- Amazon.co.jp ・電子書籍 (339ページ)
感想・レビュー・書評
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久々に上下巻ある本にチャレンジ…
意気込んで読み始めた割に、サクサクっとあっという間に読んでしまった。凄い。
4人のピアニスト達のキャラクターが魅力的で、それぞれ出す音の描き方も違う。
そもそも文章で音を表現する事が凄いのに、見事にその性格を書き分けている。
明石・亜夜・マサルの生い立ちや、こうまでして厳しいピアノの世界で生きる「理由」に迫り、物語に奥行きを出している。
感情移入してしまう…
それにしても風間塵だけ異質すぎる。
背景描写もわざと?少ない。
規格外に凄すぎるのに、実態のつかめない不気味さをうまく表している。
たった数日間のコンクールの話で、こんなに膨らませられるんだ…
しかもこれから三次予選と本戦!
先をチラッと先見したい気持ちを抑えるのが大変だ。。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
再読。
先日、映画を観た。時間の都合なのかいろいろと端折られた感が強く、ただ、だいぶ前に読んだので原作がどうだったかを確かめたくて再読。
面白かった!これぞエンターテイメント!本なのに音が聴こえるようだった。
初めて読んだ時に映像が見えるかのようで面白くて、音楽も聴きたいから映像化して欲しいと思った。でも、やはり映画は限られた時間なので、一次予選、2次予選、3次予選と少しずつ化学反応するように成長していく様を描くことは難しい。
やはり原作に優るものはないなぁ。
明石や三枝子、ナサニエルといった脇役たちも丁寧に描かれている。
亜夜、塵、明石の映画でのキャスティングがピッタリで、原作を読んでいてもその3人の役者さんが浮かびながら読んでいる自分がいた。すごくピッタリで、逆に言うと3人以外の役者さんが今浮かんでこない。
特に松坂桃李は、明石のちょっと冴えない、でも誠実でまっすぐな感じをしっかりと演じていた。あれほどのスペックを持ちながら、あぁも自然にちょっと冴えない感じを演じるのすごいなぁ。
映画の話に逸れてしまった(笑)
GWは帰省したのでKindleで読書。
以前は時々Kindleで買っていたので、これを機に再読していこうと思ったが忙しくてあまり読めなかった。でも、手軽に読めるKindleは好きだ。 -
小説家って凄いんだなあ、という感慨をつくづく感じた。
勿論音楽家、プロの演奏家の凄さはとんでもないのだけれど、彼らを描写する文章をこれ程までに真に迫る迫力で魅せてくれる小説家の物凄さを改めて感じた。
なんと執筆(幻冬舎の無料のPR誌に連載されていたのだという!)期間は足掛け7年。構想を含めるとそれ以上の年月をかけて少しずつ少しずつ作りあげられたまさに珠玉のような作品。
下巻後半、最終予選を演奏する3人のコンテスタントの描写には、思わず涙が出て我ながら戸惑った。凄いな、これ。
周知の通り、その年の直木賞受賞、そして2017年の本屋大賞受賞(2回目)。
その後メディアミックスなどで相当な人が手に取ったのではなかろうか。
読んでいる間はずっとAmazon Music で「蜜蜂と遠雷 音楽集」を聴いていた。
書籍と同じ鈴木成一氏のデザインが非常に目立つジャケット。
音楽は素晴らしい。
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ハードカバーで読みました。分厚いので上巻の部分だけ読んで、一度図書館に返却。ピアノとか舞踊とか、こういう世界って本当にこうだよなあと、身につまされるところが多く、プロへの登竜門でしのぎを削る、才能豊かなピアニストたちの群像劇なのですが、夢中で読みました。よくある設定だとおっしゃる向きもありますが、実写映像やアニメで、音をつらつらっと聴いて進んでしまうよりは、文章で想像しながら読んでいくほうが、私は面白かったと思います。
