連続殺人鬼カエル男 (宝島社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 『連続殺人鬼カエル男』中山七里さん

    ダイドン返し★★★★★
    問題提起★★★★★

    暑い夏に、少し怖さを加えた別次元の涼を楽しみたい方にお薦めです。

    【小説より】
    「褒章や自己満足じゃなく、お前はお前の泣いている人間のために闘え」

    小説の一節です。先輩刑事が後輩刑事に対して犯人逮捕の後に投げかけるメッセージです。
    事件発生から被疑者特定、そして逮捕まで、私は「踊らされ」つづけました。
    そして、ラストシーンのこの一言で、ようやく安堵の気持ちとなりました。

    【問題提起】
    刑法39条を作品のテーマにすえています。内容は、心神喪失者を責任無能力として処罰せず、また、心神耗弱者を限定責任能力としてその刑を減軽することを定めています。

    小説で取り扱っている殺人事件、そして現在進行中の殺人事件の双方の被告は、この39条が適用される、またはその可能性があるという設定です。
    また、被害者遺族、そして事件に怯える一般市民は、この39条の存在に一定の理解は示しつつも、完全に同意できない状況も描写されています。

    そうした意味で、問題提起のある推理小説といえるかもしれません。

    【タイトル、想定と中身のギャップ】
    タイトル(かえる)と装丁の第一印象は、おふざけのように見えるかもしれません。しかし、中身はまったくの逆です。殺人にいたる動機、殺害現場の描写、そして恐怖におびえる一般市民の警察に対する不信感と暴動、、、、どの章を切り出しても「緊張感」があふれています。

    【小説中盤からの醍醐味】
    小説の中盤で、読者は被疑者を知ることになります。では、小説の後半半分はどのような内容でつなぐのか?
    中山さんを好きな読者のみなさんは、この後半部分がやめられず・・・なのではないでしょうか?
    この作品もその期待を裏切りません。

  • 「おっ、『ミュージアム』の原作か??」とかなり安易な気持ちで読み始めた本作。『ミュージアム』と本作はあまり関係が無いみたいですが、確かにあっちのカエル男とは全く違う…結構描写がグロくてゥェッってなりつつ、一気に読んでしまいました。

    物語冒頭から、マンションの13階からフックで吊り下げられた女性の全裸死体が見つかる。傍らにはまるで子供が書いたような稚拙な犯行声明文。「きょう、かえるをつかまえたよー…」と被害者をカエルに見立ててることから、犯人は『カエル男』と命名される。犯人の捜索が上手く進まない中、第2、第3の事件が起きてしまう。世間がパニックに陥る中、無事犯人を捕まえることはできるのか?

    最初の事件の描写もそうですが、結構グロい!事件の合間に挟まれる過去回想シーンも、読んでるうちに気分が悪くなってしまうくらいおぞましく描かれていました。

    が、それだけならただの「グロいだけ」の作品。話は、事件を追ううちに憲法とも絡んでいきます。登場人物たちのそれぞれの意見に「なるほど」「いやそれは…」等々、いろいろ考えながら読んでしまいました。

    また、犯人が捕まらないことで地域住民たちの間でパニックがおきてしまうシーンなどは「そんなこと有り得るのか?」と思ってしまいましたが、よくよく思い返してみるとなんだが現実味がある…。コロナもそうでしたが、「こんなことあるはずない、空想上でしか起こりえない」と思うことこそ、案外起きてしまうのかも。

  • 埼玉県警の古手川刑事(とその上司、渡瀬警部)が猟奇殺人事件を追う、サイコミステリー。心神喪失者の責任能力という社会テーマを扱った作品でもある。

    古手川が捜査一課に配属されて1年、渡瀬は古手川を新人呼ばわりしているので、古手川が登場する一連の作品の中では時間軸が最も古い作品かな(そういえば、古手川がこの事件を回想するシーンが他の作品に何度か出てきてたな)。

    マンション13階から、若い女性の死体が口にフックを引っかける形で吊り下げられていた。傍らには犯人の幼稚なひらがなメッセージ(「きょうカエルをつかまえたよ。…」)が。そして、捜査陣を尻目に第2第3第4の殺人(圧殺、死体解剖、焼殺)も次々行われてしまう。

