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感想・レビュー・書評
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藝大受験のスポ根もの。「マンガ大賞2020」の第一位。
「このマンガがすごい!」等で、私が去年今年とピックアップしてきた『違国日記』『SPY×FAMILY』『ミステリと言う勿れ』『水は海に向かって流れる』などの最終ノミネートを蹴落としての大賞なので、早速チェックした(この中で言えばホントは『ミステリ』に獲って欲しかった)。6巻まで一気読み。一応これで第一部終わりという感じかな。
不良とも付き合うけど、成績優秀、空気の読み方も上手い矢口くんは、高校2年でやりたいことが見つからなかった時に、1枚の絵に出逢う。「美大に行きたい。それならば家族に負担かけない国立藝大だ」と決める。夜遊びする男の子だけど、とっても真面目な若者なのである。たった1年半で、矢口くんは恐ろしく伸びるのだけど‥‥。
好みの問題で言うと、かつての第8回大賞作品『かくかくしかじか』(東村アキコ)と被る面もあり、一定面白いけど大賞とるほどのものか?と思ってしまった。ただその点については、
「スキ キライがあんのは
当たり前や
値段の高い料理が口に合うとは限らんし
逆に最初はそれほどでも
産地や製法聞いて
オイシイと思うこともある」
(2巻、予備校で一緒になった橋田悠のセリフ)
というセリフで、受け流されてしまったかもしれない。
普通の世渡り上手だけでは受からない藝大受験は、いわば現代社会の縮図でもある。
「単刀直入に言うわ
矢口の今の課題は対応力よ」
「やっぱり‥‥上手く対応できてないって
ことスよね」
「まあ、そういうことかしら
ちなみに矢口
どう考えて描いてる?」
「‥‥と
出題者はどう考えてるのかなーとか?
あと、苦手な部分を
どう克服しようか‥‥とか‥‥」
「矢口はマジメねー
でも
マジメさに
価値があるのは
義務教育までよ」
(4巻、一次試験に1週間切って予備校での面接での先生のセリフ)
現代の若者は、集中力があって、陰で努力して、相手の求めていることを分析して期待に応えれば、高校カーストや、一定社会では上位に食い込めるのかもしれない。でも、芸術は本当の実力が問われる世界だ。分かりやすさではダメなのだ。そこを突き抜けたホントの感性が問われるのである。予備校の先生は「マジメで真剣で喜ぶのは学校の先生と親だけよ」と言う。空気が読めるのは、矢口の武器でもあり、悪い癖でもある。「矢口に足りていないのは『自分勝手力』よ」と。他の言い方をするならば「楽しんじゃう力」らしい。ここまで読んできた読者ならば、それは「不良して夜遊びする力ではない」ことはわかるだろう。具体的にわかるには、全巻読まなくては分からないかもしれない。もしかしたら、読んでもわからないかもしれない。私のような擦れたオッサンじゃなくて、現役高校生が読むべきマンガだろう。
マンガ大賞作品は、たいていアニメ化されたり映画化されたりしてきた。これはどうかなあ、難しそうだなぁ。でもあえて作るならば、実写映画化が向いているかなな。劇中、ホントに描いたほぼ無名の協力者の人たちの力作絵画のコピーがたくさん出てくる。原作とは全く違った形で実際の藝大作品から持ってくれば、原作ファンも楽しい映画が出来るかもしれない。
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絵に載せた気持ちが伝わると嬉しいよね。藝大はすごいんだな。せっかくなら受験してみたかったかも。
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二次試験で見つける。
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すごいねー。合格してしまいました。
八虎くんの大学生っぷりも楽しみ。 -
いいねえ少年の成長物語。これで終わりってことはないよね。でもどこまで行ったら終わることができるのかがちょっと心配になった。
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二次試験で、思わぬ制約とモチーフ。本巻は二次試験にほとんどのページが割かれている。
一次試験は自画像で自身への解釈が問われた。二次試験はヌードモデルで美意識、価値観、哲学が問われる。こんな意味があったとは。
影を描くか、光を描くか。そこに主人公の完成と経験を合わせた形を答えとして出していた。
その過程では、意図しない出会いや人に助けられていた。どの人がどのように関わってくるかは本当にわからないものだな。
この巻までが受験編。次巻からはまた別の物語が始まるので楽しみ〜
やっぱ主人公の描いた画など作中で登場する作品はカラフルで見たいなぁ~スケッチブックとか。いつか再現作展でもやらないだろうか。 -
ここで一度完結としてみていい完成度。
一気に引き込まれた。