Kindle版読了。
「心の声が聴こえる」という不思議な力を持つ18歳庶民ヒロインと、ヒロインの能力を知り皇后として後宮に迎えた有能な23歳皇帝ヒーローとの中華風すれ違いラブストーリーです。
タイトルに『異世界』とありますが、ヒロインは生まれも育ちも異世界なのでトリップ物ではありません。
ヒロインは人の「心の声が聴こえる」という不思議な力を持っていますが、「誰にも知られてはいけない」という5年前に亡くなった両親の教えを固く守りながら平和に生きていました。
ある日、ヒロインを引き取ってくれた優しい餡餅売り老夫婦の作る餅が皇帝陛下に献上される事になり、幼い頃から良家の子女にも劣らぬ教育をされてきたヒロインが代表して宮廷に向かう事になります。
しかし、謁見中に皇帝ヒーローの暗殺未遂事件を暴いた事で、逆に暗殺を疑われ投獄されてしまいます。
ヒロインの能力を知ったヒーローは牢からの解放を引き替えに、皇后となって政に協力するよう命じます。
…基本はヒロイン視点で物語が進むのですが、時折、唐突にヒーロー視点になったり他の人の視点になったりするのが少し読みづらかったです。
ただ、ヒロイン視点の時に他の人の心の声が聞こえるのは便利でした(笑)。
ヒーロー視点もあるので、ヒロインが初恋で一目惚れで、ヒロインに会う為だけに初めて後宮へ渡った事も分かります。
政治には有能なヒーローですが、初恋の女性相手だとかなりのヘタレになっていました。
ヒーロー兄とかヒロインと同じ力を持った高官とか、ヒロインの周囲に集まりすぎていて少しご都合主義に感じました。
ヒロインは後世で賢妃と呼ばれるようですが、本編では行動が他力本願というか受け身というか、後宮での皇后としての役割や形だけとはいえ養女となった家や義兄を頼る事を思いつく聡明さが見られなかったのが、とても残念でした。
最後の最後でようやく両想いになったと思ったら終わってしまうので、ヒロインの成長も期待して出来れば続編が読みたいと思いました。