給食の歴史 (岩波新書) [Kindle]

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  • 貧困、災害、運動、教育、世界という五つの視点から、
    学校給食の歴史を辿り、今後の可能性を探る。
    第1章 舞台の構図     第2章 禍転じて福へー萌芽期
    第3章 黒船再来ー占領期  第4章 置土産の意味ー発展期
    第5章 新自由主義と現場の抗争ー行革期
    第6章 見果てぬ舞台
    主要参考文献、日本の給食史年表、索引有り。
    数カ国の給食の歴史に始まり、近代日本の学校給食の萌芽期へ。
    貧困、凶作、災害による欠食児童と栄養失調。
    貧困児童が学校へ来られるよう、始まった給食は全国に。
    戦後のGHQの占領と給食・・・治安維持との関係。
    直接統治の沖縄での給食。
    GHQと日本、大蔵省と文部省、政治の絡み。学校給食法の制定。
    給食による戦後食生活の変化。
    自校方式とセンター方式。先割れスプーン、食器の問題。
    生乳、米飯給食の導入から郷土食、地産地消へ。
    食中毒や異物混入、ソフト麺と添加物について。
    現場職員の抱える問題に合理化、民間委託。
    食育基本法、ファミリー給食に給食費未納問題。
    たかが給食と言うなかれ。
    その歴史は複雑で、歩みには希望と様々な困難がありました。
    しかも、萌芽期と変わらずにあるのが、貧困と災害時の問題。
    2020年現在の新型コロナウイルス感染防止問題でも、
    学校が休業となったことで給食の必要性は、
    真摯に捉えられております。
    「給食は一筋の光」であること。
    また、戦前に学校給食の栄養バランスを提言する人、
    牛乳に着目する人もいたのには、驚き。
    栄養学も給食と共に歩んでいたのですね。

  • ふむ

  • 「学校給食」という切り口が面白い。通史としての歴史がつまらないのに、テーマを絞り込んで明確にすると俄然歴史が面白くなる。

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著者プロフィール

1976年生まれ。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。2006年、『ナチス・ドイツの有機農業』(柏書房)で日本ドイツ学会奨励賞、2013年、『ナチスのキッチン』(水声社/決定版:共和国)で河合隼雄学芸賞、2019年、日本学術振興会賞、『給食の歴史』(岩波新書)で辻静雄食文化賞、『分解の哲学』(青土社)でサントリー学芸賞を受賞。著書に、『カブラの冬』(人文書院)、『稲の大東亜共栄圏』(吉川弘文館)、『食べること考えること』(共和国)、『トラクターの世界史』(中公新書)、『食べるとはどういうことか』(農山漁村文化協会)、『縁食論』(ミシマ社)、『農の原理の史的研究』(創元社)、『歴史の屑拾い』(講談社)ほか。共著に『農学と戦争』、『言葉をもみほぐす』(共に岩波書店)、『中学生から知りたいウクライナのこと』(ミシマ社)などがある。

「2022年 『植物考』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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