天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ PART3 (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • かなり大きく出てこれは?と思ったけど、割と素直な終わり。結局覇権戦略は見つからなかったってことかな。エピローグも中々良い感じでした。

  • 風呂敷を広げたのはいいんだけど凡庸な終わりだったなあ。

  • 星が燃え上がってもぼくらはその後に残る。

    未曾有の天災に対して、これだけきっぱりと言い切る事が誰にできるだろうか。
    自信たっぷりに。
    言える人がいたら、それは英雄だろうと思う。
    そんな人がいたら、誰でも、ついていくだろう。
    そんなキャラクターがアクリラ・アウレーリア。
    色々あったけど、最初は航海長だったのが、一統を率いる艦長になり、そして最後は提督になった。
    彼ほど作品中で何度もコロされたキャラクターも珍しいだろう。
    そのたびに甦ってきたというのも凄い事だ。

    全10巻(冊数はもっと)の間に、どの登場人物も変化したな、と思う。
    長い長い時を舞台にしている物語だから、必ずしも全てのキャラクターがシリーズを通して登場するわけではないんだけれども、
    イサリは色々あって長い時を生きているから、かなりの部分について、登場したキャラクターだろうと思う。
    最初は引っ込み思案な印象が強かったけれど、
    思えば自分で(勝手に)スカイシーに行ってしまうような、冒険心があったんだね。
    才色兼備なミヒルに比べると地味な感じがしたけれど
    前腕鉤を失っているのに、カドムを守るために刀をふるう姿は格好良かった。

    この物語の重要なキーワードが冥王斑という病気だから、医者のキャラクターも何人も登場したけれど、
    カドムが一番たくさんの冒険をした医者キャラだったと思う。
    ラゴスの応急手当はやはり応急手当でしかなかったというのが、本巻後半あたりからだんだんとわかってくる。
    なのに前に進む事をやめなかった。

    端役ではあるが、スダカも私が気に入っていたキャラクターだ。
    武辺であったけれど、叛逆が発覚して、体を作り替えられてしまう。これって、昔の中国や今のイスラム法にある、身体刑ですね。
    それにも関わらず、スダカもまた挫けなかった。

    思えば、異星人を含め、全てのキャラクターが、決して諦めず、闘い続けたのだと思う。

    作品が、ひとつの「歴史」を描いている場合、
    たとえば田中芳樹の『銀河英雄伝説』みたいに、歴史なのだから、主要な登場人物であっても、思わぬところであっけなく死んでしまうという事もある。
    それはそれで作品のポリシーだと私は思う。

    けれども、これだけたくさんの登場人物がいて、そのほぼ全員が、諦めず闘い続ける、だからこそ誰もに見せ場があるというのは本当に凄い。
    だから読み応えがある。

    読者にとってまさに、彼ら全員がヒーローだった。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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