- Amazon.co.jp ・電子書籍 (428ページ)
感想・レビュー・書評
-
まさにこの本の題名と同じ疑問を持ち、手に取った本だったけれど、内容はかなり専門的かつ哲学的で、自分の知識不足もあり十分には理解できなかった。
ざっくり言うと、明治維新以後、近代国家の樹立を目指す中で、日本が列強に肩を並べるために、西洋の基準に照らした〈国の絵画〉を創出するべく創り出されたのが近代の日本画だった。近世の浮世絵などは等閑視されるようになり、狩野派とか琳派とかの伝統を壊したり回帰したりを繰り返しながら発展してきた近代日本画だったが、太平洋戦争の終結によりその役目を終えたと言える。現代における「日本らしさ」として想起されるのは「日本画」ではなく、ジャポニズムの時代から変わらず広重や北斎、あるいは暁斎であり、そのイメージを引き継ぐマンガやアニメだというのは皮肉な話だ。
これから先、時代が変われば、近代日本画が再評価されるときも来るのだろうか? 話が少し飛躍するんだけど、ジェンダー的な視点とかからも近代化っていうものを見てきたときに、近代化ってしなかった方が良かったんじゃないかと思うときが結構あって、もちろん近代日本画の中にも名品と言えるものはたくさんあるんだけど、帝国主義からの太平洋戦争へと突き進んでいった反省とかも含めると、アート的な意味合いだとしても、あの時代に回帰していくっていうのは、今はあり得ないのかなとは思う。歴史を見ていくと、一個前の時代を否定して、もう一個前の時代を再評価しがちだから、また反対側に振れるときも来るんだろうなとも思うけど、そのときはあんまり来てほしくないなぁ。
結局、日本画って一体何だったのか?という疑問の答えは、わかったようなわからないような感じなので、もう少し経ったら、もう一度読んでみるかもしれない。読まないかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示