- Amazon.co.jp ・電子書籍 (310ページ)
感想・レビュー・書評
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旗魚という少年が様々な大人と出会い、成長していく成長物語でもあり、その成長を途中出会う珊瑚という少女へ伝えていく珊瑚を育てる師となる物語でもある。また、彼と行動をともにする鯱という荒くれ者の大人とのロードムービーでもある。このなんとも直球な青春ドラマを、砂の世界の紹介とともに小さく疑問を投げかけつつ丁寧に時にダイナミックに描いている。
彼が行き着く先で見つける真実はとてつもない世界の真理で、その真理を護り、壊そうとする守りびとが葛藤する中、少年が見つけ手にする新たな世界は「燃えるような朝焼けがとても綺麗」な世界だった。
SFやファンタジーを特徴づける一番の要素は「見たことのない世界を見せてくれる」ことだと思う。
それを形作る要素としては、この世にない舞台、生命体、神、などなど様々あるが、この小説はまず言葉が力となる神様が作った砂の世界という時点でまずは目を引く。さらにそれらの要素を自然と物語に載せて説明していくという力もありぐいと物語に引き込まれていく。
詩的な文章もサラッとしていて、実に読みやすくあっという間に読み終えてしまった。
これは良いファンタジー(ラストになって、これは良いSFであったとも判明する)であった。
なお、言鯨や砂の時代の設定など根本設定は全く新しいものではない。ただそれをしっかり咀嚼してうまく人物設定や世界描写に反映させたという点で、とても面白く読めた作品だった。
久々に読書の醍醐味を思い出せた。
さすがハヤカワさん、といった作品。面白かったです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
設定もよく、映像化しやすそうな
テンポと展開。
意外とサクッと読めた。