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感想・レビュー・書評
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「アフターコロナへの提言」という謳い文句が本の裏表紙に書かれているが、「アフターコロナ」のみについて書かれた本ではなく、「ウィズコロナ」の状況についての言及もあり、トピックとしてはもっと広い。
養老孟司、福岡伸一、ノア・ハラリ、ブレイディみかこ、坂本龍一、など、各界の第一人者に朝日新聞の記者がインタビューをした記事を一冊の本にまとめたもの。
コロナについて、少し真面目に考えてみようと思い、これと同じ種類の本・雑誌を何冊か買ってみた。
当たり前だけれども、「アフターコロナの世界はこうなりますよ」と明快に語っている人は誰もいない。部分的・科学的な予測は別にして、「アフターコロナの世界一般」について断定的に語る人がいたら、それは、逆に信じにくい。
各界の第一人者へのインタビューなので、全体としてみれば、すごく広い分野を扱っているし、また、考えも深いものがある。
アフターコロナの世界を「知りたい」人用の本ではない。それを「考えてみたい」人向けの本である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
朝日新聞という感じか。いま読むと懐かしく楽しそうだなとすら思う。
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2020年8月発刊の本書は、22人の論客がコロナ後の世界について語るものである。
養老孟司は、人類はウイルスを取り込んできた歴史であると言うが、福岡伸一は逆である。ウイルスは高等生物の一部が外部に飛び出したものであり、細胞がそれを再び受け入れるのが感染だと言う。
『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ(イスラエルの歴史学者)は国際協調が大切と主張する。先進国は自国の対策だけでなく、途上国の対策を支援するべきである。一つの国が感染に苦しんでいる限り、どの国も安全でいることはできないからだ。
ジャレド・ダイアモンドは今回のパンデミックは世界的なアイデンティティをもたらす可能性があると指摘する。世界市民の意識が醸成されるということだ。
(1)養老孟司
(2)福岡伸一
(3)角幡唯介
(4)五味太郎
(5)ユヴァル・ノア・ハラリ
(6)ジャレド・ダイアモンド
(7)イアン・ブレマー
(8)大澤真幸
(9)藤原辰史
(10)中島岳志
(11)藻谷浩介
(12)山本太郎
(13)伊藤隆敏
(14)ブレディみかこ
(15)斎藤環
(16)東畑開人
(17)磯野真穂
(18)荻上チキ
(19)鎌田實
(20)横尾忠則
(21)坂本龍一
(22)柚木麻子 -
p.2020/12/9
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年末年始に読んだ本
コロナについて日本・海外の売れっ子(?)物書きたちのエッセイを集めた本。
養老さんの文章は久しぶりでしたが流石の名人芸。「不要不急」にテーマを絞って自身の体験談を書いてるのが良かったです。嫁子供の「不要不急の脂肪」に笑いました。
五味太郎さんの文章は思いがけず見つけてラッキー感。相変わらずの切れ味ですね、この人のガチ教育批判は好きなんですよ。「じゃあコロナ前は良かったのか?」って、いいこといいますねえ。
他の論者たちは、国による保証が大切だ、差別を助長してはダメだ、手洗いとうがいが大事だ、みたいなどうでもいい、誰でもいえるような意見ばっかりで、全然ダメですね。 -
ブレイディみかこ氏の文章にあった「ケア階級」という言葉が印象に残った。医療、教育、介護、保育など直接に他者を介護している人々をいうそうな。それに対して「ブルシット・ジョブ(どうでもいい仕事)」が提示されて、コロナ禍において、仕事のありようについて、あれこれ考えたくなったあたり、本書を読んでの収穫かな。他、いろいろな人が書いていて、つらつらと読むにはあれこれ考える材料があったのではないかと思う。