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感想・レビュー・書評
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主人公の沼ちゃんが家を買うところまでは、方向性がはっきり見えていて面白かった。
正規/非正規、生涯未婚率の上昇、男女の年収差など、雇用機会均等法が成立して30年もたっているというのに、男女平等はいまだ建前の部分が大きい。だから居酒屋のバイトで家というよすがを掴んでいく主人公の姿を、等身大で描いているところが何よりよかった。形になりきらない感情、言葉にしきれない思いのようなものを、しっかり描いているのも共感できた。
しかし、沼ちゃんが家を買ってからというもの、なんとなく読むのが苦しくなった。家を買うことが人生の究極目的ではないし、買ったからといって、一人暮らしの女性、いや男も含め、彼らの抱える問題が解決するわけではないから。その先に、いまや幸せの概念が混とんとしていることが明らかになってくる。この作品はむしろ”持ち家幻想”のあとをしっかりと描いたことに意義があるのかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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