シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成 (NewsPicksパブリッシング) [Kindle]

著者 :
  • ニューズピックス
4.12
  • (81)
  • (89)
  • (41)
  • (3)
  • (3)
本棚登録 : 958
感想 : 103
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (572ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  これからの日本のグランドデザインについて、多方面にわたって提言しまくる、筆者渾身の一冊。あまりにも多岐にわたっているので、本がぶ厚くなってしまっており、日ごろ読書なさらない方にはハードルの高い本になってしまっていると思わなくもないです。けれども、それでも、できるだけ多くの方に読んでほしいと、個人的には思います。

     個人的には、教育論について、学ぶところが多かったです。
    日本では、教育は学齢期にだけ集中的に行われることがほとんどであるし、大学でもたいがい専攻は一つだけ。社会にでてから教育機関に通うことは、よほど本人に向学心があり会社側に理解がないと難しいことがほとんどであったと思います。
    それでは国際競争において敗北することは理の当然です。全方位全年代にむけた教育力を向上させていかなくてはならないというところには大変共感いたしました。

     特にこれからの世界で必要とされるスキルやジャンルについて興味のあるかたは、本書を御一読いただけるとよいと思います。データ×AIにこだわりすぎのような気もしますが。本書の副題にもなっていますから仕方がないですね(笑)。

    それから、日本の大学の成りたちについてなんですが。まだちゃんと調べていないのですが。どこかの時点でどなたかが、日本のどの地域にどれくらいのレベル&規模の大学をつくるか、グランドデザインを決めたみたいです。そして、とくに地方の産業は、この時に決められた大学のグランドデザインの枠からなかなか出られない。大学側も、小規模な改革をしたりはするのですが、大昔に決められた基本的な枠組みから外れることはなかなか難しい。そういうのを実際に目の当たりにしておりましたので、この本でいわれていることは大変よくわかります。

     本書後半の「風の谷」構想とか「菊の花」構想については、つっこみどころが盛りだくさんのような。
     武者小路実篤の「新しき村」に始まり、私が知らないような規模の小さな試みも古今東西沢山あるのでしょうが。うまくいったという話はあまり聞かない気がします。何をもって上手くいたと判断するのかも難しいですが。

    TODO;
     本書の要所要所で、官僚のかたが筆者に向かって言った言葉がちょくちょく出てくるのです。これが、事の本質を象徴するかのような非常に意味深いセンテンスになっていることに、途中で気が付きました。分厚い本なので、読み返すことがあるかどうかわかりませんが、次は、その官僚の皆様のお言葉に注目しながら読んでみたいと思います。


     

  • 分厚い本なので最後まで読みきれるか不安だったが、図も多かったからなのか意外にも短期間で最後まで読み切れて達成感に溢れ中。冗長的な言い回しも多かったがそこはななめ読みでOKってことで。

    ファクトフルネスでは世界はだんだん良くなっていることを知り楽観的になったが、本書では日本の未来を考えると怖いくらい悲観的になった。
    税金を使ってでも時間をかけてでも全日本国民が読めば、日本の国力UPするのに間違いない。
    特に政治家の人に読んでもらって、未来に使うべき予算の再分配をしてもらいたい。

    コロナ前に書かれた本なのに、テクノロジー自然が融合した「風の谷」の未来を描き推しているところがすごい。

  • なんか胡散臭い。すごく胡散臭い。
    大きなシナリオがあってそれに乗せよう感を強く感じてしまった。
    やはり国家が、とか集団の利益を鼻っ面に掲げる輩とはシンパシーを感じることができない体質なのだる。
    AI

  • オワコン化する日本の再生をどのようにして行なっていくべきかについて、現状分析→原因を明らかにしつつ、具体的な打ち手を提案している。データをベースに思考を掘り下げていく内容は、納得できるものばかりで、さすがマッキンゼー出身の著者の洞察力を感じさせる。
    グラフや図解が多く使われている点も、理解をスムーズにするのに大きく役立っており、読みやすい。

    変革期における日本の、最初は押される、でも後からしっかり巻き返す力を信じたいし、そのためにはここに述べられている提言は有用なものだろう。

  • 2021年3月3日のWEEKLY OCHIAIで本書をはじめて?知り、サラタメYouTubeチャンネルで21分解説を聴いて読んだ気になっていた。本書は21分でまとめられるほど生温い話ではない。
    ナウシカ(とシン・ゴジラ)にインスピレーションを受けて執筆した話に沿えば、本書は「闇の中にまたたく光」。周回遅れオワコン日本、でも希望はある。そう思わせてくれる。
    とはいえ、本書発行から早4年。現状はまだまだ厳しい。たとえば大学10兆円ファンドの2022年度運用成績はマイナス0.6%(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB071Q90X00C23A7000000/)。ファンド創設の働きかけは著者発のようでさすがではあるが、厳しい船出。すぐ結果が出るわけではないと頭では分かっていても、多少の焦燥感を感じてしまう(たぶん投資家には向いていないメンタル)。
    そんな自分に何ができるか……。ひとまずこうして応援代わりにレビューを書いている。併せて日本国全体の問題を概観した上で、個別つまり自分が向き合うべき課題をはっきりさせるため、改めて同著者の『イシューからはじめよ』を読んでみる次第。「風の谷」構想の今後も気になる(近々関連本を出す?)ので、安宅和人さんの発信(はてなブログなど)も追っていこう。

  • 以前読んだ「イシューから始めよ」の本を通じて私は知的生産の革命に大きな感銘を受けました。その著者の次なる著作が本書「シン・ニホン AI×データ時代における日本の再生と人材育成」です。

