シェリ (光文社古典新訳文庫) [Kindle]

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  • 舞台は20世紀初頭のパリ。
    元高級娼婦の美女レアは49歳。現役時代にはライバルでもあった友人シャルロットの息子・シェリも、道行けば誰もが振り返る25歳の美男子。親子ほども年の離れたレアとシェリは、互いに恋人となって6年経つ。
    「ヌヌーン」(nounouは幼児語でばあやとか乳母とかいう意味らしい!)と甘えるシェリをレアは「坊や」と呼び、マナーや教養、人間心理、経済観念、その他諸々の感情教育を施してきた。だがその実、身も心もシェリに溺れきっているのだ。
    シャルロットのお膳立てで、シェリはうら若き19歳のエドメと結婚することが決まった。こんな時が来るのははじめからわかっていたことだが、果たしてレアは、自尊心を損なうことなく美しくシェリと別れることができるのか。。。
    という話。

    趣味の良いレアの部屋の調度品や服飾品、その色彩、布の手触り、香水のかおり、窓から差し込む光、そして主人公カップルの美貌、これらの描写にくらくら。これがおフランス…とか思っているうちに、レアだけでなく、女たち、男たちが何気ない日常のなかで静かに繰り広げる、プライドを賭けたヒリヒリするような戦いの様子に夢中になり、クライマックスのレアとシェリの応酬は固唾をのんで一気読み。

    本編後の解説では、ちょうど気になっていた疑問点(高級娼婦ってなに?など)を簡潔に説明してくれるし、訳者あとがきでは、ちょうど誰かと語り合いたくてしかたなくなっているこの作品の魅力を端的に綴ってくれるし、一冊丸々とても素晴らしい本だった。

  • 良くも悪くもフランス文学詰まってる
    続編の「シェリの最後」を読むとまた味わいが変わる

  • 面白かったなぁ!とびぬけて美しいともてはやされた高級娼婦にも、老いは容赦なく迫ってきて。ただまだそれは、よく手入れされ、保たれていた。けれど若い愛人が結婚し、嫌でも老いを意識するようになるレアの心理、ひとりを生きようと、大人としてふるまいながらも苦しむ描写、シェリの若者らしい苦難と子供じみた独占欲、身勝手な行動、そして期待から、一瞬少女のように戻ってしまうレア。そしてまた母のように毅然として突き放す。とっても巧みで、ただ面白いだけでなく、ぐっとくる小説だった。

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