マンガ 認知症 (ちくま新書) [Kindle]

  • 筑摩書房
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感想・レビュー・書評

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  • 自身の家族と少し似ていたので、読み進めると苦しくなる所があり、安全な感じのするカフェなどでゆっくり読みました。

    マンガがたくさん入っているので読みやすく、困っていることから、ポイントをしぼって読むことも出来て、いい本だなと感じました。

    難しい祖母がいたのですが、今思うと、こういう状態だったのかなと、少し理解が出来た気がします。

  • 帯に一番売れた認知症の本とあるのはうそではない。項目ごとのマンガの後に大きな文字で解説が簡単に書かれている。素早く読めてよく理解できる本である。
     祖父母の理解、親の理解のために、教育に関わる学生に薦められるほんである。介護をしている児童生徒の理解のためにも。

  • 最近、人の名前が思い出せなかったりしたり、母が自分が認知症ではないかと言っていたので、とりあえず、マンガで勉強。覚えられないのが認知症で、思い出せないのは老化だと。本書では、認知症が進んだ方の事例を通して、認知症の症状、対応などが学べる。「認知症」は「症」で「病」ではないということも発見。

  • 分かりやすく丁寧な本。
    老化現象
    歩くのが不自由になる→尿失禁→食べられなくなる

    認知症、まず嗅覚が衰える。弄便(ろうべん)などの問題行動が起きる

    老化は「思い出せない」
    認知症は「(直近のことが)覚えられない」

    人が同時並行してできる作業は一般成人で3~4
    高齢者は2つ、認知症の人は1つまで

    鏡に映った自分が自分と分からない。

    祖母、ばばルの介護、母ル、筆者。
    ばばルはラストで介護施設へ

  • ふむ

  • 認知症についての心理学的説明+マンガでの事例呈示
    マンガでの事例+心理学的解説かな

    病気ではないというのが印象的。特効薬があるわけではない,認知機能の低下(幼児や乳児のレベルになっていく)。認知機能の低下による自分や世界が分からなくなることによる混乱。認知症の人の視点に立つことで,代表的な事例(徘徊,同じ事を繰り返しする,感情の起伏の増大,等)の背景を知り,対処法の工夫を考えられる。

    遂行(実行)機能=抑制機能が人間らしさを支えていることを再確認。日常生活の中で抑制機能を鍛えることができるか。いや,極めてちゃんとしていた人も認知症になるから期待薄だな。

    人生は焚き火か。小さく燃え始め,火の勢いよく上がり,やがて火が小さくなり,そして灰になっていく。

  • ツイッターで見かけ、気になり読んだ本です。

    認知症の婆ルと生活していく中で色々起きてくる謎な症状や行動。それらにはちゃんと理由があって。という所からアルツハイマー型認知症についての理解が深められる一冊です。ニコ・ニコルソンさんの漫画部分と、サトー先生の解説部分があって両方が車輪の様に私の頭の中で認知症への知識を付けて行ってくださった本です。

    徘徊は当てもなく歩いているのではなくて、目的がある。それを途中で忘れてしまう。目的までの生き方を忘れてしまう。と言うのを読んで、何かがすとんと心に落ちました。
    あと「帰りたい」は記憶の中の一番安心する場所に帰り隊である事。
    これを読んで、私は両親が認知症になったら「どこへ」帰りたいというのだろう。ととても思いました。両親の子供の頃の話や、若いころの話は酒の席で色々聞いています。父ならばくろうの家で育って、進学してボートに夢中になったとか、その後大学で東京に出てきて社長のボンボンのガードマンになったとか、社会人になった後の色んな話を。母なら、炭鉱の町で育って、16から夜の街をふらついていたとか、マンション貢がれそうになったとか、猫をたくさん飼っていたとか。
    一番安心できていたのはいつだったのだろう。でも、その安心できる場所は本人の記憶の中にしかない。というのが切なかったです。

