女神の見えざる手 [DVD]

監督 : ジョン・マッデン 
出演 : ジェシカ・チャステイン  マーク・ストロング  サム・ウォーターストン  アリソン・ピル  ググ・バサ=ロー  ジョン・リスゴー  マイケル・スタールバーグ 
  • Happinet
4.03
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感想 : 61
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953070639

感想・レビュー・書評

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  • ロビー活動...特定の主張を有する個人または団体が政府の政策に影響を及ぼすことを目的として行う私的な政治活動である。ロビイング、ロビーイングともいう。議会の議員、政府の構成員、公務員などが対象となる。ロビー活動を行う集団、個人はロビイスト。...wikipediaより。

    この映画はロビイストの女性が主人公。
    勝つためには何でも利用する冷酷な主人公を、ジャシカ・チャスティーンがその知的な雰囲気を生かしてクールに熱演。
    非人間的なようでとても人間的な奥深い人物に仕上げている。
    ちょっと難しかったけど面白かったです。
    いや、完璧に分かった訳じゃないのですが...。
    政治的駆け引きがメインなので(苦手)ついていけなかった所も。意外な展開ありで楽しめました。

  • 主人公のスローン女史はアメリカの大手ロビー会社で働くロビースト。彼女のもとへ、銃の規制強化法案に反対する(つまり、銃をもっと持たせようとするクライアント)ロビー活動の依頼が入る。

    日本では馴染みがないロビー会社とは、クライアント(企業や団体)からの依頼を受け、クライアントに有利な政策や立法がなされるよう、政治家に直接・間接を問わず働きかける専門家集団を指す。スローン女史はその中でも抜群の能力を持つ敏腕ロビーストで、数々の実績を挙げてきた。一方で、目的のためには手段を選ばないスタンスが批判の対象にもなっている。

    この映画を観ていて、ふと、私自身が学生の時、先生から出されたレポートのお題「“嘘とは、それが本人以外に嘘だと分からなければ、嘘ではない”、というテーマについて自分の思うことを書け」を思い出した。

    作中で描かれるスローン女史の様々な行動は、アメリカの大きな社会問題である銃に対する義憤からなのか、あるいはビジネス上での更なる成功や刺激を求めてのものなのか、あるいは別の何かのためなのか、最後まで判然としない。そして、恐らく、彼女自身も、なぜ薬剤を乱用して眠らない状態を意図的につくったりしてまで、違法行為を犯したりしてまで、身近な人を裏切ったりしてまで、仕事をしているのか、よく分かっていない。本作の最大の魅力はそこにある。

    何が嘘で何が本当か、何が善で何が悪か、彼女の言葉を借りるなら、その「境界線」が曖昧になって、融解した瞬間、良し悪しはともかく、とてつもないエネルギーが生まれ、その様は危うくて、そしてとても美しい。真っ赤な口紅、高いヒール、勝負の場面で纏う黒い衣服、外形的にはっきりしたそれらが対照的に映る。

    原題「Miss. Sloane」という映画に「女神の見えざる手」という邦題を、よくまあ思いついたもんだと感心する。見えざる手とは、アダム・スミスという経済学者が自著で使った表現で、色んな人が勝手に、利己的に行動しても、最終的には全体に利益をもたらす、という意味。スローン女史という実像の全体を、彼女自身で輪郭づけるために狂ったように働く様と、アメリカという国全体を輪郭づけるために「銃」というテーマから様々に巻き起こる攻防の両方が、極めて利己的に動き、そしてそれぞれの全体を結果的に最適に導く。時に痛みを伴って。

  • 2017年日本公開の米映画。
    以前新潮社の中瀬ゆかりさんがぐっと掴まれてグイグイ引き込まれる映画という主旨のおすすめコメントされていたのでアマゾンプライムで鑑賞。

    主人公はジェシカ・チャステイン演ずる女性敏腕ロビイスト エリザベス。
    ロビイストは日本でなかなか馴染みのない存在だが、欧米では政権や社会の世論形成や誘導に大きな影響力を及ぼす組織・存在として知られる。

    2017年公開だが、今まさに米国で再燃している銃規制問題がテーマ。
    政治や世論がどちらを目指すかの舵取りに主人公ロビイストであるエリザベスが手段を選ばずに立ち向かう。

    だが、それは日本人が大好きな「頑張る」或いは「一生懸命」といった美談の精神論ではなく、一種の執着であり、自ら認める"desire to win"。
    勝たずにはいられない強迫的な渇望であり妄着。狂気の沙汰だ。

    時間軸を行きつ戻りつ、スピードのある展開と思いもよらぬ最終盤まで呼吸が浅くなっている自分に気づく。ひと時も見逃せないハラハラドキドキ。すべてを包括する結末に言葉を呑む。

    登場人物たちの感情を極力排し、社会の表と裏、人間が持つ野望や欲、強さと脆弱さが混在する様子をカラリと乾いた描く。こういう映画が見たかった~。面白かった!

