- Amazon.co.jp ・電子書籍 (358ページ)
感想・レビュー・書評
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風呂敷を広げたのはいいんだけど凡庸な終わりだったなあ。
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星が燃え上がってもぼくらはその後に残る。
未曾有の天災に対して、これだけきっぱりと言い切る事が誰にできるだろうか。
自信たっぷりに。
言える人がいたら、それは英雄だろうと思う。
そんな人がいたら、誰でも、ついていくだろう。
そんなキャラクターがアクリラ・アウレーリア。
色々あったけど、最初は航海長だったのが、一統を率いる艦長になり、そして最後は提督になった。
彼ほど作品中で何度もコロされたキャラクターも珍しいだろう。
そのたびに甦ってきたというのも凄い事だ。
全10巻(冊数はもっと)の間に、どの登場人物も変化したな、と思う。
長い長い時を舞台にしている物語だから、必ずしも全てのキャラクターがシリーズを通して登場するわけではないんだけれども、
イサリは色々あって長い時を生きているから、かなりの部分について、登場したキャラクターだろうと思う。
最初は引っ込み思案な印象が強かったけれど、
思えば自分で(勝手に)スカイシーに行ってしまうような、冒険心があったんだね。
才色兼備なミヒルに比べると地味な感じがしたけれど
前腕鉤を失っているのに、カドムを守るために刀をふるう姿は格好良かった。
この物語の重要なキーワードが冥王斑という病気だから、医者のキャラクターも何人も登場したけれど、
カドムが一番たくさんの冒険をした医者キャラだったと思う。
ラゴスの応急手当はやはり応急手当でしかなかったというのが、本巻後半あたりからだんだんとわかってくる。
なのに前に進む事をやめなかった。
端役ではあるが、スダカも私が気に入っていたキャラクターだ。
武辺であったけれど、叛逆が発覚して、体を作り替えられてしまう。これって、昔の中国や今のイスラム法にある、身体刑ですね。
それにも関わらず、スダカもまた挫けなかった。
思えば、異星人を含め、全てのキャラクターが、決して諦めず、闘い続けたのだと思う。
作品が、ひとつの「歴史」を描いている場合、
たとえば田中芳樹の『銀河英雄伝説』みたいに、歴史なのだから、主要な登場人物であっても、思わぬところであっけなく死んでしまうという事もある。
それはそれで作品のポリシーだと私は思う。
けれども、これだけたくさんの登場人物がいて、そのほぼ全員が、諦めず闘い続ける、だからこそ誰もに見せ場があるというのは本当に凄い。
だから読み応えがある。
読者にとってまさに、彼ら全員がヒーローだった。