カモメに飛ぶことを教えた猫 (白水Uブックス) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 異なるから排斥するのではなく、異なる者どうしの愛こそ尊い
    飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願った者が全力で挑戦したときだけ

  • 小学校3年生の時に初めて読み、感動して、読書感想文を書いて、コンクールで佳作を取った。その時から、「好きな本はなんですか?」と聞かれたら、真っ先にこの作品を答える。あれから20年以上が経ち、久しぶりにじっくりと読み返した。
    「あーこれだよこれ」と心が安らぐ。

    まさに「8歳から88歳までの若者のための小説」。
    子どもが読んでも、大人が読んでも、その時の自身の状況によって突き刺さるものがある。
    子どもが産まれたら、自信を持って読み聞かせをしてあげたい本の一冊。

  • 短いストーリーだか大切なものがぎゅっと濃縮されている。
    自分と似た者を愛するのは簡単だけど、異なっている者の場合はとてもむずかしい。
    最初から飛べるやつなんていない
    何かを成し遂げる為には本人の決心が何より大切ということ。
    飛ぶことができるのは、心の底からそうしたいと願った者が全力で挑戦した時だけ。
    ネコが言ってるから心にスッと入ってきやすい。
    この世界の本質となる大切な事がネコとカモメを通して描かれている。

  • 【注:本レビューは,旭川高専図書館Webサイトの「私の推薦する本」に掲載した文章を,執筆者の許可を得て転載しています】

    最近、若い頃に読んで気に入っていた本が無性に懐かしくなり、手元に置いていつでも読み返したいと、少しずつ購入するのが楽しみになっています。それらの本は、時を経て読んでみても色褪せておらず、今の私の心にもすっと入ってきて、昔の友人に再会したような嬉しい気持ちになるのです。自分の感性と合って、心惹かれた本というのは、普段は特に思い出すことはなくても、ずっと変わらず自分の中に存在していて、自分の原点となっているのだと、しみじみ感じています。
    この『カモメに飛ぶことを教えた猫』も、私にとってそういう1冊で、出来れば当時読んだ単行本が欲しかったのですが、現在書店にあったのは2005年発行の新書だったため、それをつい先日購入して、読み始めようとしていました。
    そんな時、この原稿を書かせて頂くことになり、最近出版された本から選ぶべきか、過去に読んだ本から選ぶべきか迷いましたが、学生の皆さんにお薦めするなら、若い時の感性で選んだものの方が良いかと思い、旭川高専の図書館にも所蔵がある、この本をご紹介することにしました。
    銀色の翼のカモメ・ケンガーは、6時間飛び続け、体力を回復しようと魚を食べていた海で、原油の黒い波に飲み込まれてしまいます。命からがら、どうにか原油の海を脱出し、力を振り絞って飛ぶケンガーでしたが、ハンブルクの教会が見えたところで力尽き、近くへ墜落。そこには太った真っ黒な猫・ゾルバがいました。酷く汚れ、消え入りそうな息のカモメを励ますゾルバ。何とか助けたいと、仲間に相談しに行こうとした時、カモメに弱々しく呼ばれ、3つの約束をすることになり…。
    本来ならば、猫はカモメを食べてしまいそうなものなのに、瀕死のカモメに誓った約束を守り抜こうと、懸命なゾルバと仲間達。そして、原油に目も羽もやられてしまい、死の恐怖と戦いながらも、人間みんなが悪いわけではない、偏った考え方はだめだと己に言い聞かせて、最後の力を振り絞ったケンガー。彼らは物語をとおして、とても大切なことを教えてくれています。あとがきにも書かれていますが、著者のルイス・セプルベダ(1949-2020)の人生経験を知ると、それをより一層感じ取ることが出来ると思います。
    この作品は、ヨーロッパでベストセラーとなり、〈8歳から88歳までの若者のための小説〉と謳われたそうで、日本では中学生の一部の英語の教科書に、かなり短く要約されたものが掲載されたり、ファミリーミュージカルになったりしています。読みやすい作品ですので、ぜひ素敵な挿絵と共に、作品の世界観を味わってみてください。

    (学生課鈴木)

  • 劇団四季でファミリーミュージカルとして作成されるのが納得な一冊。

  • 劇団四季で観たこがとても楽しかったと言っていたので、本を買ってみた。
    本より四季の方が楽しいのかもしれないが、猫好きにはたまらない一冊だと思う。

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著者プロフィール

1949年、チリ北部のオバージェに生まれる。アナキストであった祖父
の影響をうけて若くして社会主義運動に参加(祖父の話は『パタゴニ
ア・エクスプレス』に詳しい)73年、アジェンデ社会主義政権を倒し
たピノチェト将軍による軍事クーデタの後逮捕され、南部テムーコの
刑務所に入れられる。二年半の服役の後、アムネスティの努力で釈放
される。80年からドイツのハンブルグに居を定め、そこでジャーナリ
スト・作家活動を始める。89年発表の『ラブ・ストーリーを読む老
人』や96年の『カモメに飛ぶことを教えた猫』がヨーロッパ諸国でベ
ストセラーになり、新しい世代のラテンアメリカの作家として注目を
集めている。

「1999年 『センチメンタルな殺し屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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