- Amazon.co.jp ・電子書籍 (137ページ)
感想・レビュー・書評
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素朴な一言で感想を表すのは恐縮だが、示唆に富んでいた。
特に、後半のリオタールに欠けている要素をウィトゲンシュタインを引きながら説明し、その上でリオタールをどう読み解くか(未だ実現され得ないパラロジックな世界を切望する)という話と、近代を「大きな物語」、ポストモダンを「データベース」と捉える方法には非常に腑に落ちるものがあった。まさに今は「誤配」が必要な時代であろうと思う。
東氏の深いコンテクストを平易で一般大衆に伝わりやすい言葉を用いて説明するスタンスにも感銘を受けた。
また、巻末の安天氏の寄稿において、韓国の近現代思想史や、柄谷行人がいかに日本の代表的な思想家として韓国の人文学界隈で受け入れられてきたかを知ることができたのも大きい。今後、隣国の事情を知ることは相互により必要だろうと考えさせられた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
講演の方は、ですます調でないこともあって久しぶりに昔のスタイルの東浩紀の文章を読んだ気になった。
リオタールの『ポスト・モダンの条件』から出発して現代社会を要約してみせ、他の哲学者や自著にも繋げていくさまは文章のテンポが良くて読んでいて楽しい。
リオタールの『ポスト・モダンの条件』を読み替えて現代社会を描写しているが、それがまたよく今の社会状況を言語化していて興味深い。
インタビューは、東浩紀の仕事を予め知っていないと面白さがわかりにくいかもしれないが、講演原稿はそれ単独でも(講演向けなので当然だが)面白く読めるのではないかと思うし、それだけでも十二分にこの本を読む価値はある。