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感想・レビュー・書評
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第一章からの各章の冒頭は日本の昔話から始まります。
そして具体的な事柄が引き合いに出されてお話は進むのですが、マクドナルド、カイジ、グレタさん、ホリエモン、AI、コロナとテレワーク…引用されている事柄が最近の出来事が多いので楽しく読めます。
そこから、マーケの分析的な理論が語られるのですが、心理学用語とか行動経済学やら何々バイアスという言葉が出てくるあたりで数段階、難易度があがりますので予備知識が無いと困難。
何度か繰り返し読みたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
悪とは、煩悩を代表する人間のダークサイドのこと。これを無視しては、人の本質は掴めず、データに踊らされる!
正論やよそゆきのアンケート回答を当てにすると、痛い目見るよというお告げあり。
よくある(ありすぎる)バイアス紹介本みたいになってるところがすこしざんねん。。
仏教に軸足を置いた本。
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マーケティングの本は、ためになることを書いてあると思っていた。しかし、これまでのマーケティングの本は、建前のことばかりが書いてあった。本書はマーケティングの「本音」を書いているので、参考になった。まさに、ニンゲンは、愚かな生き物である。自分を見ていても、そう感じる。愚か者だからこそ、生きている価値がある。善き人ばかりの社会ってつまらない。
著者は、佛教大学出身という立場から、仏教の視点から行動経済学を説くのもユニークだ。
「ヒット商品には必ず悪の顔がある」
マクドナルドが、「ヘルシーなハンバーガーがないので行かない」という意見を聞いた商品開発のメンバーは、「サラダマック」を販売した。結果としてほとんど売れなかった。
なぜ、サラダマックは売れなかったのか?
著者は「データは事実ですが、真実とは限りません。消費者は少しでも自分をよく見せたいという願望から、きれいなウソをついているのだ。つまり、消費者の本心を見抜くべきだ。洞察力が大切だ」という。結局は、世の中の流行に乗って、本心ではなく建前で言っているのだ。
「不健康かもしれないけど、脂っこくてジューシーな高カロリーのハンバーガーをガブっと食らいつきたい」という本音がある。サラダマックの失敗の上に、ギガマックを出したら、売れた。
背徳感を感じながら、つい食べてしまう。いけないことをするから故に、たまらなく美味しい。ふーむ。人間は、本音より、欲望に従順なのだ。ニンゲンは、合理的ではないのだ。
意思決定に「歪み(バイアス)」が生じていることを行動経済学で分析する。なるほど。なるほど。ニンゲンが満腹感を感じるのが、400gだという。吉野家の牛丼は並もりが350g。うまく設計してある。著者はいう「健康にいいのは腹八分。しかし、腹八分では満足できない」つまり、間食に手を出してしまう。腹八分で、ポテチを食べていれば、世話ない。腹八分では熱狂できないのだ。
糖質制限って、随分前に流行って、日本では定着してきている。私も中国では糖質制限をした。なぜなら、ごはんが美味しくないので簡単にできた。しかし、日本に戻ってきて感じたのは、「ごはんが美味しいのだ」結局、一度日本のご飯を食べたら、糖質制限なぞどうでも良くなる。美味しいご飯を満足するほど食べたいのだ。また糖質制限をとなえているから、余計ごはんが美味しい。背徳感ほど魅惑的な食事はない。
食べ放題は、1958年8月に帝国ホテルのレストランでバイキングが始まり。なぜバイキングが流行るのか。もっと欲しいという悪魔の囁きが耳もとで囁くのだ。そして、元をとろうと必死に食べる。「いっぱい食べれば元が取れるかもしれないという仮説が、食べなかったら損をするという「損失回避」「サンクコストの誤謬」にあるという。ニンゲンは損をしたくない生き物だ。それをうまく利用する。結局、満腹になればアガリなのだ。胃袋の体積は限られている。そこにどれだけ埋め込むかのゲームなのだ。損をしたくないという心理は、いろいろな局面で働く。
