夫のちんぽが入らない (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • どんだけぶっちゃけた話なんだよ、タイトルもキャッチーだけど、最近よくSNSの広告で見るウェブ漫画みたいな、共感者を求めてるだけの話みたいなやつか?

    …なんて思ってすみませんでした。読む前のわたし、ちょっと叩いてもいい。
    重くて切ない私小説でした。こりゃ大変よ。
    一言で言うと、怒りの小説だと思います。言いたいけれども言えなかった、心の叫び。
    なんだかあらゆる面で問題だらけだった「私」ことこだまさんの、戸惑いここに行き着くまでの物語。

    彼女の性格、母親の存在、のちに夫となる男性との出会い、選んだ職業、たくさんのエッセンスがこの主人公を作り上げたのだなと思います。
    個人的には母親が許せませんが…(私の母も「子育ては失敗したけど、孫育ては失敗しない」などと娘に言うような人なので…悪気はないんですけどね)

    変な人ばかり出てきます。
    もちろん、こだまさんも、ちょっと(?)変です。だからこそ本が面白くなるんですけど。
    夫との出会いも圧倒されます。呆気に取られます。

    その辺については、巻末の解説でも書かれています。この解説がまた非常に面白かった。
    文庫版の巻末には他に、特別編としてエッセイが載っています。そのタイトルは「ちんぽを出してから」。
    いや笑うでしょ。そのタイトル。
    こんな調子で、笑わせにきてるよね?と言いたくなる文が、この重たい内容の中に、ちょいちょい出てくるんです。誰がおもろいこと言えと、と突っ込みたくなるけど、重い。え、笑っていいの?笑えないよ?と思いながらも、ジワるやつ。
    なので、これから読むならぜひ文庫版をお勧めします。

    こんな、こだまさんが誰にも言えずに壁に向かって叫び、紙面に書き殴った私小説がこれですから、2冊目のエッセイもきっと面白いんだろうなぁ。

  • いろいろなことがモヤモヤする内容ですが、タイトルから想像しなかった物語でした。
    私もネットのない時代に青春時代を過ごしましたが、今は完璧に正しい情報ではなくても疑問に思ったこと、困っていることを調べることが容易いこと、それがどんなにありがたいことなのかをしみじみと思いました。

  • 夫のちんぽが入らないながも仲良く暮らしました、という浅い話かと思っていたら…

    とんでもない!

    学級崩壊、宗教二世、出会い系、難病、精神疾患、母娘の確実、子供がいない夫婦への世間の対応、などなど様々な問題が起き、波瀾万丈な人生のとても深い物語でした。

  • タイトルからは考えられないほど重い話だった
    のに、文章を書くのがうまく所々ネタが入り笑ってしまう
    こんなに重い話をこんなに面白く出来るのがすごい
    タイトルのせいで人に勧めづらいのが難点(笑)

  • 悲痛で切なくてよかった。基本的に主観としては明るく楽しいセックスばかりしてきたので、精神疾患の辛さを紛らわせる行為としてなされるセックスの場面がすごく辛かった。セックスはあなたが他人に必要とされる唯一の機会みたいな深刻なものなんかではなくて、アイスクリームとホイップクリームとチョコクリームと12種類の果物が乗ったふわっふわパンケーキみたいに素敵に楽しめばいいものなんだよ、といいたいけれどもそれをいうと著者をさらに傷つけてしまうだろうからいえない、というような気持ちで読み進めた。
    著者は愛着障害かなにかで、発達障害も持っているように思う。そのような著者と、同じく発達障害持ちくさい夫が出会って結婚したことは、悲劇なのかどうなのか。似たもの同士でくっついてしまうのはあるあるだと思うが、夫の風俗バレや朝食を捨てる場面では、夫よてめーもう少しまともになれやとイライラしてしまう。
    ほんとこの後は心穏やかに健やかに生きていってほしい。後書きで雨宮まみ氏への言及があり彼女がおそらく自ら人生を卒業することを選んだ結果この世界にもう存在しなくなってしまったことをひさびさに思い出して少しだけ泣きそうになった。

  • タイトルで損をしているエッセイ、と言いたいところだけど、これしかないタイトルだった。
    アレなタイトルだけど、中身は真面目で、普通という呪いに苦しんだ普通の女性の血を吐くような告白でした。苦しいなんてものではなかっただろうな。好きな人と、出来ないなんて。
    でも、少し自分の在り方を肯定的に捉え始めたこだまさんに拍手をしたい。
    私も、他人の結論や生き方を無自覚に踏みにじる人が、少しでも少ない世の中がいい。私自身も、そうありたいと思う。

  • 私にとっての性行為は「しなければいけないもの」だった。
    私は「性」の面で夫を不幸にしてしまった。

    他人に判断を委ねる必要はないのだ。私と夫の問題なのだから。

    私たちは不運だったかもしれないけれど、決して不幸ではない。

  • 文章が気持ち良くてすらっと入ってきました。

  • Audible

  • 文庫版エッセイに曰く「暗い自分語り」と言って論難した人がいたとか。感性は人それぞれだが、この作品はむしろ、暗い自分語りだから良いのだと思う。個人的な体験と思考を書いているのに、誰かの心に響き繋がることに意味がある。読ませる筆力があるし、小説は読者を気持ちよくさせないといけない訳でもない。暗さと個人的ということは価値だろう。

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著者プロフィール

主婦。ブログ『塩で揉む』が人気。同人誌即売会「文学フリマ」に参加し、『なし水』に寄稿した短編を加筆修正した私小説『夫のちんぽが入らない』で2017年にデビュー。翌年には2作目となる著書『ここは、おしまいの地』を上梓した。現在、『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』で連載中。

「2020年 『夫のちんぽが入らない(5)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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