金井元会長は、車両設計部、企画設計部、車両先行設計部、時代にボトムアップで一括開発の考え方を提案した立役者。長期ビジョン作成の為の10のCFTのうち唯一採用されたCFT6のモノづくり改革が、10年足らずでここまで達成されていることに驚きである。MDI(マツダデジタルイノベーション)、ベンチマーキング、高圧縮エンジン研究(人見氏による)、相似形の編集設計、「しなり」デザイン、など多くのパズルが嵌っており奇跡とすら思える。BMWの戦略に近いやり方でBMWに勝つことを目標とし、アウトバーンで実現できている。2006年からは研究開発要員を100人→300人に増やし、その間の既存設計は従来技術を使う事で両立。技術系における目標やビジョンを示し、それを実現してきた。PDCAのPD重視といわれるが、とにかくPを時間をかけてやれという事ではなく、よく考えてある程度勝算が立てられたら早く動く。早く結果が出るしそれがリスクヘッジになる。常識を崩すには、「そのためには」「何のために」と、内挿のなぜで内側に潜り込み、外挿のなぜで広げる。二律背反に挑み、実現することが強みに繋がる。こういったやり方でイノベーションを実現してきている。開発プロセスをルールを決めてがちがちに、定義をきっちりリポート形式を作ってとやってみたこともあるが、できた途端に使えなくなる。変化に追従できない。今の時代、あまりがちがちのマニュアルを作るのは無駄、「失敗しても影響が最小限に抑えられる」方向で考える方が良いとある。そして、変革の推進力が「誇り」であること。初代アテンザには「志」というミッションを決めたように、戦略と実現した時の姿を示し、共通の目標に向かって「熱」をもって実行してきている。自動車メーカとしては小さいといっても、1兆円企業だ。まるで中小企業の様な一体感を感じる。赤字、FORD傘下へ、という厳しい状況が結束力を高める事になったものとは思うが、そうならずとも変革ができるような会社が強いのだろう。