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感想・レビュー・書評
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ナザレのイエスがどのような人物であったかを解き明かしていく本。イエスについて書かれた最も信用できる文献は新約聖書なので、当時の社会状況からイエスの輪郭を浮かび上がらせていく。あいつ、大工と言われているけど、実際は日雇い労働者というのが実情だったのか。
読むまで知らなかったのは、イエスは数いるメシアの一人に過ぎなかったということ。もちろん洗礼者ヨハネという師匠キャラがいたのは知っていたが、イエスの前にも後には個性豊かなメシアが存在する。にもかかわらずイエス一人が唯一絶対の存在になったのは、やはりパウロの功績ということになるのだろう。
それにしてもこの手の本を読むたびに、現代において聖書を信じることのできる人がいるのが不思議でならない。福音書の中には、イエスの時代におけるユダヤの慣習が誤って記述されているものもある。100年も経っていない頃のことすら正しく書けないのに、どうして信じられようか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
原題は全く違うみたいです。『革命家 ナザレのイエスの生涯とその時代』
そう、訳者の方は煽っていくスタイルなんでしょうか。
タイトルに魅かれて読んだ私が通ります。
で、実在したか実在ないか。
もちろん実在しておりますと。但し母マリアの処女懐胎なんてありえないですし(そりゃそーだ)、イエスさんの復活なんてありえないし(そりゃそーだ)。イエスさんは単なる当時の革命家であり、ドラクエにも出てきそうな奇術・魔術師ジャンルの一人みたいなもんで、当時のあるあるキャラだそうで、処刑されたものいくつかあった裁判の中の一つの結果であり、思想の火消しの為に特別に処刑されたわけでもなく、まあ、ギャーギャー騒ぐからいっちょしばいたろか見たいな感じでしょうか。もー革命家は困る。
右の頬をぶたれたら左の頬を向けるのは実はユダヤ人限定で、ローマ人なら殺しにいくというかなりの武闘派キャラに親近感を覚え、隣人の愛って、本当に隣人じゃねーかみたいな、ああ普通っていいですよね。
じゃ、何故そこまでキリスト教は広まったのでしょうか。
そう、犯人はパウロさん(本人によりますと復活したイエスさんを目撃したらしいです)
彼の話術でキリストさんが伝説と化し、ローマ帝国の国教となり、色々あって今に至ります(滅茶苦茶省略)
で、そのパウロさん、イエスさんに有った事ないんですよね(復活したイエスさんには会っております)。草生える。
本書を読めば分かりますがが、筆者は可能な限り事実に近いと思わる文献からイエス・キリスト像を描き、色々と伝えられている伝説を冷静に否定し、本物のキリスト像を描いているように読み取れます。
宗教がらみなのであまり言い過ぎるとポアされますのでここまでにしておきますが名著『サピエンス全史』でハラリさんが仰る通り、人間は存在しないものを信じる事によって団結し、一つの方向に向かう事で地球を支配できたと、まさにそう感じます。
信じるも信じないも貴方次第です。
ただお墓参りにはかならず行ってご先祖様は供養しましょー(合掌)