クラシック音楽に対する知識があれば、尚更面白いでしょうし、なくても取り上げられている曲が、とてもメジャーなので、あの曲か…という感じでお読みになれば、特に問題はありません。コンテスタントたちの心理を、淡々と積み重ねていく小説だと思いますので、大げさな感じがしなくて好感が持てました。ただ、上巻を読んだ時点で、コンクールの結果が想像できちゃう部分があるのは、ちょっと惜しいですね。
同時期に他の作家さんでもクラシック音楽モノがヒットしましたが、演奏シーンが印象的なので、こちらに軍配が上がる気がします。 -
本書の読みどころは最低でも2つ。1つは、該当曲をBGMで流しながら読むことで、著者の曲に対するイメージを言葉で反芻できる点、もう1つは「本戦」(下巻)の物語としての出来の素晴らしさ。「第3次予選」までの内容を「本戦」で昇華して魅せた作者の力量はやはりすごい。
本書の生みの苦しみは解説でも触れられていますが、実際にコンクールに何度も足を運んだりした密度の濃い取材や7年の長期にわたる連載でのモチベーション維持など、出版社と編集者に恵まれた賜物だったことがわかります。第156回直木賞は賞の権威付けとなる良い作品に巡り合いました。ところで、タイトルの「蜜蜂」はわかるが、「遠雷」はどこから来たのだろう? -
単行本を借りて読みました。
頁を捲ってごくごく最初に大仰な曲順などがあり、音楽をしている人などにとってはワクワクするのでしょうが、私は(なんだか専門用語たっぷりの音楽小説なのかな~苦手かも)なんて思ってしまっていました。
が、読み始めるとするすると引き込まれてしまい、すっかりお話の世界に嵌まり込んでしまっていました。
音楽って本来は「聞いて楽しむ」もので、文字から読み取って楽しむものではないですよね。でも、この小説からは音が零れてくるように音楽を楽しむことが出来るんです。これは音楽の新しい楽しみ方、と言ってしまってもいいかもしれないくらいの感嘆でした。
小説や文筆には苦手とする範囲があって、それがまさに音楽であって、例えるなら「モノクロ映画で観客に色を感じさせる」ことくらい技巧が必要なものだと個人的には思っているのですが、この作品では知らない曲でさえ感じ取った気分になれたのが驚きです。
俯瞰して見ると、主人公は天才少年、風間塵だと思いますが、クローズアップして細部を見ると本当の主人公は亜夜なのだと思います。彼女がいかにしてコンクールというピアノの舞台に戻ってきたか、ピアノを弾く毎にどのような心境の変化があったのか。そのあたりに、ホフマン先生が塵を「ギフト」と称したキーがあったりして、これは単なる音楽賛美小説などではなく、音楽や絵画、小説などあらゆる芸術や伝統技法の頂点を極めんとする人たちをテーマにした話なのだと気付いた時には、既に物語が終わっていました。
最後の数ページをめくるとき、「ああ終わってしまうな」と寂しい気持ちになるような、素敵な作品でした。もう一度頁を捲りながら、その時に演奏された曲をBGMにしてみたいなと思います。
追記:ジョルジュ・サンドって男の人でしたっけ? そこだけすごーく気になりました(笑) -
若きピアニスト達の、コンクールで競い合う様を描いた小説。
音楽の描写は多彩で、演奏シーンは迫力・臨場感有り。
登場キャラクターはそれぞれ特徴があり、親しみを持てる。
一方でストーリーはやや退屈。
上巻は二次予選の途中までだが、誰が勝ち上がるのかは予想が付くのでハラハラドキドキは無い。
話の進み方は演奏→それに対する感想やらの繰り返しでワンパターン。
下巻で意外な展開を見せてくれることに期待します。 -
初めて読んだ時も今回3回目読んだ時も鳥肌が立つ。このように読んでいて鳥肌が立つ小説はなかなか他にはないと思う。
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明石、マサル、亜夜、そして塵のピアノが聞きたいと思った。誰かというより、何かのために弾くという言葉が印象的である、音楽や文学や美術には、表現者の表現であり、それ以上でもそれ以下でもないのである。