天然知能 (講談社選書メチエ) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 著者の郡司ペギオ幸夫は古生物学者であり、早稲田大学教授である。本書は養老孟司『ヒトの壁』で引用されていたのをきっかけに購入した。郡司ペギオ幸夫は養老孟司の友人とのことである。
    「ダサカッコワルイ宣言」と書かれた前書きがもう何を言ってるか分からない。チンプンカンプンである。面白い。分からないから面白い。

    海外では一斉に、外部の実在を構想する思弁的実在論や新しい実在論といわれる哲学が勃興しています。

    著者は知能を三つに分類する。
    ①自然知能→サイエンスをもとにした客観的思考。三人称的知性。
    ②人工知能→世界に補助線を引き、分析する主観的思考。一人称的知性。

  • 創造するというのは、基本的には外部との接触に際しての悦びがそこにあるかということだけでその是非を判断して良いのかなと思った。だから創造的な生かどうかは、自分が更新され続けているという自分の感覚によってしか判断できない。人から認められて腑に落とすものではない。

    以下引用


    自分にとって意味のあるものだけを自らの世界に取り込み、自らの世界や身体を拡張し続ける知性を人工知能。

    天然知能は、知覚できないが存在する外部を受け入れる知性

    向こう側は他人に聞いてもわかりません。客観的に意味のないもの。

    てんねんー論理的ではない、愚直な感じ。しかし同時に底抜けに明るい楽天的な生きることへの無条件の肯定がある

    論理的に評価して、判断する能力はない、しかし自分で見ることのできない向こう側、徹底した自分の外部を受け入れる知性、自分が自分らしくあることを肯定できる唯一の知性

    ★★人工知能と人間に何か題材を制作させ、アンケートをとってどっちがいいか選んでもらう。このようにして創造性を評価すれば、人工知能はたちどころに、一般の人がいいと感じる傾向の絵画を学習し、その意味での創造的な絵画を描ける。優劣は優劣の基準を決めない限りは存在しないのに、逆にそれを決めると、人工知能の一人勝ち。このような創造性は外部から勝手に評価基準を与えた擬似的創造性に過ぎない。当事者にとっては何の意味もなく、多くの人が投票によって創造的と考える作品は、それを制作した当事者にとって、創造的ではない。だから人工知能や自然知能は創造性を楽しめない。

    自分の内なるイメージを外に形にしているだけなら、それは創造ではない。なかったものをつくるというのは、自分の知らない向こう側からやってくるのを待つしかない。

    外部からやってくるものを受け入れること。

    何が外部かは、本人にしかわからない。それを受け入れる時の感覚も当事者にしかわからない。

    楽しめるか否かは当事者にとって問題で表現の仕方の優劣とは無関係。誰かに評価されることを目的にするわけでもなく周りの目を気にする必要もない

    周囲を気にせず創造を楽しめる者だけが、他者を受け入れることができる

    ★あなたが気にする周囲は所詮、あなたがすでに気づいている、あなた内側の者にすぎない、周囲を気にし続けるあなたは、外部を感じることができず、内側に留まったまま

    周囲を気にせずまるで孤立して、一人で勝手に制作しているものだけが、知覚し得ない世界を受け入れる


    なんだろうという想定できない外部に対する準備がある

    好きなことややりたいことさw、実は知覚できない外部

  • P.2019/7/14

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著者プロフィール

郡司ペギオ幸夫(ぐんじぺぎおゆきお):1959年生まれ。東北大学理学部卒業。同大学大学院理学研究科博士後期課程修了。理学博士。神戸大学理学部地球惑星科学科教授を経て、現在、早稲田大学基幹理工学部・表現工学専攻教授。著書『生きていることの科学』(講談社現代新書)、『いきものとなまものの哲学』『生命壱号』『生命、微動だにせず』『かつてそのゲームの世界に住んでいたという記憶はどこから来るのか』(以上、青土社)、『群れは意識をもつ』(PHP サイエンス・ワールド新書)、『天然知能』(講談社選書メチエ)、『やってくる』(医学書院)、『TANKURI』(中村恭子との共著、水声社)など多数。

「2023年 『創造性はどこからやってくるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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