ハンナ・アーレント 「戦争の世紀」を生きた政治哲学者 (中公新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 彼女の名前は知っていても、「全体主義の起源」の著者であることや、アイヒマン論争というワードは知っていても、彼女がどんな人生を送ったかまでは知らなかった。思想家という存在を、どこか抽象的なものとして捉えていた自分に気付かされた。名前と思索内容とを結びつけるだけにとどまり、思想家本人を生きた人間として見る視点を、頭の隅に追いやってしまっていたようだ。「思考」「判断」という彼女の重要概念が、彼女の生き様、息遣いと共に迫ってくるように書かれていること、強い感動を覚えた。

  • アレントの生涯と思考を記す。“理解すること、考えること、その過程“を追求した人生がわかる。

  • 著作を読む前に、やはり入門書というか著者の評伝を読んだ方が理解が進むのではないかと思って読んでみて、さてこれで作品が理解できるかというとちょっと心もとないな。まあとりあえず読んでみることにしよう、という気持ちにさせてくれる本だった。

  • アーレントの生い立ちと思想を紹介した本。
    その思想の紹介から色々な知見を与え、思いを巡らせることになったという点、全体主義とはの解が自分の中で少し整理できた点では良著。

    複数の視点が存在する領域の外部にある真理は、善いものであろうと悪いものであろうと非人間的なものと断定するユダヤ人の彼女の主張は、反ユダヤを含む人種差別は憎むべき人類の悪癖ではあるが一方でユダヤの選民思想には問題ないのか?という問いの一つの回答であろう。

  • こんな人がかつて生きていた、ということに感動する。

    [今後にも生かせる学び]

    ・科学的知識は、破壊力に関わるものであろうと、創造力に関わるものであろうと、所与の人間のリアリティ、地上に複数の人々が生きる現実とは疎遠なもの。

    ・技術志向の大衆社会の中で、犠牲者を巻き込んだ全体主義体制は今後も生じうる

    ・自分の確信や感情を犠牲にして、全体主義的制度への協力を一歩踏み出してしまう

    ・必然あるいは義務として遂行されるとき、悪は悪として感じられなくなる

    ・犯罪者と犯罪の間の隔たりは、オートメーションのような技術の発展の結果である

    ・どんな悲しみでも、それを物語i変えるか、それについて物語れば、耐えられる

    ・リアリティを欠いたまま歴史が進んでいくことは人間自らの尊厳を手放すことになる

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著者プロフィール

(やの・くみこ)
1964年に生まれる。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。現在 フェリス女学院大学教授。著書『ハンナ・アーレント——「戦争の世紀」を生きた政治哲学者』(中公新書)、訳書『アーレント政治思想集成』全2巻(共訳)、アーレント『反ユダヤ主義——ユダヤ論集 1』『アイヒマン論争——ユダヤ論集 2』(共訳)、ヤング=ブルーエル『なぜアーレントが重要なのか』『ハンナ・アーレント——〈世界への愛〉の物語』(共訳、以上みすず書房)他。
*ここに掲載する略歴は本書刊行時のものです。

「2023年 『ハンナ・アーレント、あるいは政治的思考の場所 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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