    昨今の日本では、「AIに仕事が奪われる」「AIが人間を超える」などの危機感が蔓延していますね。本書はこういった言説に対して、「これからの日本はどうすればいいのか?」「私たちにはどんな教育が必要なのか?」といった提言が書かれています。「作者はきっとこの国のことを本当に良くしていきたいと思って書いたんだなぁ・・・」ということがしみじみ伝わってくる内容でした。

    そんな本書ですが、筆者は最初に「今の日本はまったくもってオワコン」と言います。しかし、このオワコンともいえる状況をもって、ここから勝てる!オワコンだからこそ日本は勝てるのだ!とするのが本書の主張です。確かに、今の日本には未来に希望を持っている18歳が1割以下しかいないといった、悲観的な調査結果もあります。しかし筆者は、これから確実に到来する変化の波を「黒船」にたとえ、かつて黒船襲来によって日本が鎖国から解き放たれたように、変化を日本新生の契機に掲げていました。

    本書は400ページを超える分量で、そのボリューム故に複数の切り口で論じられています。「データ×AI利活用の基本ループ」「国富を生む方程式の変容」、「産業革命の3段階」「価値創出の型と生み出す価値」「現代リベラルアーツ」・・・などなどたくさんあり過ぎて書ききれないので、詳細はぜひ読んで確かめて欲しいです。さて、未来を創るための切り口として、本書は「出口産業」と「妄想力」を掲げています。正直言うと私自身も、本書を読むまではコロナ禍での今後の日本の社会や産業にこの先に打つ手を見いだせずにいました。しかし、読後の今は、飽くなき妄想の力に希望すら思うようになりました。また、出口産業についても、これからの日本は、GAFAのような既に君臨する巨大プラットフォーマーを目指すのではなく、データ×AIを実際の産業、利用分野へ活用する道を模索していくべきだという主張で、ここにも強く頷くことになりました。

    総じていうと、本書は「未来を創る」ための提言集だと言えます。これだけでも希望が持てる内容なので、特に就活・転職をしている人は希望の一冊になると思います。

  • 未来の青写真をこんなに描ける筆者は本当に素晴らしい。自分も今日から行動を起こしたい。

  • 日本の強み①水に流すゼロベース②キャッチアップスピード③若者に託す力④疎揃いの素材の良さをいかす(バランス感覚)P196①現状対象を全体として受け止める②現状対象を構造的に見る③知覚した内容を表現する④意図的に多面的に見る⑤物事の意味合いを深く何度も考える。教育:暗記(機械が得意)→気づく力(情報間の化学反応)4章三層リーダー:①芯棒になる②打ち込める(能力・環境)専門家:①データ×AIの専門家②データ×AIの力を使うリテラシー:①母国語・世界語でモノを考え人とやり取りする力②課題・設定・解決③データ×AIの力を解き放つ基礎能力★子育てが重要で20年後を見ながら親が実践(経験)する。海外のエンジニアを雇い教えてもらう(特にインド)空気を読む国語から三学(文法、論理、修辞)に。人を育てるポイント①意志・自分らしさ・あこがれ(マシン→自分らしさ、目的・体験・偉人・個性と深み)②皮膚感を持って価値を生み出す③サイエンスの面白さ④夢×技術×デザイン⑤道具としての世界語⑥アントレプレナーシップ。反復学習(これからの学校はオンラインで事前学習し、あとで宿題をクラスでやる)国家予算100兆円1/3借金23兆1/3社会保障32兆1/3(地方交付税15兆国防費5兆残り26兆)+70兆社会保障。10兆の社会保障の内年金60兆医療40兆★ダーウィン:生き残るものはもっとも強い種ではなくもっとも変化に対応できる種。未来はわからない→未来は目指すものであり創るもの‹未来予想›レベル1:見通せるもの(日本の人口推移、情報処理能力、ミクロな加工?2:他の可能性もある(米or中)3:ある程度幅を持つ4:不確実。地球上の大型生物の質量(人間3億トン家畜7億トン野生動物1トン)SDGs:「才能と情熱を解き放つ」「持続可能な空間を作る」

  • 中田敦彦のYouTube大学で取り上げられ、興味を持った。上司からも勧められたので、読んでみようと思った。
    同じ著者の『イシューから始めよ』は読むのに時間がかかったが、本作は平易に書かれていて読みやすい。(ただすごいボリューム).
    ざっくり世の中の変化や今後の日本が向かうべき方向性、我々1人1人にできることが分かるんじゃないかと期待している。

  • 今の日本は、データ、利活用、処理力、人・・・・・いずれの視点でも勝負になっていない

    日本の教育の誇る「手を使う」部分が、徐々に弱まっているよう

    未来は目指すものであり、創るものだ

全103件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

慶應義塾大学 環境情報学部教授。ヤフー株式会社 CSO(チーフストラテジーオフィサー)
データサイエンティスト協会理事・スキル定義委員長。東京大学大学院生物化学専攻にて修士課程終了後、マッキンゼー入社。4年半の勤務後、イェール大学脳神経科学プログラムに入学。2001年春、学位取得(Ph.D.)。ポスドクを経て2001年末マッキンゼー復帰に伴い帰国。マーケティング研究グループのアジア太平洋地域中心メンバーの一人として幅広い商品・事業開発、ブランド再生に関わる。2008年よりヤフー。2012年7月よりCSO(現兼務)。全社横断的な戦略課題の解決、事業開発に加え、途中データ及び研究開発部門も統括。2016年春より慶応義塾大学SFCにてデータドリブン時代の基礎教養について教える。2018年9月より現職。内閣府 総合科学技術イノベーション会議(CSTI)基本計画専門調査会 委員、官民研究開発投資拡大プログラム (PRISM) AI技術領域 運営委員、数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度検討会 副座長なども務める。著書に『イシューからはじめよ』(英治出版、2010)

「2020年 『シン・ニホン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

安宅和人の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×