    米国の政治、法律ドラマの"Homeland"や"The Good wife"、スピンオフの"The Good Fight"等好きな方はお薦め。クリスティーン・バランスキーもフェミニズム団体の有力者として出演。

    観終わった後、思わず「政治」とは?を英語や日本語で調べてみたら面白い。理解しているつもりは結構多い。

    政治:
    1 主権者が、領土・人民を治めること。まつりごと。
    2 ある社会の対立や利害を調整して社会全体を統合するとともに、社会の意思決定を行い、これを実現する作用。
    (デジタル大辞泉小学館より)

    politics:
    1 the activities of the government, members of law-making organizations, or people who try to influence the way a country is governed
    2 the job of holding a position of power in the government
    3 the relationships within a group or organization that allow particular people to have power over others
    (Cambridge Dictionaryより)

    良くも悪くも、日本語が持つ曖昧さに気づく。
    メディアが頻繁に垂れ流す「街録」による世論誘導と物事の単純化は悲惨だな。

  • 大手ロビー会社で辣腕をふるうエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)は、銃擁護派団体から仕事を依頼される。女性の銃保持を認めるロビー活動で、新たな銃規制法案を廃案に持ち込んでくれというのだ。
    信念に反する仕事はできない…エリザベスは部下を引き連れ、銃規制派のシュミット(マーク・ストロング)の小さなロビー会社へ移籍。奇策ともいえる戦略によって、形勢を有利に変えていく。
    だが、巨大な権力をもつ敵陣営も負けてはいない。エリザベスの過去のスキャンダルが暴かれ、スタッフに命の危険が迫るなど、事態は予測できない方向へ進んでいく……。 
    アメリカの政財界で、政治家や起業家と並んで大きい影響を与える人物がロビイスト。オリンピックの誘致活動から、企業に有利な法案を通すための賛成票の取りまとめなど、世論を動かす大きい影響を与える。
    あまり表に出ないロビイストの活動を、エリザベスの指揮の下で銃規制強化法案を通すロビー活動を通して、州ごとに有力な議員の法案支持の取りつけ方や法案支持議員への資金などの援助のやり方や銃規制に無関心な市民の興味や支持のまとめ方を丁寧に描いていく。
    その中で、大半の政治家は信念のためではなく、選挙で再選するため法案を通すことで得られる見返りのために動く腐った議員が蔓延ることで、世論が議会に反映し難くなっている現状が、炙り出されていく。
    仕事のために睡眠や食事すら犠牲にし勝つために味方すら欺き利用し手段を選ばず勝つことしか考えていないと思われ敵味方に忌み嫌われる一流ロビイストのエリザベス・スローンを演じるジェシカ・チャステインの仕事が出来る女の誰が相手でも信念を曲げず常に先を読み策を打つかっこよさは、仕事に冷徹過ぎる姿勢はちょっと引くけどその奥にある強い信念は女性だけでなく男性にも憧れられるはず。
    敵の反撃に追い詰められたエリザベスが、聴聞会で最後の切り札を出す時の一生一大の演説と切り札をかますクライマックスの展開は、「半沢直樹」以上の痛快さ。

  • 2016年 アメリカ、フランス
    監督 ジョン・マッデン

    ジェシカ・チャスティン、マーク・ストロング、ググ・バサ=ロー

    原題は"Miss Sloane" 邦題の意味がよくわからない。アダム・スミスの「神の見えざる手」をもじってるのでは?って言われたけど、、ううううん。不明。
    そもそもロビイストは政府を動かすんだし、市場原理とか関係あるのかどうなのか、まぁ私自身がこの映画の本質を見れていないってことだろうな。ところどころ解説が欲しかったもん(笑

    バリバリやり手ロビイストのスローン(ジェシカ・チャスティン)が大手ロビイ会社からちっさなところに引き抜かれ、部下ともども移籍して銃規制強化法案を通すためにロビー活動をするお話。
    その中で明らかな禁じ手を使います。最後の禁じ手は監視活動。ゴキブリを使ってゴキブリにカメラ仕込んで盗撮するんです。
    ゴキブリって、、、もっとええもんないんかいな。

