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感想・レビュー・書評
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教養とは「社会の担い手であることを自覚し,公共圏における議論を通じて,未来へ向けて社会を改善し存続させようとする存在」であるために必要な素養・能力(市民的器量)であり,また,己に「規矩」を課すことによってそうした素養・能力を持つ人格へと自己形成するための過程を意味する。
含まれる素養・能力
①大きな座標系に位置づけられ,互いに関連付けられた豊かな知識。さりとて既存の知識を絶対視はしない健全な懐疑。
②より大きな価値基準に照らして自己を相対化し,必要であれば自分の意見を変えることを厭わない闊達さ。公共圏と私生活圏のバランスをとる柔軟性。
③答えの見つからない状態に対する耐性。見通しのきかない中でも,少しでもよい方向に社会を変化させることができると信じ,その方向に向かって①②を用いて努力し続けるしたたかな楽天性とコミットメント。
こりゃ,マジョリティにはむりやね。。。
批判的思考と論理的思考についての考察は傍論だけど重要。
批判的思考(クリティカル・シンキング)
=自分で自分の思考にツッコミを入れること。
論理的コミュニケーショとは,証拠で主張をサポートすることによりお互い合意に至ることを目的とするコミュニケーション。
論証=根拠/証拠+主張+サポート関係
①使われている根拠がすべて正しいと同意されること。
②根拠が主張を十分にサポートしていると同意されること。
によって論理的コミュニケーションが成功する。
現代(記号)論理学は演繹(=真理保存的)推論の科学であり,非演繹的論証(例えばアブダクション)についての学問ではない。そちらは論理的思考方法として語られるが百家争鳴状態。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読書家の皆さんを肯定してくれるパワフルかつユーモアあふれる一冊。出だしがガタついた語りなのだが納得の切り口もりだくさん。表紙を裏切る面白い本、息抜きに読むべし。
ラストは大学のありかたを問いかけるもの。ともあれひとを教養するのは自己自身。無駄な勉強が自己を育てることがある。 -
だらだらと記述が長たらしい。
やや説得力に欠ける。 -
大学教員の多くが「必要だけど正面切って話すのは難しいし、何より恥ずかしい」と気おくれする教養論。その全貌を戸田山先生が(大いなる自己犠牲を払って)素描してくれた、とても貴重な書。これからは、学生に「これ読んでおきなさい」と指示すれば済む(かも)。なんてすばらしい! 一番いいのは、一握りのエリート学生に限定せず、大学で学ぶ学生にひろく通用する内容になっていること。戸田山先生ありがとう!
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戸田山和久(2020)『教養の書 』#筑摩書房 は、
私の読書の夏の期間中最強本になるでしょう。なぜ最強かって、それは読んでからのお楽しみなのだが、教養の幅広さを正面から受け止めた本書は、「知識、知識+α=教養、人間の認知の歪み、学問の歴史、論理学、文章作成術、大学の歴史とあり方など…」をカバーしている。まさに学生のためのバイブルなのだ。
回りくどい感はあれど、それも狙いの上だと思えば素晴らしく良く書けていて、はっきりいって感動的。「高校3年生~大学1年生」の期間にこの本を読むチャンスがあることが「超羨ましい