- Amazon.co.jp ・電子書籍 (268ページ)
感想・レビュー・書評
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運動すれば、幸せになる。新しい自分に会える。心理学や神経科学、人類学などの最新の知見を基に、「体を動かすこと」の効用を解き明かす書籍。
人体には、人を活動的にさせる仕組みが備わっている。運動すると、脳内化学物質が活性化するため、エネルギーが湧き、人との絆が深まるなど、様々な効果が得られる。脳の炎症を抑える効果もあるため、うつ病や不安症の防止にもつながる。
200万年前の気候変動によって、森林地帯が減少し、まばらな森や広い草原が出現した。その結果、原始人のうち、長時間の狩りを耐え抜ける体をもつ者が生き残った。彼らは、狩りのために走りながら、高揚感を覚えていたと考えられる。
ランナーズハイを引き起こす脳内化学物質の1つに、「内因性カンナビノイド」がある。これは、200万年前の狩猟採集活動と同程度の運動をした時に作用すると考えられている。すなわち、「ややきつい運動」を継続することで、ハイになる。
運動に気分をよくする効果があるのは、薬物と同様、ドーパミンなどの脳内化学物質が分泌されるためだ。一方、薬物と違い、運動に夢中になるまでには時間がかかる。新しい運動習慣を定着させるには、週3回の運動を6週間は継続する必要がある。
安静時でも、人の脳は安静状態にはなく、記憶や言語、感情など、多くのシステムが活性化している。このような状態を「デフォルト」といい、人間の脳は放っておくと、将来のことや人間関係などについてしつこく考えてしまう。
脳のデフォルト状態には「ネガティブ・バイアス」(過去のつらい経験を何度も思い出す、自己批判を繰り返すなど)がある。その鎮静化の方法としては、瞑想が効果的である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ランナーズハイの科学的な裏付け、音楽と運動と脳科学、運動が人々のメンタルに与える影響、なぜ人は過酷な運動に挑戦するのかなど。
運動好きな著者がなぜこんなに運動は楽しいのかを突きめていった結果、単なる気分の問題ではなく科学的に効果があることが証明される。運動、特に大勢の人と一緒に体を動かすことは人々の心のつながりにも効果があり人生をポジティブに捉えることができるようになるそうだ。
ランニングや登山などただしんどいだけのスポーツになぜ夢中になる人が多いのかが少しわかった気がする。しかし全ての人がスポーツをすることで幸せになれるという論は楽観的にすぎるのではないか。 -
人生を変える運動とは?
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著者のシリーズは毎回見ていて、この度新刊を発見したので購入した。
これまでのスタンフォード式の2冊ではあまり触れていなかった印象があったが、今回はガッツリ運動をすることが与える心理的影響に触れている。本を読んで、今まで何となくそうかもなと思っていたことが、実際に影響があるのだと実感させられる点が多かった。
実験の話もあるが、結構精神的な話が多いので、前2作よりちょっと読み進めるのにエネルギーを要した。