澤村伊智さん原作"ぼぎわんが、来る"のコミックス版。
とりあえず、絵が……その、雑っぽく見えてしまい、げんなりとしました。
第一巻は、第一章"訪問者"をそのままそっくりおさめたもの。
だいぶ端折っています。
たとえば、"ぼぎわん"が"ちさ"の名前を使って、田原秀樹を呼び寄せようとした部分で、小説だと知紗に何かあったのか、妻である香奈に何かあったのかと若干の心配をしつつ、会社の出入り口に向かって、高梨に話をしながら、
「まだ、知紗の名前は、誰にも告げていない」
(無事に産まれてからみんなに報告しようと、香奈と示し合わせていた)
ということに気づき、首をひねり、そうして、高梨の腕がーーという流れで。
漫画版ですと、"ちさ"の名前を告げられた時点で不審な面持ちをあらわにし、出入り口に向かい、そこで原作のように"まだ誰にも告げていない、無事に産まれてからみんなに報告しようと示し合わせていた"というモノローグが流れるのです。
秀樹の傲慢で愚鈍な部分が微妙に削がれて、ええ、そんなん?ってちょっと疑問に思いました。
また、高梨が痛がっているように見えなくて、あの原作で垣間見えた末恐ろしさが見えず、拍子抜けしてしまいます。
それはさておき、25年への歳月を経て"ぼぎわん"が秀樹の元を訪れ、それにおののいた秀樹は暗中模索します。
お祓いでもしようか、でもうさんくさいなぁ、とか思っていた最中、中学時代の同級生・唐草が民俗学を専攻していたことを思い出し、彼と連絡を取ります。
そうして、オカルトライター・野崎、そして霊能者である真琴との縁ができる秀樹。
家族に優しくしろと言われ憤り、とっとと帰るものの、幾日かあと、野崎と真琴が訪ねてきて再び色々調べ始めるようになります……。
と、まあ、流れは原作と同じなのでそれはそれ、ネタバレレビューなどで検索すれば出てくるので、そういった流れに関してはここで終わりにします。
それにしても、人気が出たからなのか、コミカライズもされるとは、えらいびっくりです。映画化してからのコミカライズ、ですよね。流れ的に。
しかしまあ、ホラー漫画ってむつかしいですよね。
"悪の教典"はホラー漫画というよりサスペンス漫画ですか、"リング"とかみたいにおどろおどろしさが欲しかったなぁ。
今や休刊となってしまったホラーMだとか、レディースコミックになってしまいますが本当は怖いグリム童話シリーズとか、そっち関係の漫画家さんに描いてもらったほうが、もっとおどろおどろしかったのでは……と。
たとえば、児嶋都さんだとか、外菌昌也さんだとか、蕪木彩子さんだとか、稲垣みさおさんだとか。
今市子さんやいなだ詩穂さん、烏山英司さんも合っている気がします。
(御茶漬海苔さんや犬木加奈子さんや日野日出志さん、伊藤潤二さんやうえやま洋介犬さん、押切蓮介さん、関よしみさん、高橋葉介さん、西川淳さんや三家本礼さんあたりはちょっと違う)
勿論、おどろおどろしすぎない漫画家さんもいますよ。個人的に好きな、大橋薫さんや楠桂さんとか。
でもなんかなぁ……"恐ろしさ"が欲しかった自分にとっては、なんだかなぁ、という感じです。