    スローン役はゼロ・ダーク・サーティのマヤ等で定評のあるジェシカ・チャスティン。なので、彼女の演技力でもってる映画だって話も。
    頭の切れる精神を病んだバリバリやり手女性。ホームランドのキャリーみたい。
    早口でまくしたてるから話についていくのが必死でした。

    解説が欲しいポイントはそもそもなぜスローンは自分のキャリアを捨ててまで銃規制強化法案を通したかったのか。お金ではないんよね。傍聴会で最後に話始めるとき、「え、、、もしかして銃被害者なん?」って思ったけど、そうではなく、彼女が喋り始めたのは最初から刺客を送り込んで巧妙にしくんだって種明かし。
    その種明かしはもちろん、見てるこちらも度肝を抜かれる話だけど、銃規制法案に賛成する理由はわからない。

    あと、エスコート・サービスのお兄ちゃんは何で偽証してまでスローンを守ったの?恋でもした?

    ラストのシーン、刑務所から出所したスローンを迎えに来てたのはジェーン?エズメ?
    やっぱ、ジェーン(アリソン・ピル)かな?ジェーンは大手ロビー会社に残してきた唯一信用している部下でいわゆるスパイ活動をさせていた。
    エズメ(ググ・バサ=ロー)は新しい職場で右腕となって働いていたけど銃被害にあってたことがばれ、命を狙われたことでスローンを赦せなかっただろうしね。
    ジェーンは刑に問われなかったのかな?てか、あのスローンの盗撮に加担してた奴らはどうなったんだろうか?

  • いゃーなかなか良かったです。社会派映画でした
    最初は敏腕の血も涙もないような 眠らない 眠れない
    強き 女性リーダーって感じでしたが、説得力ありで部下がついてくるところが また、かっこいい
    ジョン・マッデン監督が「ゼロ・ダーク・サーティ」のジェシカ・チャスティンを主演に迎え、天才的な戦略を駆使して政治を影で動かすロビイストの知られざる実態に迫った社会派サスペンス。大手ロビー会社の花形ロビイストとして活躍してきたエリザベス・スローンは、銃の所持を支持する仕事を断り、銃規制派の小さな会社に移籍する。卓越したアイデアと大胆な決断力で難局を乗り越え、勝利を目前にした矢先、彼女の赤裸々なプライベートが露呈してしまう。さらに、予想外の事件によって事態はますます悪化していくが 「勝者は一歩先を行く 」言葉に納得させられた。恥ずかしながら ロビイストって実態も全然知らなかったのですが、腐った政治に論点を絞り 本当に後に続く者を知るという ラストは圧巻でした。

  • 何回も見てる好きな映画。
    一回見ていろんな人の解説や考察見てからもう一回見るともっと楽しい

  • 銃規制とロビー活動という米国から切っても切れない複雑な問題に果敢にチャレンジした意欲作。銃に関しては自分の身は自分で守るという開拓者時代からの信仰みたいなもので、日本のような「刀狩り」ならぬ米国版「銃狩り」でもやらなければ銃がなくなることはないでしょう。そして、ロビー活動の問題とは、主に特定の利益団体が政治家への集票や資金提供などで間接的に政界と世論を操作することで、票が欲しい政治家にとっては渡りに船。まあ、民主主義の実態とはこんなもの。この作品は、そうしたあきらめの境地にある銃規制問題に挑む女性ロビイストのエキセントリックな闘いを描いたもの。とにかく、ジェシカ・チャスティンの演技がすごい。

