ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA) [Kindle]

著者 :
  • 早川書房
4.04
  • (9)
  • (10)
  • (8)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 176
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (285ページ)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 巨大ガス惑星を16の氏族がそれぞれ都市型宇宙船で周回し、礎柱船(ピラーボート)を駆って大気を泳ぐ昏魚(ベッシュ)を捕まえて暮らしている周回者(サーカス)達。

    天才デコンパ(礎柱船を自由自在に変形させるデザイナー)のテラと天才ツイスター(操縦士)のダイの2人が、タブーとされる女性コンビで礎柱船を操り、昏魚を派手に捕りまくる。ガールズラブ作品。

    「アステリズムに花束を」に収録されていた同名の短編を長編に書き直した作品。先に短編を読んでしまったので、新鮮味はなかった。

  • ※この本は途中で挫折しました


    専門用語がバリバリ登場するSF作品が大好物の方にはお薦めできる。
    上遠野先生の作品のように1ページ目からオリジナル用語のルビが乱舞するので、ブギーポップシリーズを愛読した方にも。

  • 男女ペアの宇宙的な伝統漁法。
    古い考え方に囚われた世界を百合ペアの漁師が変えていく。
    聞くとよくわからないけど、読めばわかるSF。
    1作目から濃かったので、2作目どうしようか思案中

  • これはもしかして、いわゆるなろう系の作者さんに書籍化?

    「てへ」とか「あは」とか、普段我々が使わない言葉が堂々と出てきて驚いた。漫画っぽい。

    世界観は独創的で面白かったけれど、そんなに今の文明から遠く離れたセカイでも女性蔑視が続いているのかと思うとがっくりきた。

    一方でこの小説、男の人がほとんど出てこなくてびっくり。

    2巻も買っちゃったから読むけど、私には合わないなあ。

  •  量子SFならぬ“漁師”SFである。なおかつ百合SFでもある。いや、ジェンダーSFかな?

     周回者暦304年、汎銀河往来圏の辺境にある巨大ガス惑星の軌道上。大規模船団で氏族ごとに生活する周回者(サークス)たちは、ガス雲の中を遊弋する昏魚(ベッシュ)--金属結晶構造を持つ魚に似た生物--を捕獲して資源として活用していた。氏族の決め事として漁は夫婦で行わなければならなかったが、2年に一度開かれる周回者の“大会議”で5回目のお見合いに振られた大女テラに相方を申し込んできたのは、座った彼女と同身長の小さな銀髪の美少女だった--。

     光貫環、汎銀河往来圏、礎柱船、全質量可換(AMC)粘土、精神脱圧、舶用正装、ツイスタ、デコンパ、ミニセル、等々……しばらく前に読んだ海外SF作品ばりに見知らぬ造語がぞろぞろと出てきたが、なによりも信頼の“小川一水”印の国産品なんだから大丈夫、と身構えることなく読むことができた。しょっぱなで“十二指腸暦”のジョークをフかしてくれたので、いい具合に肩の力が抜けたのが良かったのかもしれない。

     精神脱圧(デコンプレッション)により形状を自由に変えられる礎柱船(ピラーボート)、食品はおろか衣装や日用品まで“印刷”して作り出す分子プリンター、それぞれに独特の文化をもつ各氏族、巨大ガス惑星の荒々しい情景と嵐の雲海を遊弋する昏魚の群れなど、いかにもSF的な描写はとても魅力的だ。
     また、それほど出番は多くないのだが、長老会属員のディッシュクラッシュやエンデヴァ氏族長の妻ポヒ等の脇役も、味わい深いキャラクターに思える。
     しかし、それ以上に魅力的なのは、もちろん二人のヒロインだろう。
     6年前に事故で両親を失い礎柱船を受け継いだテラはおムコさん募集中、“作り話のテラ”のあだ名を持つ妄想力過多な24歳。
     氏族船から逃げ出した母に無所属の測候船(ツナミ・サーチ)で産み育てられた銀髪の少女ダイオードは、既に9500時間の航行経験を持つ破天荒な18歳。
     それぞれに突出した才能を持つ二人が、閉鎖的な氏族社会のしきたりや因習に対して、互いへの信頼を深め高め合うことで立ち向かおうとする姿こそが、最も魅力的であり感動的だ。
     だから本作は、熱いバディ小説として読んで欲しい。

     プロローグで提示された伏線を回収して物語はいったん閉じるのだが、思ってもいなかった続編が刊行されている。
     ダイオードには、もうちょっぴりだけ秘密があるようなのだが、これは明らかにされるのだろうか?
     あまり間を開けずに読んでみたいと思っている。

  • 百合SFという触れ込みで売り出されていたけど、これ正しくはフェミニズムSFだよね。過酷な環境でより制度化された家父長制、シスターフッドで連帯した女の子たちがこれに反旗を翻してゆくのかなーと思いきやそう単純でないのがいい。本作のラスボスは重力と大気で、中心に引き付け捉えようとする権力で、落下イゴール死という秩序を形成している。のでこいつからの離脱、外に飛び出してゆく戦いになるのかと思いきやそうではなく最も中心にいる存在に救われてしまったり。
    著者の企ては、家父長性vsシスターフッドのようなシンプルな二項対立を巧妙に避けつつ、第3の選択肢を探す試みのように思える。第4波フェミニズムはクソみたいにつまらない教条主義になっちゃって悲しいなーって思ってたけど、見て見てこんな隅っこの方ですごくいい形の芽を生やしていたよ。。。続編にも期待!!!

  • 元々は読み切りだったらしいけどそちらは未読。

    遠未来の人類が太陽系外へと進出した時代を描きつつも、生き延びるために旧態依然とした家父長制が根強く残り、連綿と続いた船団を舞台にしたガール・ミーツ・ガール。

    SFらしい味付けはあるものの、主軸は主人公二人の関係性という感じ。

    続き物の始まりみたいだなぁと思っていたらどうやら続編を執筆中らしい。
    楽しみ。

  • 読んだ。
    百合SFアンソロジー「アステリズムに花束を」に収録されていた作品を1冊の単行本になるまで広げた、という感じ。旧来の家父長制やジェンダー観が強い世界の中で女の子のカップルが抗い続けて、自立していくという割とストーリー的にはわかりやすい感じ。テラさん、ダイさんの二人ともがキャラクター的に非常に魅力的。

    表紙イラストを描いている望月けい氏のファンアート?を見たら、より脳内映像の保管になるとイメージをよりクリアにすることができた、ように感じる。
    https://twitter.com/key_999/status/1240252909234696194

  • ツインスター・サイクロン・ランナウェイ (ハヤカワ文庫JA) Kindle版 天冥の標 合本版を読了した直後だけに、内容も量も良い意味で軽量級。読後感も軽快で良かった。

  • 骨太なSFというよりはライトノベルに近い読了感。
    百合宇宙漁師の始まりの物語という感じがした。

    めちゃくちゃ久しぶりに小説を読んだのだけれども、こじんまりと世界観が閉じているような感じがした。
    6000年後の世界という舞台設定がなんだか軽く感じてしまったなぁ。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川一水の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×