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- / ISBN・EAN: 4988003859947
感想・レビュー・書評
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第2次世界大戦直後のイギリスの島を舞台に、ある作家が魅了された読書会をめぐるミステリー。第2次世界大戦中、イギリスで唯一ナチスドイツに占領されたチャンネル諸島の1つであるガーンジー島。そこに暮らす人々の支えとなっていたのが、島での読書会とその創設者であるエリザベスという女性の存在だった。人と人の心を本がつないだ事実に強く興味を抱いた作家のジュリエットは、読書会に関する記事を書こうと島を訪ねるが、島にはエリザベスの姿はなかった。読書会のメンバーと交流をしていく中で、ジュリエットは彼らが重大な秘密を隠していることに気づいてしまう。
念願だった”ガーンジ島の読書会の秘密"をやっと観れました。読書会と聞いたら見過ごすわけにはいきません。主人公ジュリエットを演じているのは「イエスタデイ」「シンデレラ」などにも出演しているリリー・ジェームズ。パンフレットをマイルーム壁に2枚も飾っているのに全然気づかないのだから・・・。何といってもガーンジー島の美しさに目を奪われ、国境沿いに位置していたために大きな悲劇に見舞われたー、戦争は何処も同じ沖縄を想わずにいられません。
冒頭、読書会ネーミングのエピソードの入りが良かった。ナチス・ドイツの占領下にあったガーンジー島の夜、隠していた豚を料理しお酒を飲み久しぶりにお腹いっぱいになった4人はほろ酔い気分で歩いていた。夜間外出禁止令が出されていてドイツ軍の兵士に見つかり咎められる。そこでとっさに食事会を考案したエリザベスが気転をきかし、読書会の帰りだと嘘をつく。名称を訊かれ、とっさに考えた名前が「ガーンジー島文学・ポテトピールパイ同好会」。
読書会が中心になるストーリー展開を予想したのに、結果的にジュリエットをめぐる恋愛事情や小説家としての成長譚に傾いてしまったのが心残りだった。
エリザベスは狂言回しのような役割を引き受けているが、とぎれとぎれの記憶ではなくすっきりとした形で出しても良かったのではないか。エリザベスは正義感に溢れ強靱な精神力を持つ稀な女性。病気の子供を助けたため身柄を確保されドイツに送致されてしまった。読書会仲間のドーシーが「自分の娘・キットもいるんだから危険な行為はしないで」と、エリザベスを引き止めたシーンに、もっともだと肯きながら観ていた。エリザベスには娘を育てる大事な役割があったはず。結局、ドイツ捕虜収容所で弱い立場の子供をかばい殺される運命をたどってしまう。人として許されない事が目の前で行われると、危険を顧みずに向っていける人なのだ。若い頃はそんな人は小説の中の絵空事と思ったものだが、最近はそういう人も存在すると分かってきた。善かれ悪しかれ、自分の想像を超えた人たちで世の中は構成されている。
ジュリエットは読書会のメンバーとの約束を守り、世に出ない長い原稿を書き上げる。プロの小説家がそんなことをするだろうか。ジュリエットも凄い! 出来上がった原稿を彼らに送り読書会のメンバーは喜びあう。ここでラストを迎えたら結末に満足を得られたはず。ひょんなことで始まった読書会が続き、本を通して暮らしを支えていることが大事だろう。エリザベスとドーシーとの恋の行方はわざわざ描かなくてもわかるはず。その後のプロポーズなどは蛇足だったのでは?
