日本画とは何だったのか 近代日本画史論 (角川選書) [Kindle]

著者 :
  • KADOKAWA
2.50
  • (0)
  • (0)
  • (1)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 12
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (428ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • まさにこの本の題名と同じ疑問を持ち、手に取った本だったけれど、内容はかなり専門的かつ哲学的で、自分の知識不足もあり十分には理解できなかった。

    ざっくり言うと、明治維新以後、近代国家の樹立を目指す中で、日本が列強に肩を並べるために、西洋の基準に照らした〈国の絵画〉を創出するべく創り出されたのが近代の日本画だった。近世の浮世絵などは等閑視されるようになり、狩野派とか琳派とかの伝統を壊したり回帰したりを繰り返しながら発展してきた近代日本画だったが、太平洋戦争の終結によりその役目を終えたと言える。現代における「日本らしさ」として想起されるのは「日本画」ではなく、ジャポニズムの時代から変わらず広重や北斎、あるいは暁斎であり、そのイメージを引き継ぐマンガやアニメだというのは皮肉な話だ。

    これから先、時代が変われば、近代日本画が再評価されるときも来るのだろうか? 話が少し飛躍するんだけど、ジェンダー的な視点とかからも近代化っていうものを見てきたときに、近代化ってしなかった方が良かったんじゃないかと思うときが結構あって、もちろん近代日本画の中にも名品と言えるものはたくさんあるんだけど、帝国主義からの太平洋戦争へと突き進んでいった反省とかも含めると、アート的な意味合いだとしても、あの時代に回帰していくっていうのは、今はあり得ないのかなとは思う。歴史を見ていくと、一個前の時代を否定して、もう一個前の時代を再評価しがちだから、また反対側に振れるときも来るんだろうなとも思うけど、そのときはあんまり来てほしくないなぁ。

    結局、日本画って一体何だったのか?という疑問の答えは、わかったようなわからないような感じなので、もう少し経ったら、もう一度読んでみるかもしれない。読まないかもしれない。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

古田 亮:東京藝術大学大学美術館教授、同大学美術学部 近現代美術史・大学史研究センター長

「2022年 『新訳 東洋の理想 岡倉天心の美術思想』 で使われていた紹介文から引用しています。」

古田亮の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×