札幌あやかしスープカレー (ポプラ文庫ピュアフル) [Kindle]

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  •  皇海学園に通い始めた1年生の達樹は、高校デビューに見事に失敗。ある事情により身に付いてしまったコミュ障から脱却できないのだ。
     ある日の下校途中、達樹は背中をはたかれ転んでしまう。犯人は……同じクラスの陽キャ男子・ヒナ?! 自転車で逃げるヒナを追って達樹がたどり着いたのは、住宅地に佇むスープカレー店「まちびこ」。思いがけなく達樹はこの店でバイトすることになり、店のお陰でヒナとの距離も縮まった。そんな時、ヒナの住む部屋に空き巣が入り……?


     これは……アカンわ。ド新人でもないのに小説としてのレベル低すぎ。他の著作を数冊試し読みしてみたけど、そこまでダメな感じはしなかった。どうしたの、これ?

     まず文章が拙い。
     文章がブラッシュアップされておらず、書かなくても良いようなことを逐一書きこみ、稚拙な説明がダラダラグダグダ……出来の悪いケータイ小説のようで、正直、作者のファンにもオススメ致しかねるレベル。
     突如、である・だ調が混じるのも不自然。物語の雰囲気に合っていない気がする。
     地の文の視点も安定せず、基本は達樹視点の三人称だが、時々ヒナ視点に入れ替わる。更に完全な第三者視点にも切り替わり、それらに作者の立場からとしか思えない表現が混じり、読んでいて非常に鬱陶しい。

     作者の感覚や知識にも違和感が。
     ネットやスマホに関する部分が、現代の若者の感覚とは思えない。本来“タップ”と書くべきところを“クリック”って書いてるし。
     また、作中でスープカレーを『スーカ』と略しているが、初めて聞いたわ!!! 検索でも出てこないし、どこの習慣?
     他にも、おそらく進学校である皇海学園生がのんびりしすぎとか、鼻の長い天狗を“カラス天狗”とは言わないとか……ツッコミどころてんこ盛り。てんこ盛りはライスだけにしてほしい。

     おまけにストーリー構成もよろしくない。
     全体の6割近くを占めるのが、新たな高校生活のグダグダとスープカレー店内のわちゃわちゃ、あやかしとはなんぞや、といった前振り。
     ようやく本題の空き巣を含めた怪事件が始まると、スープカレー店は満足に出てこなくなる。エピローグでやっと再登場。
     スープカレーはストーリーにはほぼ関係なく、達樹にちょっとしたきっかけを与えるだけ。
     あやかしは……いないと成立しない内容ではあるのだけど、別の何かに置き換えても何とかなりそう。“あやかし”ならではの面白さ、不気味さ、価値観の違いのようなものは感じなかった。

     せっかく面白そうな材料を揃えているのに、全く活かせていない。
     カレースープに、ゆでた野菜と、出来合いのローストチキンを突っ込んだだけって感じ。
     美味しいスープカレーで口直ししたい……。

     冒頭しか目を通していないけれど、この作者さんなら「ばんぱいやのパフェ屋さん」の方がまだ良さそう。

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著者プロフィール

1992年雑誌JUNE「野菜畑で会うならば」でデビュー。BLやファンタジー、ホラー、あやかしものなどの様々なジャンルで活躍中。

「2017年 『ばんぱいやのパフェ屋さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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