甘夏とオリオン (角川書店単行本) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • <哀>
    僕は落語は好きだけれど,それでも年に二三回偶然に見るTVの「笑点」止まりの事だった.でもこの本のおかげで何処かの寄席へ出かけてみたくなった.僕の住む尾張地方なら大須演芸場かな.でも実は大阪天満宮境内に「天満天神繁昌亭」(なぜかこの本では「南條亭」になっている...)が有る事は,数年前に音楽関係の目的で南森町/天満宮へ行った時に見知っていた.なのでこの『甘夏とオリオン』の物語は話ののっけからぐっとのめり込んで行けました.大変面白かった,皆様おすすめでっせ!

    著者の増山実.僕の音楽方面大ファンである金森幸介将軍様がFacebookに書いていた記事で,前作『波の上のキネマ』を知って読んだ時から思っていたけれど,文章に独特のなんとも云えない哀愁がある.哀愁とは?と調べると「(独特の)もの悲しさ」だそうな.そう”独特”なのである.僕はこの独特の物悲しさがどうやら凄く相に合うらしい. お酒を飲みながらではあるが,この本を読んでいると涙が ぽろぽろ ぽろぽろ と出てくる.なんだろうこの増山実の作品と僕の相性は.
    それで本の後付で増山実の生まれ年を調べると,僕と同学年だということがわかって,ああそういう事かと思ったのだった.世代ごとに持っている想いというものは存外貴重で侮れないモノなのだ.

    (増山実さん.すんません,これだけ書かせてください.物語終盤に記述の有るバイクのアクセルは「踏む」のではなくて「回す」のです.そうです,バイクのアクセルは右手のハンドルについているのですから.でもこう書いていて,そんなバイクに一度でも乗ったことがある人なら誰だって知ってることを間違うだろうか.しばらくウーンと考えて,でもやっぱり 間違っているので,と思って思い切ってこの文章を書いてます. 尾張守料簡丸 m(_~_)m(すまぬw))

  • 女性落語家のお話。
    師匠が急に消えて、てんやわんやだし
    女ってなめられるし、でも踏ん張るっ。

  • 大学生だった恵美は引っ越しのアルバイトの祝儀3000円を使い、たまたま入った寄席で落語を聴くことになる。落語に魅せられ、大学を中退して落語家に弟子入りし、銭湯に下宿しながら女性落語家の道を歩むことになる。甘夏という芸名を貰い、修行に明け暮れる毎日のなか、師匠が失踪し残された二人の兄弟子と深夜に銭湯で「師匠、死んじゃったかもしれない寄席」を開催することになる。
    落語の語りの箇所が「落語への入門書」にもなっている。特に後半は味わいが深い。

  • 登場人物も多くなく、舞台も広くはないのだが、後半にかけて加速度的に面白くなる。

    主人公が大阪の女性落語家ということで、かつてハマった朝ドラ「ちりとてちん」とダブらせてしまった。
    甘夏がカンジヤさんで夏之助はワタセさんで小夏がキチヤさんで若夏・・・誰???(※兄弟子役残り3名のうちで)。

  • いい話だった。落語の話だが話の頭から最後までが、落語の噺になっている。最後まで師匠が判らず仕舞いだが、これが良い。

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著者プロフィール

1958年大阪府生まれ。同志社大学法学部卒業。2012年に「いつの日か来た道」で第19回松本清張賞最終候補となり、改題した『勇者たちへの伝言』で2013年にデビュー。同作は2016年に「第4回大阪ほんま本大賞」を受賞した。他の著書に『空の走者たち』(2014年)、『風よ僕らに海の歌を』(2017年)がある。

「2022年 『甘夏とオリオン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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