- Amazon.co.jp ・電子書籍 (425ページ)
感想・レビュー・書評
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中国は歴史上の僅かな期間を除いて常に世界に冠たる帝国でした。そのため、プライドが高く面子を重んじます。華夷秩序はその思想を具現化したもので、世界は中国のルールに従うべきで、歯向かうものには思い知らせるというものです。本書は図書館本で読みましたが、今回電子書籍を購入して再読しました。中国の脅威は本物か?高まる戦争リスクをいかに避けるかというテーマを総合的に考察したものです。その後の中華経済圏の拡大や緊迫化する東アジア情勢を踏まえると本書の指摘がいかに正しく、また、事態が進んでいるかを知ることになります。
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ここまで世界が複雑で不安定になるなんて誰が想像しただろうか。
中国が経済発展しても、世界秩序を重んじ、各国との友好関係と調和を取っているならば、何の問題もなかった。
やはり我々の認識が甘かったと言わざるを得ない。
中国は世界の中心に返り咲き、明確に世界を支配したいと思っている。
そういう意味でもアメリカとは太平洋を挟んで対峙し、にらみ合いながら世界の覇権争いをする気満々である。
その時に中国にとって邪魔なもの。
それが台湾であり韓国であり、日本なのだ。
これらはアメリカの軍事によって守られているが、果たしてアメリカはこれら国々をどれだけ重要と思ってくれているだろうか。
政治的には重要な拠点かもしれないが、現場レベルの意識としては、当然アメリカ人兵士が命を懸けてまで日本を守ろうとは思わないだろう。
そういう点も踏まえて、我々はどう対処すべきかをきちんと冷静に分析する必要性があるのだと思う。
日本は太平洋戦争で負けたが、そこから世代が替わり、自分も含めて戦争を知らない人たちがほとんどとなった。
逆に「平和な世界」しか知らないという、あまりにも特殊でお花畑的な思考に陥っているとしか思えない。
今までが奇跡的に平和で大きな侵略がなく来れただけなのだ。
これが永遠に続くなんてことは通常はあり得ない。
逆に他国は常に周囲の国々からの侵略に怯え、疑心暗鬼になり、気を緩めずにいる訳だ。
その点でも日本という国が特殊な戦後を過ごしたと言わざるを得ない。
本来ならば国防に充てる軍事費をアメリカに担ってもらい、浮いた経費を戦後の国家の発展のために投資が出来た訳だから。
戦争での犠牲は悲惨だったが、戦後はあまりにも出来過ぎてないだろうか。
だからこそこの歪み、反動は大きなものとなっている。
ソビエトが倒れ「日本は冷戦に勝った」という識者がいた。
日本がアメリカ陣営なのだから、それも当然ではあるが、自国の努力で勝利を勝ち得たとは到底思えない。
しかしその識者は別の意味で深い言葉を残す。
「戦争は必ず勝たなければいけない」
これは本当に正しい。太平洋戦争で負けた日本は奇跡の復興をしたが、その代償が如何に重かったか。
そしてラッキーだったのは敗戦したにも関わらず、戦後大きな事件に巻き込まれずに平和に来れたことなのだ。
しかしいよいよこれからの未来はどうなっていくか分からない。
万が一にも、中国と戦争になったらどうなるか。
さらにそこで敗戦国となったらどうなるのか。
それを想像するだけで恐ろしい。
平和主義という名のお花畑の思考の人たちは、そういう想像すら忌み嫌う。
逆に言うとそれって思考停止と言えないか?
相手は攻めて来る気満々である。戦いたくなくても、戦わざるを得ない時が来る。
その時は絶対に負けてはいけないのだ。
そういう状態になったら、我々はどうすべきなのか。
まずは現状認識を改めて、思考するところから始めるべきだろう。
脳内お花畑では、本当に死が待つだけだ。
この素晴らしい日本を未来に残すために、真剣に考えたい。
(2021/8/27) -
安全保障の現実を突きつけられる。筆者はトランプ大統領の補佐官。米中戦争という言葉は少々過激に感じられるかもしれないが、日本では報道されていない米国・中国それぞれの公式な声明は筆者の挙げている根拠を裏付けていることから信憑性が高い。さらに日本の外務省の見解もほぼ同様のものである。
中国米国の政戦両略から
・長期の目的を一貫してもつこと
・相手の手と自分の手、相手の目的と自分の目的を冷静に分析すること
・目的に対して粘り強く取り組むこと
がいかに重要かがわかる。
中国と米国の経済・軍事バランスは大方の予想より早く、2030年代には逆転が見込まれるが、その時日本はどのような選択をすべきなのだろうか。筆者は、
・日米同盟の強化
・日本による米国から中国への乗り換え
・日本による核武装(独自化)
を挙げているが、日本の世論としてはどの選択肢も痛みを伴うものである。しかし、上記の通り「長期の目標」に対して早くから取り組まなければ選択肢は失われ、第二次大戦のときのように主観的には「そうせざるを得ない」行動をとるはめになる。そうならないための議論が今求められていることがはっきりとしている。
また、特筆すべきなのは筆者は「尖閣の中国の次の目的は琉球である」と分析していることである。中国に乗り換えたときに、琉球(実は中国はすでに主張している)の譲渡を迫られることに日本は耐えきれるのであろうか。歴史問題を起点に非友好的な中国という選択は非現実的に思える。 -
今、トランプが中国に対して行っていることが、非常に理解できる。
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【「トランプ政権の教科書」と言われた衝撃の書が文庫化!】米中貿易戦争を仕掛けた異色の大統領補佐官が説く、米中軍事衝突の可能性。トランプの対中戦略の狙いは、全てこの本から読み取れる。