「みんなで豊かになる社会」はどうすれば実現するのか

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感想・レビュー・書評

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  • ー 「愚者は俺ならできると考え、賢者は愚者でもできるやり方を考える」などと言われますが、これはなかなか、深く考えさせられる話だと思いませんか。

    私たちはついつい「理屈から現実へ」の方向で生きているので、自分の知らない世界に接したときにも、「理屈に合う現実」だけを選び取って見てしまいがちです。結局、大都市やグローバルな流行という視点から、地方や農村のような「現地」を見ると、自分が前提とする「理屈」に合う「非常に特殊な個」にだけ着目し、「なんで他の人たちはこれができないの?」という点をちゃんと深く掘って理解しようとせずにいてしまうことがよくあります。

    これはたとえるなら、アメリカにおける黒人の貧困問題を語るときに、「ラッパーになればいいじゃん」と言い、ブラジルのスラム街の問題を語るときに「サッカー選手になれば?」と言っているような態度なのだと言えるかもしれません。個人の力を思う存分発揮させてもらえる恵まれた環境で育ってきた人には、「努力が必要ならすればいいじゃん」的な価値観が抜き難くあって、100の努力をやれる人が実際に一人いるんならみんなできるでしょう?という論理で、「最大限の努力を投入している一例を簡単に横展開できると考えてしまう」わけですね。 ー

    彼の主張の根底にあるのはロールズの正義論で、彼の言い方で言うと「一階建ての議論に終始してはいけないので、メタ正義の視点に立って建設的に議論して、合意形成を図り、空疎な一般論では無く自分事の主張をして自分達の未来を切り開いて行こう!」みたいな感じになるのかな。

    まぁ〜、言いたい事は分かるんだけど、異なる価値観を持つ関係当事者の言い分をメタレベルで価値判断出来る人って、そんないるわけないじゃん、って話なんだよなぁ。

    でも書いていることは面白かった。

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著者プロフィール

1978年神戸市生まれ。兵庫県立神戸高校、京都大学経済学部卒業後、マッキンゼー入社。国内大企業や日本政府、国際的外資企業等のプロジェクトにおいて『新しい経済思想』の必要性を痛感。その探求のため、いわゆる「ブラック企業」や肉体労働現場、カルト宗教団体やホストクラブにまで潜入して働く、「社会の上から下まで全部見る」フィールドワークののち、船井総研を経て独立。中小企業のコンサルティングで『10年で150万円平均給与を上げる』などの成果を出す一方、文通を通じた「個人の人生戦略コンサルティング」により幅広い「個人の奥底からの変革」を支援。著書に『21世紀の薩長同盟を結べ』(星海社新書)、『日本がアメリカに勝つ方法』(晶文社)、『「みんなで豊かになる社会」はどうすれば実現するのか』(amazon Kindleダイレクト・パブリッシング)など。

「2022年 『日本人のための議論と対話の教科書 - 「ベタ正義感」より「メタ正義感」で立ち向かえ -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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