☆金色の群れ咲く花にスク―リーン離れしばらくその名巡らす詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「読書会の秘密」というのは…そういう事だったのかって思わず、頷いてしまった。
しかし、本当に本「読書」で繋がるものってあると思う。辛く、大変な時代に生き抜いたガーンジー島の人々達の話だか、風景も綺麗で個々にある信念と、そこで生活する者の慎ましく生き生きしたものに魅了された気持ちが、とてもよく理解出来た。ラストの構成がいまひとつの部分もあったが、きっと、この映画を観ている人達が思い描いたであろう着地点に落ち着いて良かったなぁと思う。
個人的に「読書会」って、なかなか、いいなぁって思った本によって伝えられる真実ってあるもんね〜。
第2次世界大戦直後のイギリスの島を舞台に、ある作家が魅了された読書会をめぐるミステリー。第2次世界大戦中、イギリスで唯一ナチスドイツに占領されたチャンネル諸島の1つであるガーンジー島。そこに暮らす人々の支えとなっていたのが、島での読書会とその創設者であるエリザベスという女性の存在だった。人と人の心を本がつないだ事実に強く興味を抱いた作家のジュリエットは、読書会に関する記事を書こうと島を訪ねるが、島にはエリザベスの姿はなかった。読書会のメンバーと交流をしていく中で、ジュリエットは彼らが重大な秘密を隠していることに気づいてしまう。ジュリエット役を「シンデレラ」のリリー・ジェームズが演じるほか、ミキール・ハースマン、トム・コートネイらが顔をそろえる。監督は「フォー・ウェディング」「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」のマイク・ニューウェル。 -
THE GUERNSEY LITERARY AND POTATO PEEL PIE SOCIETY
2018年 フランス+イギリス 124分
監督:マイク・ニューウェル
原作:メアリー・アン・シェイファー/アニー・バロウズ『ガーンジー島の読書会』
出演:リリー・ジェームズ/ミキール・ハースマン/ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ/マシュー・グッド/グレン・パウエル
http://dokushokai-movie.com/
1946年、第二次世界大戦終戦直後のロンドン。多忙な新鋭作家のジュリエット(リリー・ジェームズ)は、一通の手紙を受け取る。かつてジュリエットが手放した本(チャールズ・ラム『エリア随筆』)に書かれていた住所を偶然みつけて手紙を送ってきたのはガーンジー島のドーシー(ミキール・ハースマン)という男性。彼と文通するうちに、ガーンジー島がナチスに占領されていた5年前の1941年、集会を禁じられていた彼らが苦肉の策ででっちあげた「読書会」のことを知ったジュリエットは、取材のためガーンジー島へ行くことに。
今も続いている読書会のメンバーはジュリエットを大歓迎するが、なぜか創始者であるはずのエリザベス(ジェシカ・ブラウン・フィンドレイ)だけが不在。読書会のことをタイムズ紙のコラムに書きたいというジュリエットの申し出に、読書会に家を提供しているアリシア(ペネロープ・ウィルトン)は突然態度を変えジュリエットを追い返す。やがてエリザベスの不在の理由と、残された彼女の娘キットの父親について少しずつメンバーから聞き出したジュリエットは、ロンドンにいる婚約者で軍人のマーク(グレン・パウエル)にエリザベスの行方についての調査を依頼するが・・・。
ガーンジー島はイギリス海峡にあるチャンネル諸島のひとつ。とにかくこの島の風景が美しい!小さな島には自然がたくさん残っていて、いたるところから海が見え、海岸や丘の上、どこを切り取っても絵になる。都会からきた裕福なインテリであるジュリエットが、島の人達の貧しいが素朴な暮らしに最初は驚くも、読書会のメンバーと打ち解けるにつれその暖かさに馴染んでいくくだりはベタだけどやっぱり良い。富裕な恋人からもらった豪華な婚約指輪をジュリエットが外しておくエピソードが後から効いてくる。
読書会はもともとナチスに厳しく監視されていた島民の中でエリザベスが集めた仲良しメンバー。ナチスに尋問されてその場の思いつきででっちあげた「ガーンジー島の読書とポテトピールパイの会」(※原題の「THE GUERNSEY LITERARY AND POTATO PEEL PIE SOCIETY」)を本当にするために、皆で集まって本を朗読し意見を交換し合うように。メンバーは場所提供者のアリシア、アリシアの亡き娘の親友だったエリザベス、そしてジュリエットに手紙をくれた養豚家のドーシー、密造酒(さまざまなハーブを使ったジン)を作っているアイソラ、島の唯一の郵便局長エベンの5人。ポテトピールパイとは、ナチスによってジャガイモしか与えられなかった中でエベンが作ったポテトとその皮のパイのこと。
しかしなぜか今はエリザベスはおらず、ドーシーが育てているエリザベスの幼い娘キットと、郵便局の孫の少年イーライが時々参加している。なぜエリザベスは居ないのか、彼女はどこに行ったのか、そしてキットの父親は誰なのか。ジュリエットは読書会のメンバーの心を開き、やがて真相に辿りつく。そこから浮かび上がる、戦争の傷跡、そして弱者を見捨てられない正義感の強かったエリザベスという女性の気高い心の美しさ。作家として書きたいことを見失っていたジュリエットは、ようやく自分の書きたいことをみつけ、そして自分が愛しているのが本当は誰かに気づく・・・。
