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感想・レビュー・書評
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単行本として発行されたのは、昭和49年4月。文庫となったのが、昭和54年4月、私は文庫版を読んだ。当時の将棋界のあれやこれやについて書かれたものであるが、文庫化にあたっては、状況のアップデートがなされているようだ。
昭和54年は1979年だから、今から42年前のこと。本書には多くの棋士が登場するが、当然、1979年当時にプロ棋士だった人たちであり、殆どの棋士は既に引退されているし、中には亡くなられている方もいる。本書の登場人物で、1人だけ、今でも現役のプロ棋士を見つけた。谷川浩司九段だ。
谷川九段は、1962年4月生まれ。プロ棋士になったのが、1976年12月なので、14歳、中学生の時。プロ棋士になるには、プロ棋士を養成する奨励会の三段リーグでの闘いを勝ち抜いて来なければならない。これまで、中学生で棋士になれたのは、5人だけ。谷川九段以外は、加藤一二三、羽生善治、渡辺明、藤井聡太。いずれもタイトルを取ったことのある、トップ棋士だ。
話を谷川九段に戻すと、プロ棋士になったのが1976年12月なので、44年が経過している。さすがに最近はタイトル戦に登場することはなくなったが、それでも、プロの第一線で、それだけの期間、活躍するのはすごいことだと思う。
話は少し飛ぶが、最近、第一線で活躍される方の活躍期間が長くなってきている気がする。先程の中学生棋士で言えば、加藤一二三さんがプロ棋士になったのは、1954年で、谷川九段と同じく14歳の時。引退が2017年なので、なんと60年以上プロ棋士だったことになる。羽生さんがプロ棋士になったのは、1985年で15歳の時。35年間、トップ棋士の座をキープし続けられている。将棋以外でも、サッカーの三浦カズ選手など、スポーツ選手の選手寿命も長くなりつつある気がする。
節制と努力を続ければ、ずっと活躍できる、生涯を何かに向けて努力し続けられる例が沢山あることは、私のような会社の定年を数年以内に控えている者にとっては、とても勇気づけられることだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示