- Amazon.co.jp ・電子書籍 (401ページ)
感想・レビュー・書評
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宗教と政治の色の濃い短編集。これもまためちゃくちゃ面白かった。ハードSF的な側面が薄く、わかりやすく読みやすいながらも深遠で後に残る。
表題作「小さな黒い箱」面白いー!ここで終わるの!?ここからじゃん!「アンドロ羊」の原型になったというが、これはこれとして独立して中編くらいで読みたかった!!
「輪廻の車」宗教と階級社会を背景に、感染症と衛生問題を絡めて歴史をなぞりつつ、科学と信仰についてカリカチュアしていて面白い!
「待機員」こわー!権力を持ってしまったがゆえの欲望。
「ラグランド・パークをどうする?」まさかの続編!しかも続編とはかくあるべき的な良作!設定はそのままに主題をズラし単体としても続編としても読める。
「聖なる争い」バイバイン!自ら完全無欠に作っておきながら人間の判断力と機械の判断力を天秤にかける。人間の心理、バイアスについて。
「運のないゲーム」これも風刺的。搾取される心理を端的に見せてくれる佳作。
「傍観者」ディストピアの成り立ち!自由が消えていく瞬間が静かに活写されてる。オチも含め上手い!めっちゃ怖い。
「ジェイムズPクロウ」風刺劇をSFエンタメにして魅せるのホント上手い。子供の視点から導入する構成もいいしエンディングも素晴らしい。
「待機員」に出てきた機械の大統領と対になる感じもある。
「水蜘蛛計画」おもしろーい!嫉妬するレベルのアイデア力!素晴らしい!パラドックスもいい。発表された当時読んでたらもっと面白いんだろうな。楽屋落ち劇の上手さ。
「時間飛行士へのささやかな贈り物」なんだろうこの題名って思ったら題名まんまの話!ラストしんみり。厭世的な、死を望む話かと思ったら生きるとはとまで考えさせられた。傑作!詳細をみるコメント0件をすべて表示