    認知症、病院で言うと精神科が適応になるかと思うのですが、何点か他の精神疾患と近しい所もあるなぁと思いました。感情を抑えることが難しくなるとか、夕暮れ時に不安定になるとか、注意力の低下とか。
    私自身精神疾患をもっているのですが、なんとなく分かる点もあって、似てる。と思いました。

    認知症、少し前まで痴呆と言ってとても怖いイメージがあったのですが、今回この本を読んで知識を持てたので、怖さが軽減されました。本編にも出てきますが不安や怖さの根源は「分からない」なんだな。と実感もしました。分かるだけでこんなに怖さが減るのですから。

  • 読書の動機としては、両親が高齢になるにつれ今後はいずれ認知症になることも十分考えられること、将来的にはわたし自身も他人事ではないであろうといった予習目的がひとつと、ほかに前々からあった認知症の人の心のあり方への興味も手伝ってこの著書を手に取りました。

    漫画家のニコルソン氏と老年行動学の専門家である佐藤氏による共著である本書は、序章と番外編も含めると12に分けられた各章において、「同じことを何度も聞いてくるのはなぜ?」「突然怒りだすのはどうして?」「排泄を失敗してしまうのはなぜ?」といったふうに認知症の具体的な症状についての問いがひとつずつ立てられており、ニコ氏によるマンガと老年行動学の専門家である佐藤氏による著述部分が交互に掲載されています。

    各章前半のマンガでは認知症である著者の祖母、主に祖母の介護を担当している著者の母、著者ニコからなるニコルソン家女性3代、そして疑問に応対する先生としての佐藤氏を合わせての4人が登場し、著者の祖母を実例として認知症におけるさまざまな症状と介護者の悩みを挙げながら佐藤先生がこれに対して症状の心理、理由と対処例を示すといったパターンが繰り返されます。その後に各章ごと箇条書きで三点の対処法・改善案を挟んだあとに後半では佐藤氏の著述による詳細な解説と補足がなされるといった構成を取っています。マンガと著述のパート分量としてはおおよそ半々です。

    マンガパートは基本的に一話完結ですが、終盤には佐藤氏の過去のエピソードやニコ家の介護の在り方に変化が訪れるなど、少し流れが変わります。ニコ氏のデフォルメされた、かなりソフトな画風のため一見ほのぼのしているのですが、通して読むとやはり実際の介護はかなり過酷であることが伝わるようにつくられています。

    佐藤氏の認知症に対する向き合い方は「認知症の人がなぜこういう行動をとるか?」を知ることであり、症状の理由を知ることで認知症の人と介護者の不安を軽減し、心の安らぎが得られることを目的としています。そのために各章での箇条書き対処法一覧とも併せて「メモ書きを活用する」「賞賛などによる快刺激」「正面から話しかける」「笑顔で応対する」「会話をする/(たいていは自慢話である)話を聞く」「簡単な作業を手伝ってもらい、こまめにありがとうを言う」といったように認知症の人の不安を考慮し、安心感を抱かせるための具体的で細やかな工夫が示されます。

    多くの認知症介護者にとって悩ましい点であろう、認知症の親を施設に預けるべきか否かという問題についても、「排泄(や食べ物でないものを食べる異食)の問題が出てくると、自宅介護は困難になる」として、これが施設を利用するかについてひとつの判断基準となることを明らかにしています。これには認知症の人にとっても排泄の対応などは第三者のほうが気楽であるということも関係しています。佐藤氏は献身的な介護者ほど他者に頼ることを躊躇する傾向にある点を指し、過酷な認知症介護では堂々と第三者に助けを求めるべきであり、「外部サービスを利用することに罪悪感をもつ必要はない」として介護者の罪の意識に考慮したうえで後押しをしています。