    後半は、暴力が横行する修羅場の連続。恐怖に駆られた一般大衆が暴徒化して警察署を襲撃。暴力にさらされ散々痛めつけられる古手川。その傷も癒えぬまま犯人と対峙した古手川は、更に、生きているのが不思議なくらいにボコボコにされてしまう(原題「災厄の季節」はむべなるかな、という感じ)。

    この暴力シーンの連続にはさすがに引いた(読んでいて、もうやめてくれ~、という感じ)。なので、暴力シーンが苦手な人には向かない作品だと思う(自分のテイストにも合わなかった)。

    ラストには、お定まりのように二度のどんでん返しが用意されている。これも、まあ唐突というか、意表を突くものではあったが、してやられた、という感じはしなかった。

    という訳で、これまで読んだ著者の作品の中では、残念ながらイマイチの部類だった。

  • ミステリー読みたい欲を
    どうしても抑えきれず
    読んでいた別の本を放って
    読み始めました。

    表紙で損をしているのでは?
    と思うぐらいポップな表紙ですが
    内容は重いテーマ、グロあり、
    激しい戦闘ありと
    しっかりクライムサスペンスです。

    ミステリー読みたい欲を
    満たす作品でした。

    戦闘シーンが少し長かったかなと。

  • グロい!!残酷!!胸糞案件!!
    どんでん返し!!
    連続殺人鬼カエル男恐るべし!!!!
    自分なめてましたわぁ〜(ㆀ˘・з・˘)
    だって表紙のカエル男どう見ても
    可愛いだろっっ!!

    あらすじ〜いきまーす♪

    マンションの13階からフックでぶら下げられた女性の全裸死体。傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。これが近隣住民を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の凶行だった。警察の捜査が進展しないなか、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに……。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の正体とは? どんでん返しにつぐどんでん返し。最後の一行まで目が離せない。

    みたいな感じです笑笑
    読んでみた感想は前半からマジでグロかった(´・_・`)
    尚且つ胸糞案件でした(´༎ຶོρ༎ຶོ`)もう〜ほんとね!あのクソ親父が、、今考えただけでもむかぁぁぁぁぁ!!
    叩き回したい!!

    そして中盤からめちゃくちゃ面白くなります!!街全体がすんっごい事起きます笑笑☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
    ここは日本ですか?とツッコミをいれるほどでした!

    後半から格闘シーンがありまさに!!
    手汗を握るアクションシーン
    怒涛のどんでん返しのラストっ!!
    読み終わった瞬間、自分は天を仰いでました。そして
    一言「いや、マジか、」と、、、笑笑
    いろんな意味で読みごたえのある作品でしたね〜(*^◯^*)
    でも面白い作品な事は間違いないのです!!続きもあるみたいなので是非読みたいです!!

    そう言えば物語の途中でクラシック曲をピアノで演奏するシーンが、あるのですが、興味をそそるぐらいうまく書かれている、、、
    と言うか!自分は影響を受けやすいタイプなんでしょー同じ曲を流しながら読んでました!!笑笑

    人生で初めてクラシックをまともに聞いた、、
    小説のパワーすげ〜

    ありがとうございました(๑・̑◡・̑๑)

  • どんでん返しの連続。中山七里のミステリここに極まれり。あのラストから次回作にどうつなげてくるのか、心配な面もあり楽しみな面もある。

  • 途中の無駄な戦闘描写はいるのか?
    犯人どんでん返しはやられました

  • 殺害の描写がリアルで苦手な人は苦手だと思います。
    中身は説明するようなナレーションが多く
    セリフが少なかった為、私個人的には
    読み辛さはありました。
    ですが、最後のどんでん返しにはやられました。

  • 登場人物が少ないのが残念
    クリスティ作品に似てるなーからの、予想外な展開
    ミスリードがミスリードでなかったり

  • う〜ん、評価が難しい本。 自分は連続猟奇殺人が好き(笑)なので、全体的には面白かったと思う。 格闘シーンを代表として一つ一つのシーンの描写が細かくてすごく迫力があると感じた。 ただ、あまりにも描写が長すぎてストーリー展開のスピード感が鈍るという欠点もあり、もういいよって思うことも正直あった。真相のトリックも少し無理があるかなという感じがしないでもない。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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