●位置: 122
では、なぜ真夏の炎天下のほうが激しく疲れるのか? それは、炎天下の活動で体温がどんどん上昇してしまわないように、汗をかかせたり、呼吸数を増やして熱い息を吐かせる命令を、脳が100分の1秒単位で出し続けているからです。 脳は、体中の内臓組織や筋肉を 24 時間休みなく制御しています。その機能を 司っている脳の組織を「自律神経」といいます。自律神経は、体が常に安定した状態を維持できるように、体温、呼吸、循環、消化などを無意識下で制御する「体全体の司令塔」であり、もし1分でも制御を 怠れば、すぐに死んでしまう 生命にとって最も重要な器官なのです。
●位置: 133
活動による自律神経への負荷は、運動に限ったことではありません。 デスクワークの場合でも、やはり緊張や集中力を制御する自律神経がフル回転で活動しています。 つまり、私たちが日常、活動することで生じる疲労は、すべて脳の自律神経の疲労といえるのです。 その証拠に、運動による疲労も、デスクワークによる疲労も、徹夜による疲労も、出現する症状は、全身 倦怠 感、 頭重 感、ふらつき、めまい、肩こり、むくみといった自律神経失調症とまったく同じなのです。
●位置: 143
つまり、私たちは あえて「体が疲れた」と自分自身の脳を誤解させることでオーバーワークを防ぐのです。つまり、自律神経に過度な負荷が加わって機能停止するのを防止しているのです
●位置: 181
サインを自覚したら脳を休めて疲労をストップ 脳が疲れていると、「飽きる」「作業効率が落ちる」「眠くなる」という3つのサインが現れます。 最初に現れるサインは「飽きる」です。
●位置: 190
いずれの場合も、 サインを自覚した時点で休息をとって脳をしっかりと休めて、疲労を回復させることが大切です。 さもないと、作業効率や生産効率が低下するだけでなく、注意力が散漫になり、視野が狭くなることで事故のリスクが高まります。さらに自律神経が疲労した状態が続くと、やがて高血圧症や糖尿病といった生活習慣病の発症率が高まり、免疫力の低下によるがんの発症リスクも上がります。認知症にもなりやすいことが報告されています。 健康を維持するうえで最も重要なことは、疲労のサインに気づいたらしっかりと休むことなのです
●位置: 211
実は目の疲労ではなかった「眼精疲労」 眼精疲労 は、これまで目の疲労と考えられてきました。しかし、研究が進むにつれて、 眼精疲労の原因は自律神経の乱れではないかということがわかってきました。 実際、眼精疲労の患者では、かすみ目、充血といった目の症状に加えて、倦怠感や頭痛、肩こりなど、自律神経失調症にみられる症状が出現します。
●位置: 222
本来、近くにピントを合わせるのは副交感神経優位の状況なので、自律神経において矛盾が生じます。そんな状態が長く続くと自律神経の中枢が 疲弊 し、それが眼精疲労として感じられるのです。つまり、 眼精疲労とは「自律神経が疲れている」というアラームにほかなりません。 従って、目薬をさしたり、ホットタオルで目を温めたりしても、眼精疲労は解決しません。むしろデスクワーク中はこまめに休憩をとって席を立ち、遠くの景色を眺めるなどして、できるだけ交感神経と副交感神経のバランスをとる必要があるのです
●位置: 258
また、ベッドに入ってすぐに眠りに入る、いわゆる「寝つきのよさ」を熟睡の証と考えている方も多いと思いますが、これも誤りです。 一般にベッドに入ってから寝つくまでの時間は 10 分程度。5分以内に眠ってしまうのはいわゆる「寝落ち」であり、睡眠負債、すなわち慢性的に睡眠不足や睡眠の質が低下しているサインです。 実は、睡眠のリズムを作っているのも自律神経です。寝落ちするほど自律神経が疲れていると、よい睡眠を得るのは困難です。睡眠負債が自律神経の慢性的疲労を起こし、自律神経の疲弊が睡眠の質を低下させる悪循環に陥ることになります。 毎日寝落ちしている方は、いびき同様、生活習慣の改善が必要です
