ロケット・ササキ―ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正―(新潮文庫) [Kindle]

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  • 戦争中は登戸研究所で殺人電波を研究し、戦後神戸工業で(シャープと組んで)「電子レンジ」を事業化、請われてシャープに移ると技術開発の陣頭に立って「電子立国日本」の土台を築き上げた「ロケット佐々木」、「シャープの専務、副社長として、今も我々のスマートフォンやパソコンに入っている「MOS(酸化物半導体)」や「液晶ディスプレー」、化石燃料や原子力に替わる再生エネルギーの中核となった「太陽電池」を世に送り出した伝説の科学者、「アポロ宇宙船向けの半導体開発に携わり、電卓戦争を勝ち抜き、スティーブ・ジョブズにインスピレーションを与え、孫正義を見出だした」偉大なサラリーマン、佐々木正を描いたノンフィクション。

    日本にかつてこれ先見の明があって懐の深い技術者がいたということを知るだけで、日本人として誇らしい気持ちになる。今の日本の大企業には、こういう人物いなくなっちゃったのかな?

    「我々日本メーカーはアメリカに半導体を教わった。半導体で日本に追いつかれたアメリカはインターネットに飛び移り、グーグルが生まれた。分からなければ教えを請う。請われれば教える。人類はそうやって進歩してきたんだ。技術の独り占めは、長い目で見れば会社にとってマイナスにしかならんよ」、「シャープとの提携をきっかけにサムスンが日本に追いついてくるのなら、日本はその先に行けばいい。だが、日本の半導体産業はいつまでもDRAMに固執し、衰退の道を歩んだ」、「日本半導体産業の敗因は、外に技術を漏らしたことではなく、自らが足を止めたことにある」という言葉が印象的だった。

  • 業界では量産に向かないとレッテルを貼られていた金属酸化膜半導体の構想を米国企業を説得させ量産依頼して、その共同開発中に発想のスピード・豊かさを評して戦闘機では追い付かないロケット・ササキ。
    アポロ宇宙船向けの半導体開発、LSI(大規模集積回路)を電卓に採用して個人に普及させ、ジョブスにアドバイスし、孫正義さんを応援し続けたサムライサラリーマン。
    そんな佐々木さんの動機は「技術は人類の進化の為にある」ことで企業や国を超えた共創を実現してきた人物。
    真空管を開発した西堀さんやロボット研究家の金出さんと共通するものを感じました。
    読んでいて気分爽快になり元気が出る本です。

  • 全く存じ上げなかったが「ジョブズが憧れた」のサブタイトルに惹かれて読んだら引き込まれた
    わかってない人が日本は自由な発想ができないっていうけど昔も今もたくさんいる
    わかってないのに声が大きい人がそういうのを潰しているだけ

  • 電子立国・日本の礎を築いた「伝説のエンジニア」佐々木正の生涯を描いた本。

    デジタル産業の黎明期に、エンジニアとして優れているだけでなく豊富な人脈を駆使して、日本のデジタル産業を牽引していったエンジニア・佐々木正さんの生涯が書かれています。

    生涯エンジニアとして、100歳を過ぎても好奇心が衰えなかった佐々木正のスゴさが、本書を読むとよくわかります。

  • まだWindowsがない時代、パソコンの世界は憧れだった。あの時Sharpは尖ったPCを作っていた。 その後ザウルスを見た時の驚きも忘れない。
    そんなSharpでどんな人達が働いていたのか、この本を読むまで全く知らなかった。
    当時PCが得体のしれないものだったから、エンジニア達は自由だったのかもしれない。日本が発展途上だったから、リスクを取ってチャレンジできたのかもしれない。
    最後までシャープに希望を感じていたササキ氏。これからの日本でどんなワクワクの種が育つだろうかと気になってきた。

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著者プロフィール

大西 康之(オオニシ ヤスユキ)
ジャーナリスト
1965年生まれ。愛知県出身。1988年早稲田大学法学部卒業、日本経済新聞社入社。欧州総局(ロンドン)、日本経済新聞編集委員、日経ビジネス編集委員などを経て2016年4月に独立。著書に『稲盛和夫 最後の闘い JAL再生にかけた経営者人生』『ファースト・ペンギン 楽天・三木谷浩史の挑戦』(以上、日本経済新聞出版)、『三洋電機 井植敏の告白』『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』(以上、日経BP)、『ロケット・ササキ ジョブズが憧れた伝説のエンジニア・佐々木正』(新潮社)などがある。

「2021年 『起業の天才!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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