アガサ・クリスティー完全攻略〔決定版〕 (クリスティー文庫) [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
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感想 : 10
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感想・レビュー・書評

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  • ミステリ評論家である著者が、クリスティのミステリをハヤカワ文庫の順番どおりに読み、一作品ごとに評価した本。

    私はクリスティのミステリが大好きだ。
    といっても、この本を読むまでは、ポアロシリーズの半分程度と有名作品数点、短編集を少ししか読んでおらず、ミス・マープルシリーズは最初に読んだ短編集が自分にはまらなかったため敬遠していた。
    この本の著者も食わず嫌いでクリスティをほとんど読んでいなかったが、一念発起、読み始めたらその魅力にはまったとのこと。「なんで自分は今まで読まなかったのか」という後悔と興奮が文中からにじみ出ているように感じる。
    特に、私の好きな『ナイルに死す』については、あまりの面白さに「読みもしないで本作を馬鹿にしていたおれは死んだほうがいいと思う。」とまで言ってくれるので、ファンとしてはうれしさ倍増である。

    著者いわく、クリスティミステリの特徴(魅力)は「殺人にいたるドラマを充実させ、そこで読み物としてのリッチさを醸成するとともに稠密な伏線の迷彩とする」「ドラマ部分に細密なダブル・ミーニングを仕掛けて、小説の読解を通じて謎解きが行われる」なのだそうだが、なるほど、私は確かにクリスティのミステリを謎解きではなく、一物語として楽しんでいる。だから、トリックがわかっていても再読に堪えるのかもしれない。

    各作品には★1~5、評価外のBOMB!が付けられている。辛口評価の作品もあるが、決して上から目線ではなく、ニュートラルに評しているので、嫌な気持ちにならない。
    語り口は軽妙だが、同時代の他のミステリや時代背景などもさりげなく紹介されていて、ミステリ評論として読みごたえがある。また、トリックがばれないように細心の注意を払ってくれているので未読でも安心だ。

    この本を読んでミス・マープルシリーズを読み始めた。私もクリスティ全作品制覇を目指している。

  • アガサ・クリスティーのkindleセールが開催されていたので、何を購入するか見極めるために読みました。
    こちらもセール対象でだいぶ安く購入できました。
    アガサ・クリスティーの作品読んでみたいけど難しそう、あらすじだけ見て読むのを決めたい!有名どころは読んだけど他はなにがおもしろいの?というような方におすすめです。
    星0~5の評価で、ポアロ、マープル夫人などそれぞれのシリーズごとに著者が評価、ランキングも発表してくれているのでどれがイチオシかはわかりやすいです。

  • アガサ・クリスティーの数ある本の中で何がオススメなのか、何を読んでみたいかわからなくなった時に読みたい一冊。好みは人それぞれだから、あくまでも参考程度ではあるが、私にはとても役立った。

  • ネタバレなしで、こんなにも豊かに読み応えのある魅力的な解説を書けるのか!
    オーディブルで拝聴した『科学とは何か 新しい科学論、いま必要な三つの視点』にて、この本の紹介があり、また二十代の頃アガサクリスティの本を乱読していたことを思い出して手にとったのですが、びっくりしました。
    ネタバレに配慮してあると紹介されていたけれど、こうした本でネタバレ回避は難しいし、まして大作家として有名なアガサクリスティです。いくつも何度も映画化されているわけですから、ネタバレなしというのは無理があると思いました。そんな私の予想を軽々と超えて、見事にネタバレ回避(黒い塗りつぶしを多用している頁もありますが……)その上魅力的な紹介文と、作品に対しての丁寧な分析、好奇心をつつく感想など……ちょっと読み返そうかな……と、いや、これは読み返さなければっっ
    と、決意を固めるに過ぎるほどの内容でした。
    私のブクログ本棚に、アガサクリスティの著作がずらりと並ぶのも近いと思います。

  • Kindleのセールで激安になってましたが、これは一生ものの本ですね。
    作品毎に評価がつけられていますが、私とは好みが違うようです。
    しかし付箋を貼りながら緻密に読みこむ知性派とグダグダとビール等を
    飲みながら読み、バターたっぷりのマフィンという単語だけで
    興奮できる私とでは違って当たり前か。
    既読作品では解説を楽しみ、未読のものは興味をそそられ。
    計算されつくされたパーフェクトなクリスティのガイド本。

  • クリスティの作品100冊の書評。書評自体が面白くて、褒めてる作品はめちゃくちゃ読みたくなる。

  • ガイドとしては完璧。ネタバレないし。

  • Kindleにてアガサクリスティのセールやっていたので、何読むかの参考にしようと思った。
    が、ネタバレの黒塗りが気になってしまったので、クリスティ作品を全部読み終わらないといけなくなってしまった
    まずは★5の本から読んでいこうと思う

  • クリスティーデビュー100周年、生誕130年(9/15誕生日)
    https://www.hayakawabooks.com/n/n34089fee631a

    エルキュール・ポアロ 33作
    ミス・マープル 12作
    トミー&タペンス 4作
    短編集 14作
    戯曲 9作
    ノンシリーズ27作

  • うっかり読んでしまって歯噛みした
    何しろ私はミステリファンではない以前に
    記憶がやばいのである
    内容とか覚えていられないのである
    (最近は主戦場であるはずのゲームすらやばい)

    家にはクリスティーの本が何十冊か並んでいて
    題名をみて何となくこれ読んだなと思い出せるのだが
    つまりあらすじを読んでは思い出せないのだが
    だからこういう褒める書評を読むとぎりぎりと掻きむしる
    喉まで出かかってるのに出てこない
    だって忘れてるから
    改めてクリスティ作品を一冊ずつ読み終えるたび
    参照するより他にこのブックガイドを読み終えようがない
    (でも読み終わったに登録してしまうが)
    はたしてこの一冊のためにクリスティ作品全冊を
    読み終えてしばらくたつと忘れるのが「わかっていて」
    読み返す時間があるか
    非常に費用対効果の面で深刻な問題である
    何十冊も読んでいるから効果の点では疑っていないが

    というわけでこの本が良い本なのかは
    現時点でなんともいえないが
    『ポケットにライ麦を』を褒めている内容に大いに同感

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著者プロフィール

霜月蒼(しもつき・あおい)

1971(昭和46)年、東京都生ま

れ。慶應義塾大学法学部法律学科

卒業。

ミステリ研究家。

大学在学中は慶應義塾大学推理小

説同好会に在籍。

主に海外のハードボイルド小説、

ノワール小説に関する書評、評論

を発表。

2007年、「本の雑誌」の連載「こ

のイヤミスに震えろ!」で、“イヤ

ミス”を提唱。「モルグ街の殺人」

以降のミステリ史を、イヤミスの

発展史として読み替える試み。

本書は「翻訳ミステリー大賞シン

ジケート」にWeb連載された

「アガサ・クリスティー攻略作

戦」を書籍化したもの。

共著に『バカミスの世界  史上空

前のミステリガイド』(小山正

編、ビーエスピー)、『名探偵ベ

スト101』(村上貴史編、新書

館)がある。

「2014年 『アガサ・クリスティー完全攻略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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