教養としての「ローマ史」の読み方 [Kindle]

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  • PHP研究所
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感想・レビュー・書評

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  • 塩野七生『ローマ人の物語』は圧巻だが、ローマ史約1000年を書いているので、相当気合いを入れて読んでも、前後の事件や人物の関係を見失いがち。
    そうなった時に、概観を把握する観点からも、非常に有用な本。
    古代ローマ史の全体を見ることで、現代の移民問題や大国の衰亡要因に改めて気付かされることも多く、歴史から学ぶことを再確認。

  • ローマ史を基礎から学べる一冊。本当に分かりやすく、小説のようにサクサクと読み進めることができる。世界全体を俯瞰するために一度は読んでいただきたい。

  • ローマの建国〜滅亡までを大きな流れや変質として丁寧に描き捉える本書は、現代の変わりゆく、そして非寛容になりがちな社会に生きるからこそ読むべき書と思う。

    特にクレメンティア(寛容)こそがローマ人をローマ人たらしめていた考え方であるものの、その内実は、自由のあり方と共に共和政からローマ帝国末期まで変遷していく。

    共和政においては他国や他者の在り方を否定せず受け入れること、カエサル・帝政初期は敵か味方かを分け味方に対して受け入れること、そしてローマ末期の(キリスト教を受け入れる)弱者に対して救済すること、と変わりゆくことで人々の自由の有り様も変わったのだろう。

    そしてオリエント、ギリシャ、ラテン世界を束ねたローマが、改めてイスラム、ギリシャ正教、ラテン・カトリックに分裂していく言語の必然をも感じられる。

    本書は塩野七生さんのローマ人の物語も読んでいるとより理解は深まる様に思う。

    個人的にはコンスタンティヌスの通貨ソリドゥス金貨が700年に渡り国際取引の基準となり、現在もドルの記号$に使われているのが興味深い
    (鷲も使われてはいるが)

  • 古代ローマ史を通して、歴史から何を学ぶべきかを教えてくれる本。

    古代ローマ盛衰の歴史がわかりやすく書かれています。本書が示すローマ帝国衰退の要素「経済の衰退」「国家権力の衰退」「文化の変質」は、現代でも通じるものがあるのではないか。今こそ、歴史から学ぶとき。

  • Audiobookで完読。ローマ建国から共和政、帝政を経て崩壊に至るまで、その国を率いた人物とその性格、周囲との人間関係等を丁寧に考察し、国の変遷を見ていく。カエサルが残した「賽は投げられた」という有名なフレーズの背景とポンペイウスと相対する他ない状況への様々な思いが込められていることを知れて良かった。他にもいろいろ印象的なエピソードを学んだが、Audioということも相まって、すっと頭に入ってこない固有名詞の連続で、誰が誰なのか分からず、混乱することがしばしば。漫画でもいいから、ある程度「この人はこういう風貌でこういう雰囲気」といったイメージを持って、読んだ(聞いた)方が記憶の定着には繋がるかな。

  • ドルのマークがエス

  • 本村凌二のローマ本は何冊目だろうか。(7冊目だった)

    最初に「この本はローマ通史の本ではない」と書くだけはあって、いろいろバッサリ切り落としている。例えば第二次ポエニ戦争だったら「ローマの盾」と「ローマの剣」に触れないし、カエサルの説明からはガリア戦記が消えている。従って初めてのローマ本には向かないと思う。そういう目的で読むならば、同じ著者のだと『はじめて読む人のローマ史1200年』や『ローマ帝国 人物列伝』の方が良い。

    とはいえ、本の流れ的にはローマの歴史に沿ったものとなっている。各時代においてローマがどのような社会だったのかを説明していく。だから社会を説明するのに必要のないエピソードは、有名なものでも触れないのだろう。

    このような社会構造でローマの歴史を語られると、ローマが滅亡するのは避けることができなかったのではないかと思えてくる。その瞬間においては最適でも、長期間持続可能な方策であるとは限らない。どう行動すべきかと考えた時に、これは難しい問題である。

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著者プロフィール

1947年 熊本県生まれ
1980年 東京大学大学院人文科学研究科博士課程(西洋史学)修了
現在 東京大学名誉教授
西洋古代史。『薄闇のローマ世界』でサントリー学芸賞、『馬の世界史』でJRA賞馬事文化賞、一連の業績にて地中海学会賞を受賞。著作に『多神教と一神教』『愛欲のローマ史』『はじめて読む人のローマ史1200年』『ローマ帝国 人物列伝』『競馬の世界史』『教養としての「世界史」の読み方』『英語で読む高校世界史』『裕次郎』『教養としての「ローマ史」の読み方』など多数。

「2020年 『衝突と共存の地中海世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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