    『女神の見えざる手』(Miss Sloane)は、2016年に公開されたアメリカ合衆国の社会派サスペンスである。監督はジョン・マッデン、主演はジェシカ・チャステインが務めた。
    ストーリー:
    エリザベス・スローンは政界で畏敬の念を持たれるほど有能なロビイストである。コール=クラヴィッツ&ウォーターマン社に所属する彼女はどんな依頼も成功に導いてきた。
    ある日、エリザベスの元に銃器保有に賛成する女性を増やして欲しいという依頼が舞い込んで来るが、彼女は依頼に来たビル・サンフォード議員を冷たくあしらってしまう。大口の仕事を蹴ったことで上司のジョージ・デュポンと口論になるも、彼女は銃の規制強化に賛成しており、考えに反する依頼を受けるつもりはなかった。
    その夜に行われたパーティーを途中で抜け出し帰ろうとした時、エリザベスは見知らぬ男から話しかけられる。彼は銃の規制強化法案の賛成派に付くロビー会社ピーターソン=ワイアットのCEOロドルフォ・シュミットであり、エリザベスを引き抜きに来ていたのだ。
    翌朝、エリザベスはミーティングの場で即日ピーターソン=ワイアット社に移ることを告げ、数人の部下と会社を去っていくが、片腕だったジェーン・モロイとは袂を分かつことになった。
    会社を移ったエリザベスは早速チームに指針を示し、ロビー活動を開始する。敵である銃ロビー(銃の規制強化の反対派)は圧倒的な資金力を持ち、法案を通さないために必要な議員の数も少ない。劣勢にあるエリザベスは様々な手を駆使して賛成派の議員を増やしていく。
    だが銃ロビーも黙っておらず、エリザベス達に妨害工作を仕掛けてきていた。エリザベスは機転を利かせてチーム内の裏切り者を見つけるが、それは自身が雇っている非公式のサポートチームによる違法な手段によるものだった。
    エリザベスの策は次々と効果を発揮し、着実に勝利へと近付いていた。そんな中で行われた元同僚であるパット・コナーズとのテレビ対談において、エリザベスは独断でチームの一員であるエズメ・マヌチャリアンを銃被害者として衆目に晒す。勝つために手段を選ばないエリザベスは、エズメを説得してコメントを発信させる。
    会社に戻ってきたエリザベスはロドルフォに非難されるが、自身が仕込んできた秘策を明かすことでその場を治める。一方で、優勢に転じるエリザベス達に危機感を持った銃ロビーはエリザベスへの個人攻撃を画策していた。
    そんな中、エズメが銃を持った男に襲われる事件が発生する。幸い大事には至らなかったが、彼女の命を救ったのは居合わせた一般市民による銃撃だった。エリザベスはエズメを心配して会いに行くが、テレビ対談の件から不信感が燻っていた彼女はエリザベスの下を離れてしまう。
    事件を受けて世論は銃規制強化に反対する方向へ傾き、エリザベスへの個人攻撃も始まった。エリザベスが行った違法行為の証拠をジェーンが見つけたことをきっかけに聴聞会が開かれ、利用していたエスコートサービスの男性フォードまでもが証人として現れる。
    別の日、聴聞会の結論が出される場において、意見を述べる機会を得たエリザベスは勝つために手段を選ばなかった自身の非を認めるとともに、アメリカの政治が腐敗していることを批判する。続けて、ロビー活動における持論を語り始める。
    傍聴席で彼女の言葉を聞き終えたジェーンは、上司であるパットに辞表を渡して退席する。一方のエリザベスは、前の会社を辞める時に部下を密偵として残したことを明らかにする。そして、この聴聞会が銃ロビーの強い要請で計画され、その首謀者がかつての上司ジョージであり、彼から不正を働くように脅された相手が目の前にいるロナルド・M・スパーリング上院議員であることも。
    聴聞会から10ヵ月後、エリザベスは聴聞会での偽証により連邦矯正施設に入れられていた。面会に来たピーターソン=ワイアットの弁護士は、早期釈放の手続きをしていること、銃の規制強化法案が可決するであろうことを告げる。面会の終わり際、意図的に残した違法行為の証拠についてチームの仲間に告げなかった理由を聞かれ、エリザベスはこう答えた。「5年の刑期を受けるから」と。(ウィキペディア)

  • 痛快な映画だった。最後のクライマックスでは思わず爆笑してしまった。アマゾンで目的もなく探していたら、偶然見つけ、何か引っかかるものがあったのでつい観てしまった。ジェシカ・チャスティン演じるエリザベスは負け知らずの高慢なロビイスト。米国の銃規制法にまつわる話。勝つためには手段を選ばず、仕事仲間はおろか自分以外誰も信じない。その代償として、不眠に悩み精神刺激剤を常に飲み続け、1日16時間も働き続ける。毎日。そう、主人公は自分をも信じてないのかもしれない。彼女に信念や倫理はあるのか?映画を見終えてもどちらか判らなかった。表が裏であり、表が裏なのだ、カードは状況に応じて常に意味を変えていく。いくつもの伏線がシーンのあちこちに潜んでいる。久しぶりにとても刺激ある作品だった。

  • これ、すごくかっこいい。ロビイストだから政治ゲームで陰謀渦巻くというある種定番路線で、それだけでもハラハラドキドキなんだけど最後にあっと驚くどんでん返しがあって、うまい伏線の展開と相まってスッキリと満足感のある鑑賞を楽しめた。

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