危機管理 [Kindle]

著者 : 林田力

• 江東住まい研究所 (2018年1月6日発売)

感想・レビュー・書評

[だまし売りNoさんの感想 · 2020年2月6日]

半グレは立派な反社会的勢力である。反社の定義や暴排条項の要件は硬直的に捉えるのではなく、反社の実態に合わせて適宜見直し、排除べき者を補足していく必要がある（鈴木仁史「金融機関の暴排条項の発展型および運用上の留意点（上）」金融法務事情1924号、2011年、18頁）。反社に属する者はモラルリスクを招来する高度の蓋然性がある（藤本和也「重大事由解除に基づく反社会的勢力排除の法理」保険学雑誌633号、2016年、87頁）。
半グレは表世界にも食い込む点が悪質である。半グレは、この上なく怪しい方法で日本社会にじわじわと食い込みつつある。警察を使って被害者と加害者を逆転させ、示談を強要する。チンコロを恥とするヤクザの美学をもたない。目的のためならば手段を選ばない卑怯さがある。
警察が暴力団等の領域に侵食し、政治家がフィクサー（司法外の調停者）役になるとの悲観的な予想がある（溝口敦『新装版 ヤクザ崩壊 半グレ勃興 地殻変動する日本組織犯罪地図』講談社、2015年）。現実に沖縄の半グレ集団のリーダーが国会議員にも食い込んでいると報道された（「今井絵理子議員　沖縄半グレリーダー疑惑男性との写真流出」NEWSポストセブン2019年12月5日）。
「「桜を見る会」が、半グレ集団の “営業” 活動に利用されているという悲鳴が、新宿御苑から遠く離れた、石垣島より寄せられた。彼らが利用するのは、半グレグループのリーダーであるA氏が、安倍昭恵首相夫人（57）とがっちり握手をしている写真だ」（「安倍昭恵「桜を見る会」握手写真を半グレが「営業」に活用中」週刊FLASH 2019年12月24日号）