核のボタン 新たな核開発競争とトルーマンからトランプまでの大統領権力 [Kindle]

  • 朝日新聞出版
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  • 【読書・勉強】核のボタン 新たな核開発競争とトルーマンからトランプまでの大統領権力 / ウィリアム・ペリー, トム・コリーナ/ 20201204 (31/829)/ <336/130707>
    ◆きっかけ
    日経書評

    ◆感想
    ・核の発射は大統領の専権事項と警報下がポイント。前者は、人間である以上、誤判断があっても止められないし、後者は実際に誤警報による反撃体制を取ろうとしたことが何度かあったようで空恐ろしい。。。
    ・以上の2つの理由から著者(一人は元国防長官)は「核ボタン」の解除という非常にシンプルな提言するが、その実現への道のりもまた容易ではないのも分かった。

    ◆引用

    ===qte===
    核のボタン ウィリアム・J・ペリー、トム・Z・コリーナ著 米大統領権力の危うさ指摘
    2020/10/3付日本経済新聞 朝刊
    アメリカ大統領は、外交・安全保障では内政より大きな影響力を行使できる。その象徴が「核のボタン」を一人で押せること、すなわち核兵器の使用命令を大統領が専権的に下せることだ。本書のタイトルはこのことに由来する。

    しかし、核使用のように過ちが許されない事柄を、大統領の専権に委ねるのは極めて危険だと、著者たちは指摘する。

    大統領は、他国の行動についての誤情報に基づいて決断を迫られる場合がある。また、他国からの攻撃が始まったという警報下での反撃には、極めて短い時間で決断せねばならないが、性格や飲酒の影響を受ける恐れがある。

    専権の危険性をさらに高めるのは、核兵器が依然として多すぎる上に、アメリカが先制攻撃に使わないことや警報下では使わないことを明言しないからだという。そのために、高額で効果に乏しい大陸間弾道ミサイル(ICBM)の更新なども続けねばならない。

    国防長官などの要職も歴任した軍事技術開発の重鎮と、核不拡散など安全保障問題の専門家の共著である本書は、豊富な実例とデータなどに基づく分析により、核兵器がアメリカにもたらす危険性と費用が便益を大きく上回ることを説得的に論じる。

    それゆえに、非人道的で壮大な無駄がなぜ続くのか、という疑問も生じる。必ずしも体系的にではないが、本書が言及する理由の一つは他国との関係である。ロシアなど他の核保有国は合意を守らず、日本を含む同盟国からの「核の傘」への期待は大きい。

    もう一つの理由は、核をめぐっても政策決定がなされる以上、内政と同じ制約が作用することだ。大統領は核使用の専権を持つが、長期的な核政策を一人で決められるわけではない。軍部や議会タカ派の動向は無視できず、核兵器削減こそがアメリカの安全を高めるという説明は、多くの有権者にとって直観に反する。これらを乗り越えることは至難である。

    すべての言論が激しい党派対立に投げ込まれる感のある現在のアメリカで、本書のような冷静な議論と真摯な思いが受け入れられる可能性は低い。核兵器削減には「ボタン」を押せる大統領が主導するしかない、という主張は、著者たちの叫びのようにも響く。

    《評》京都大学教授 待鳥 聡史

    核のボタン
    著者 : ウィリアム・ペリー、トム・コリーナ
    出版 : 朝日新聞出版
    価格 : 2,530円(税込み)
    ===unqte===

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著者プロフィール

1927年生まれ。江戸時代に日本へ来航したペリー提督は5代前の伯父にあたる。ビル・クリントン政権において国防長官を務めた(1994年2月3日から1997年1月23日)。現在、スタンフォード大学教授。1947年に軍隊へ志願。入隊直後に占領地日本へ派遣され、東京滞在約2ヶ月、沖縄滞在約1年半の経験を持つ。ベトナム戦争へも従軍。

「2018年 『核戦争の瀬戸際で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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