●位置: 361
しかし、 眠っている間に寝汗をかいているようでは、体温調節のために自律神経が睡眠中も休まず働いていたことになります。さらに、近年のように熱帯夜が続く夏、寝苦しいのをがまんして冷房をつけずに寝ると、熱中症を招く可能性が高まり、大変危険です。 「睡眠中の冷房は体によくない」という説に、根拠はまったくありません。 寝苦しい夜は、高めの室温設定でもよいので冷房をつけたまま眠りましょう。室温は何度が適当かとよく質問されますが、実は湿度によって快適性は大きく異なります。たとえば室温が 28 度でも、湿度が 50%以下であれば、大半の方が快適と感じます。しかし、湿度が 80%を超えるようでは、多くの人が不快に感じ、熱中症のリスクが高まります。事実、厚生労働省も 28 度は熱中症の警戒温度としています。最近のエアコンは除湿機能が付いている製品も多いですから、湿度を 50%以下にするよう心がけましょう。 室内環境が快適であれば、自律神経を酷使せず、脳を休めることができます
●位置: 378
また、人間には 上半身を温めると交感神経が優位になり、心臓より下の下半身を温めると副交感神経が優位になる という習性があります。 だから「頭寒足熱」が理想の就寝環境なのです。 ベッドに入ったら、肩や腕は布団の外に出し、心臓より下は布団をかぶって温かい状態をキープしてください。 冷え性の女性などで靴下をはいて眠る方も多いですが、靴下で足裏を覆うと体温を放熱することができません。睡眠中は脳や体の代謝を落として休ませることが重要なため、深部体温を1度ほど落とすようになっていますが、靴下をはくと放熱が進まず体温を下げることができないため、深くて質のよい睡眠を得ることができません。 靴下ではなくレッグウォーマーで足首を冷やさないようにして寝るのがいいでしょう
●位置: 684
仕事中は、 集中力が持続する限界の「1時間?1時間半ごと」に「5分」休むように習慣づけましょう。 長時間続けて作業すると、脳の自律神経を構成する細胞のサビがすぐに修復できないほどに重症化し、疲れが簡単には回復しなくなります。 8時間作業する際にも、4時間仕事して長い休憩を入れるより、1時間仕事してこまめに休憩するほうが、トータルでのパフォーマンスが向上することがわかっています
●位置: 754
脳はパソコン同様、たくさん熱を発する器官です。常に冷やしてあげることが重要なので、のぼせるような入浴は「百害あって一利なし」といえるでしょう。 人間には、足(下半身)を温めると副交感神経が優位になり、眠くなるという習性があります。こたつに入ると眠くなるのはこのせいです。 また、人間は二足歩行をしますので、血流を足下から心臓の高さにまでくみ上げなければなりません。血流が滞っていると、くみ上げるのに余分な力が必要になり、自律神経が酷使されます。 足を温めると血管が拡張して血流がよくなるので、脳を休めることができるのです。体内の太い血管は、ひざの裏や足首で、皮膚のすぐ下を通ります。 銭湯や温泉などで浴槽に十分な広さがあるときは、足を伸ばして、ひざの裏や足首を温めると、血流がより促されます。 やむを得ずシャワーで済ませる場合も、浴室から出る直前に、ひざの裏と足首にピンポイントでシャワーを 30 秒ほど当てると効果的です。
●位置: 846
疲れたときは、安心・安全・快適な場所でのんびり過ごすのが最高の疲労回復法
●位置: 851
「なんとなく今日はバスに乗りたくないな」「会社に行きたくないな」といった感覚は、無意識の中で体が発する疲れの危険信号であることが多いのです。 人間は自分の体に起こっている現象さえ案外わかっていないのです。
●位置: 856
実際に 第六感を大切にしている人は成功しやすく、大きなミスが少なかったり、自分の体調をコントロールするのも上手です。無意識な潜在意識が発する第六感を無視せずに、自分の行動にうまく反映させることが「疲労感なき疲労」を軽減させるコツともいえます。