- Amazon.co.jp ・電子書籍 (343ページ)
感想・レビュー・書評
-
同著者の『ユニクロ帝国の光と影』の続編にあたる。
前著を提訴(のちに完全敗訴)したユニクロ側が株主総会への参加を拒んだことに憤った著者が、店舗従業員としての潜入取材を決意する。違法取材を回避するるために、著者は妻と離婚・再婚して実名変更までしてアルバイト面接に臨むところに始まる。主な構成内容は、千葉・東京の三店舗における約一年間の勤務体験と、中国・カンボジアの下請け縫製企業でのブラック労働への告発で、文庫版には単行本刊行後の2017年、2019年に決行された株主総会潜入取材記が追加されている。
アルバイト勤務での潜入取材については、店舗によって印象が異なる。一店舗目は優秀な店長の存在もあって良好な人間関係のもとにある。二店舗目は休憩室が狭かったことで同僚から得られる情報が少ないと判断した著者が早々に勤務を切り上げる。ビックカメラとの合同店舗である最後の勤務となる大型店舗ビックロについては、面接の段階から高圧的な総店長の存在や、店舗規模と来客数の多さのためにトラブルが多く、本書の主旨からすれば、ある意味もっとも収穫の多い店舗となっている。各店での共通点としては、サービス残業の存在や人手不足が挙げられる。
さらに本書は海外における問題も報じ、香港の人権NGO・SACOMの活動から伝えられる中国深圳の下請け縫製工場での問題と、カンボジアの同じく下請け縫製工場における未払い残業を始めたブラック労働の実態を伝える。とくに中国人監督者が管理するカンボジア工場は、労働者への暴力や「労働者の頭脳は犬と同じ」といった信じがたい暴言までもが報告されるような、相当に悲惨な状況である。そのうえで同業のライバル企業とは乖離した、下請け企業に対するユニクロの酷薄な対応が浮き彫りになる。
ユニクロがどのような企業かを明らかにするといった主旨は前著同様で、やはり著者自らによる約一年間のユニクロ勤務の実体験によって、ユニクロの労働者を搾取する企業風土を裏書きする目的が果たされたことが主な特色だろう。また、企業内の社報や、文庫版向けに追加された章が伝える株主総会の柳井社長の言動によって、柳井氏の組織に対する独裁的な立ち位置がより印象づけられる。逆に言えば、伝わる要旨は前著からの継続で結論にも大きな変わりはないため、特別な興味がない限りは二冊ともに読む必要性はあまり感じなかった。また、本書のエッセンスである、店舗従業員としての潜入取材をもとに報じるユニクロ内部の実態も期待したほど濃厚でもなかった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ユニクロへの潜入物。著者の執念を感じた。
-
アルバイトとしての潜入記。
現場は厳しいし社長はワンマンだけど、民間企業で小売りだとこんなもんかなと思ってしまった。 -
この本を読み終えてもなお、UNIQLOの大ファンだ。
UNIQLOに行くと、いつもこの本の内容を思い出す。
この店の従業員もワンマンなトップから、無茶な要求を突きつけられているのだろうか、などと考えてしまう。 -
もうユニクロで買い物できない
-
最終章での結論、そして柳井社長への提言も的確でうんうんとうなづきながら読んでいた。名前を変えてまで潜入取材を実行する著者の執念というのもすごい。 ただ、ひとつ欠けているなと思ったのが商品を愛用している消費者の目線だ。著者はユニクロの商品を耐久性が無いし質も良くないと言うが、ファッションとしてのジーンズに耐久性を求めるのは間違っているし、海外のアパレル製品に比べるとユニクロの縫製は質も高い。そういった視点もあると更に面白かっただろう。
-
ユニクロのバイトに潜入し、実態を暴く暴露本。
ユニクロの職場や役職形態が明確に説明されており、実際にこれから就職やバイトを考えている人にはおすすめ。
ファッション業界のビジネス状況も説明