酷評するか、ものすごく深読みして哲学的だと絶賛するか、二分してるイメージ。
* 解説ブログとかもちょっと見てみたけど、正直モヤっとなものが多く…こういう映画の深読みさせ具合って難しいよなーと思った。
* その中でも一番しっくりきたのは
* 一度目の殺人-北海道-高利貸しを恨む人たちの器に
* 二度目の殺人-東京-咲江の器に
* 三度目の殺人-法廷-咲江を守りたいという重盛の器に
* っていう解釈だった。それでも三度目の殺人はちょっとあまり腹落ちしなく。映画の結末としては弱すぎると感じてしまった。
「虎狼の血」と「渇き。」の役所広司いいよね
「虎狼の血」と「渇き。」の役所広司いいよね