恋愛パートはベタな展開ながら、まあこうなるよね、というところに落ち着いてそれはそれでOK。婚約者マークは別に嫌な奴というほどではないので、気の毒っちゃ気の毒。彼のプロポーズで始まったジュリエットの旅が、別の男性へのジュリエット自身からのプロポーズで終わるのはオシャレっちゃオシャレ。というか、ジュリエットの28冊しか売れなかったというデビュー作が『アン・ブロンテの生涯』で、読書会でジュリエットはブロンテ姉妹とフェミニズムについて激論をぶちかましたりするので、彼女が自ら選んだ男性にプロポーズするというのはとてもカッコイイと思いました。
そして戦争で両親を亡くしたジュリエットの、親代わりのような編集者シドニー(マシュー・グッド)がすごく良い人だったので、彼がゲイでさえなければ、アイソラとお似合いなのに!と勝手に思いました。
ブロンテ姉妹、ジェイン・オースティン、ヴァージニア・ウルフ、キップリング、イエイツ、シェリー、オスカー・ワイルド、シェイクスピアetc.読書会で取り上げられる様々な文学が、本好きにはいちいちツボで一覧が欲しかったくらいなのだけど、覚えきれなくて残念。しかし本好き、読書好きならきっと共感するところがたくさんあるのでおすすめ。
あと『ダウントン・アビー』好きとしては、キャストがかぶりすぎてて、主演のリリー・ジェームズは言わずもがな、エリザベスはシビルだし、アメリアはイザベルおばさんだし、シドニーはヘンリー・タルボットだし、で、勝手にニヤつきました。 -
ああ、ガーンジー島に行きたい。
ずっとは住めないかもだけど、泊まらせて。
ポテトピールパイって不味いって言ってたね。今なら砂糖とかバターとか入れて美味しいんじゃないかな。だれか作って。
ダウントンアビーのメンツが出てて嬉しかった。 -
これはわたしが悪いんだけれど先に原作を読んでしまったので、この作品を映像化するにはこうするしかないんだろうけど別物で悲しい…となってしまいました。
映画も落ち着いた良い作品でした。原作の良さが3分の1も出てないけど。。
原作の小説が全て書簡と電報の形式なのでそのままのストーリー展開で映画化するのはかなり難しいとはわかります。
でも上下巻の作品で、上巻のラストに満を持してガーンジー島を訪れる事になるジュリエットはそれまで読書会の皆さん(メインのメンバーはこうだけど、原作では会員もっといる)とかなり文通して信頼関係結んでてお互いにわくわくしてたのでここのところ変更されてたのしょんぼりしました。
登場人物の性格変更も寂しい…特にアリシアとキット。アリシアはジュリエットを邪険になんかしない…キットは簡単に懐かない…とうぅとなりました。キットはエリザベスの娘ね、っていう気高さがありました。
ジュリエットももっとユーモアある。
大戦中にナチスに占領されてたガーンジー島で、読書が支えになっていたのは本読みには嬉しいです。夜間外出禁止令出てるのに家に集まって楽しく過ごして、帰りに見付かって「読書会です」って言った機転凄い。ポテトピールパイは確かになんのこっちゃってなるから掴みはいいなぁ。
実物は全く出てこないエリザベスの事をみんな好きになるのもわかる…素敵だ。
ジュリエットも読書会のメンバーももっと素敵なんだ。。シドニーも後々島にくるよ。。
という訳で酷評なのですが良かったら原作をぜひ。かなりおすすめです。最後4分の1くらい別のかたが書かれてるので、エリザベス…となってる心がちょっと明るくなる楽しいエピソードあります。
読書会の様子の音声なエンディング良かったです。読書会たのしいなぁ、来年は参加出来ると良いな。 -
前半3分の1くらいまではとってもおもしろい。
邦題は「ガーンジー島の読書会」となっているけど、読書会の本当の名前は「ガーンジー島文学・ジャガイモの皮のパイ同好会」みたいな感じで、ジャガイモの皮のパイって何!?ってあたり、すごく引き込まれた。
でも、残り3分の2は、出来の悪い少女漫画って感じ。
不在なのに、読書会のメンバー全員の心の中心にいる女性、エリザベスの人物像がものすごく薄っぺらく漫画ちっくで、いかにも頭の中で考えた人物って感じで全く魅力を感じなかったし、主人公をめぐるラブストーリーもチープで、途中から「早く終わらないかな」などと考えてしまった。
しかし、とても眼福な映画です。
とにかく島の風景が美しい。石造りの素朴な建物が豊かな自然にすごくマッチしていて、ストーリーのチープさを補って余りあります。 -
第二次世界大戦中の英国でドイツの占領下となったガーンジー島から、戦後間もなく作家のジュリエットが受け取った一通の手紙。そこから始まった読書会メンバーとの交流。だが島には戦争中に起きた悲劇にまつわるタブーがあった。ジュリエットがその謎をひとつひとつ解いていくたびに…。ミステリ&ヒューマンドラマ&ラブストーリー。婚約者のいる女と子供のいる男に激しい恋が始まる訳もなく抑制の効いた中で、惹かれ合うふたりは最後の瞬間まで何も言わない。そして全ての謎が明らかになったとき幸せはクライマックスを迎える。大人の恋なのかねえ