1000円の化粧品と10000万円の化粧品。どちらが美しくなるか?当然高い化粧品が美しいと思える。損をしたくないというミエが突き動かしている。原材料の原価はそんなに差異はない。化粧品の瓶とパッケージとたくさんのテレビ広告代が、価格を押し上げているのだ。
不満からヒット商品が生まれた時代があった。しかし、今大ヒット商品が生まれないのは、不満が見えなくなっているからだという。Newspickが流行るのは、「意識高い系」と思われることに満足する。夕刊フジや東京スポーツよりもニッケイの方がビジネスマンらしく見えるという巧みな操作がされているのだ。
不満から怒りへのマーケティング。「結局都合のいい結論」をどう作るのかというストーリー販売戦略が生まれているのは、不満が見えなくなっているから、ハッピイな状態を想起させる物語作りなのだ。炎上、男女差別、地球温暖化などが起こっているが現状安定がオトナの正しい選び方だ。
ホリエモンの書籍分析も面白い。ホリエモンがよく使う言葉をひろうと①否定語の「ない」。例えば、「嫌われることを恐れない突破力」「バカにめぐむ時間はない」②稼ぐ。③「バカ」だそうだ。
仕事、人生、幸福という世の中の風潮に、否定して、稼ぐことに全力をあげる、バカになるというホリエモンストーリーなのだ。キレイゴトでない本音を語ることに頭抜けていると著者は評価する。
確かに、ホリエモンのふてぶてしさと切り込み方は復活した感がある。イーロンマスクの得体の知れないアホさは、なんとなく時代が求めている。ベンツ、プリウス、ステラ。並べてみて、やはりステラの方がカッコ良さそうだ。そこには、バランス理論がうまく働く。
「好きの反対は嫌いではなく無関心である」今のマーケティングの中心は、好き嫌いではなく、無関心に切り込んでいることだ。無関心に共感を呼び起こすには、人間の悪の部分をうまくひきづり出すことから、始まる。ニンゲンは信じたいものしか信じない。
ニンゲンは煩悩から逃れようとする。仏教においては、根本煩悩である貪(欲望),瞋(怒り),痴(愚かさ),慢(怠惰),疑(不信),悪見(偏見)が悪である。それを打ち消す善、六波羅蜜である布施(ほどこす)、忍辱(耐え忍ぶ)、知恵(修養)、精進(努力)、持戒(道徳規範)、禅定(集中)が対応する。煩悩である悪をいかに楽しむか。そして、善である行為によって、救われるか?悪が善に勝つという経験をたくさんしてきた。朝からキンと冷えたビールを飲むことは、なんとうまく、魅惑的な日がおくれそうな予感がする。クズやちょいワルが活躍する。
悪魔の誘いを潜ませた商品ほどヒットする。ふーむ。おもしろい。
#松本健太郎 #行動経済学 -
人の行動のクセや傾向について学べる本。
人は常に合理的だったり、正しい行動をするわけではない。
統計やアンケートで調べるよりも、人の心理をもとに予測してマーケティングなどに活かす方がコスパがいいという部分が印象的。 -
具体例が分かりやすく、これから行動経済学を学ぶ人にオススメです。
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行動経済学の基本が非常にわかりやすい。人間のダークサイド。
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行動経済学やらデータサイエンスやら。
タイトル買いしましたが珍しい内容ではなかった気がします。学びは間違いなくありますし、良い内容だったのですが。
なぜ人が非合理的な行動を取るのかに焦点を当てて、短い章で展開してくださっています。 -
小樽商科大学附属図書館蔵書検索OPAC
https://webopac.ih.otaru-uc.ac.jp/opac/opac_link/bibid/BB10302113
話題のデータサイエンティストが解き明かしたヒットの裏の「悪魔の法則」‥人間の50%はクズである!ヒットの秘訣は背徳感にあり!?何故「天使的な美味しさ」より「悪魔的な美味しさ」の方が魅力的なのか?読んだら分かります。この本、圧倒的に面白い! -
最近の話題が行動経済学の視点で解説されて分かりやすい。