    認知症の人と介護者のためにつくられた本書ですが、「認知症の人の特徴は人のありようと深くつながっている」「認知症の人は基本的に孤独の中で生きている」「認知症の人の言葉にはその人の人生が現れる」といったように認知症の人の心を通して人のありようが鮮明になっているようにも感じました。

    なかでもとくに印象的だったのは「プライド」についての考察です。「人間は自己否定につながることは素直に認められない」、「自分の能力の低下に向き合うことは難しい」がために、理解できないことを「とりつくろう」ために押し売りに引っかかってしまったり、プライドを守るために他者を攻撃してしまったり、排泄の問題を受け入れられなかったりと、プライドに関わる根深い問題が介護をより難しいものにしています。そしてプライドの問題は認知症の人に限らず、佐藤氏が「老いはプライドとの闘い」と記すとおりほぼ全てのひとにとって避けられないものでしょう。それが認知症を通すことでプライドというものが人の心のなかでいかに重要な位置を占めているかが露わにされており、他者のプライド・自身のプライドとの向き合い方を再考させられます。

    上記のような個人的な所感もありますが、介護者と研究者がタッグを組むことで生まれたこの共著は基本的に認知症の人と介護者に寄り添うためにつくられたものでしょう。本書が必要とされる認知症の人々や介護者たちのもとに届き、その不安や悩みが和らげることを願います。

  • ■年を取ればだれでも有効視野が狭くなる
    ・目に入る範囲は「周辺視野」
    ・「周辺視野」の中で注意を向けることができる範囲が「有効視野」(集中度や状況で見える範囲が異なる)
    ・対象がはっきりしている部分は「中心視野」
    ■「注意」は大きく分けて4つ
    ・「焦点的注意」:特定の対象に意識を集中させること
    ・「持続的注意」:何かに注意を向けた状態を続けること
    ・「選択的注意」:様々な情報から何かを選んで注意を向けること(それ以外を抑制すること)
    ・「分割的注意」複数の物事に同時に注意を向けること
    ■わかっているのに間違った行動をしてしまう「スリップ」は「ラプス(記憶違いによる手順の間違いや、し忘れ)」「ミステイク(計画自体の間違い)」と並んで加齢とはあまり関係ない一般的なヒューマンエラーとされている。
    ・アクセルからブレーキにうまく注意を切り替えることができないのも「スリップ」
    ■認知症が進行すると比較的良好に保たれている長期記憶も失われていくが、その際は新しい記憶から古い記憶へと遡って失われていく。これを「記憶の逆進性」という。
    ・認知症にとても多い「帰宅願望」という症状では本人が帰りたいと思っている家がいつの時期の家を指すか分からない
    ■「見当識」は「時間の見当識」「場所の見当識」「人の見当識」の3つに分けられる。
    ・(アルツハイマー型認知症の初期)「時間の見当識障害」:今がいつか分からなくなり、今の季節や時間が分からなくなったり遠い過去のことを現在のことと思ってしまう
    ・(中期)「場所の見当識障害」:今どこにいるのかが分からなくなり、よく知っている場所で迷子になったり家に帰るといって知らない道を行ってしまう
    ・(後期)「人の見当識障害」:目の前の人が誰なのか分からなくなり、一緒に暮らす家族が分からなかったり病状が進行すると自分が兄弟姉妹や子供と入れ替わることもある
    ■人間関係の「衡平理論」(経済学の理論)
    ・人と人との関係を「ギブアンドテイク」で捉えるようになったのが心理学の衡平理論
    ・片方が尽くしているばかりの関係は成り立たない
    ・例えば自分が仕事に対して使っている時間や努力と会社が自分に支払っている報酬を他人の場合と比較して正当でないと感じる場合(不衡平感)、人は衡平性を感じるように行動する
    ・人の心が一筋縄ではいかないのが尽くされる側の心に「負い目」が生まれること。例えば、お金を貸した側は強くなり借りた側は弱くなる(借りた方の気持ちを「心理的負債感」と呼ぶ)

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