はい。作り笑顔ですが、これでも精一杯仕事しています。 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 時代の変化が早い中で、心が疲れて病気になる人が多くなっている気がします。人口減少の中で、人の替わりがきかなくなっています。感情労働に支配されない心がけと、感情労働を強制しない心がけ、どちらも持って生きていかなければ、時代の変化に対応できないのだろうと考えさせられる1冊でした。

    【気づき】
    ・感情労働にあたりまえになっていることに、心が弱っていると自分ではなかなか気づけない可能性がある。家族などの回りも、異変を感じたら心配してみる。声をかけるだけでも、少しは違うかもしれない。
    ・失敗を許容する空気を作るのは簡単ではないが、部下を戦力として失うことを想定し、地道に努力できるかが重要だと思う。
    ・最善は尽くすが、完璧は求めない。これまでの日本の美徳と相反するとしても、自分の身を守るためには仕方がないと考えてみる。

    【本のハイライト】

    ・感情労働は人間の「感情」を使う。相手を特定の感情に誘導するために、自分自身の感情を制御することが求められる。素の状態と違う感情を装うためには多大なエネルギーが必要。過酷な働き方が「あたりまえ」になりつつあり、「感情行動に殺されない」ための心構えが必要。

    ●客は天国、働けば地獄
    ・感情労働に該当しない労働の方が少数派。働くすべての人に関係がある問題。
    ・SNS上でなされる口コミは、最初から店や店員にとって不利な構造になっている。今後なくなるとは考えにくい。
    ・仕事で消耗すると、本当に大切にすべき家族や恋人の前でうまく感情表現ができなくなる。

    ●職場からの謎の要求
    ・相手の気持ちを「察する」ことで成立するサービスには限界がある。「察し」を前提にしたコミュニケーションスタイルを見直すべき。
    ・職場から感情労働を減らすなら、職場内の心理的安全性を高めていけばよいが、実際に行うのは容易ではない。日々の地道な努力が必要。重要なのはリーダーの振る舞い。「失敗を許容する空気」を作る。リーダー自身がたまに失敗し、打ち明ければ効果的。

    ●感情労働に殺されないための8か条
    ①「値段相応」という価値観を働く側も身につける
    ・割に合わない待遇で嬉々として働く人がいると、感情労働をしている人たちの待遇は一向に上がらない。「プロフェッショナリズム」を身につけることにもつながる。
    ②仕事に「裁量」がどれくらいあるかをチェック
    ・仕事に「やりがい」を感じるためには、仕事にある程度の裁量も必要。自由度が少ないと「やりがい」がなくても改善ができない。
    ③追いつめられるくらいなら「逃げ」の選択もOK
    ・「逃げる」のは自分の身を守る戦術の1つ、ポジティブな意味合いもある。心や身体が壊れてしまえば、結局、周囲の人たちに価値を提供できない。心や身体を健康なまま温存できれば、他の職場で価値を提供できる。
    ④客の事情に「深入り」は厳禁
    ・必要以上の深入りを避けるためには、仕事の範囲でベストを尽くすことのみに注力する。縛りを超えて特定の個人にだけリソースを注ぎ込んでしまうと、仕事ではなくなる。すべての人を救えるのは神様だけ。自分なりの「立ち入り禁止ライン」を設定し、ルールを自分の中だけでも定めると、深入りをある程度避けられる。
    ⑤完璧な人はいない、半分できれば上出来
    ・感情労働をしている人は、最初から「報われることが保証されない」不利なゲームをしている。達成のハードルを下げることは何もおかしくない。自信を得ることにもつながり、自信があれば他の人にもさらにいいサービスを提供できるようになる。
    ⑥不満や不安は抱え込まずに言葉にする
    ・「考えないようにする」ことも「他のことを考える」ことも無理なら、悩みや不安について「しっかりと考える」。紙に書いて不満や不安を言葉にすれば、ストレスが軽減する。誰かに相談するなら、ただ話を聞いてくれるだけの人の方が適切。下手なアドバイスは避ける。
    ⑦モンスター相手に同じ次元で戦わない
    ・相手がモンスター消費者だと判明したら、絶対に相手と同じ次元に立たず、「まともな会話をしよう」という意思は捨てる。最後は警察に通報していい。
    ⑧他人の前にまずは自分を大切にしよう
    ・本当に他人のために何かをし続けたいなら、まず自分を大切にする。自分が元気だから他人のために行動できる。一時的に他人に迷惑をかけても、必ず自分を優先する。元気になれば、いつでも埋め合わせはできる。経営者は現場で働く人たちを犠牲にして成り立つビジネスをもうやめるべき。

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著者プロフィール

ブロガー。1985年生まれ。東京大学工学部卒業。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学院在学中、就職するのが嫌でWebサービスの開発をはじめ、それがきっかけとなって起業をするが、あえなく失敗。結局、嫌で嫌で仕方がなかった就職をすることになる。経営者と従業員の両方を経験したことで日本の労働の矛盾に気づき、「脱社畜ブログ」を開設。ブログはたちまち月間約50万PVの有名ブログになり、現在も日本人の働き方に関する意見を発信し続けている。著書に『脱社畜の働き方』(技術評論社)がある。

「2020年 『はい。作り笑顔ですが、これでも精一杯仕事しています。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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