ワイズカンパニー―知識創造から知識実践への新しいモデル [Kindle]

  • 東洋経済新報社
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感想・レビュー・書評

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  • 本の中で紹介されているフレームワーク云々よりも、仕事の本質とは何なのかに触れることができ、腹を抉られた気分。
    最近、コスパ・タイパが重視されることが多くなった気がする。もちろん効率も大事だが、泥臭い、情熱をもった個人やチームが大きなことを成し遂げる事例が豊富に掲載されていて、読んでいて爽快な気分になる場面も多かった。

    リモートワーク下の淡々と進んでいってしまいがちな仕事の進め方に対して課題感を持っている人は、読むと何かヒントがありそう。

  • 豊富なケーススタディーにもとづき、イノベーションや企業の社会責任を果たすことなど課題克服のためのノウハウ、基準、風土といったものを「知識」として、いかに企業内で知識形成され活動に退化されていくかのプロセスを検証した本。企業活動の中で体験を「共有」し、それを文書化し「表出」させ、チームや企業内で「連結」、できあがった形式知を自らのこととして浸透させる「内面化」の4つのプロセスをSECIとして定義している。
    シマノ、YKK、ヤマト運輸、ユニクロなどの事例紹介が含まれており示唆に富む。一方で、SECIを循環プロセスだと認識している企業がどこまでいるかは疑問。

  • ふんだんな事例で消化不良。時々、読み返します...。

  • イノベーションを起こし続けられる企業は一体何が他社と違うのか。各社の事例は大いに参考になるはずだ。
    著者はSECIモデルの提唱者として名を馳せた学者であるが、私としては理論よりも各社の事例集として見た方がすんなり理解出来た。
    素晴らしい企業とそうでない企業とは一体何が異なるのか?
    自転車メーカーのシマノがそんなに大きな企業とは知らなかった。
    それでも最初は小さな町工場。それが世界進出し今ではグローバルカンパニーになっている。
    ユニクロだって最初は山口県の小さな洋品店から。
    ホンダだって最初は町工場からだった。
    こうした成功事例は、創業者の力だけで成し遂げられたのだろうか。
    著者はSECIモデルが、スパイラル上に回転上昇し続けることで、企業が持続的に発展していくと説いている。
    JALについては、破綻後の経営者が稲盛氏に変わったことで大きな変化のきっかけとなったが、それでは経営者一人だけの力だったかというと、それも違う。
    その時に経営者は何を行ったのか。
    その時に従業員と周囲はどう行動したのか。
    本書内ではこれら事例と並行して、野中教授の経営理論が展開されていく。
    結局SECIモデルとは、企業内にある暗黙知をどうやって形式知化し、それらを横展開することで拡大していくかを述べている。
    拡大された横展開は、いずれ企業内の暗黙知として蓄積されていくという流れだ。
    これらの流れの中で「本質は何か」を見つけることがものすごく大事だという。
    優れた経営者は感覚的に「本質」を見抜く力に長けている。
    これは本当に同意する。やはり経営者は、見えているものが違うとしか思えない。
    当然に経営者視点というくらいだから、役職による視座の高さも影響はあるだろう。
    しかし、賢い経営者ほど、それら視座とは別次元で本質を見ているような気がするのだ。
    その辺がサラリーマン経営者と叩き上げ経営者との違いなのだろうか。
    当然一概には言えないと思うが、それではどうすれば本質を見抜けるのか?
    ここについては、具体的な方法論はない。
    日々の鍛錬としか言いようがないのかもしれない。
    しかし本書ではヒントをきちんと示している。
    「場の創出」はその一つではないだろうか。
    よい会社ほど、会話が多い。
    SECIモデルにおいても、共同化・連結化を行うためには、「場」がなければ始まらない。
    昨今は心理的安全性も言われているが、雰囲気の良い職場ほど頻繁にイノベーションが起きている。
    おそらくであるが、自分も意見を発信し、他人もそれに対して意見を言ってくれる環境というのは「本質を見つけやすい」という逆の側面があるではないだろうか。
    「正解に辿り着く」というイメージかもしれない。
    みんなで合意形成した結論は、当然に否定しにくいだろう。
    そうなると「これが本質だ」として、正解の方向に導きたくなるものなのかもしれない。
    成功するための精度が高まっていくと考えられば、これはこれで悪いことではない。
    自分たちの会社はどうだろうか。
    きちんと話し合いがされているだろうか。
    暗黙知が形式知化され、共有化されているだろうか。
    難しい話ではない。デジタル化がどれだけ進んでも、イノベーションを起こすのが人間であれば、本書は大いに参考になるだろう。
    まずは自社の足元から見直してみるべきである。
    (2022/5/8)

  • 知識創造理論を実践している企業の事例がもりだくさん。
    実例が載っているので、知識創造理論を改めて学び直すのにちょうどいい。

  • 学問を超えた理論と、著者が長年にわたって収集した多くの数多くの企業事例をもとに、イノベーションを起こしていくリーダーや企業を描き出し、デジタル時代の人間の生き方と経営を考える本となっています。
    原理原則の追求、人間力による、行動原理にフォーカスしている点が印象に残りました。

  • いい意味で、読み始める前のイメージと異なった。モデルの説明がメインかと思っていたら、人間の本質に関する記述が多い。ただ、それを理論として腹落ちしていない自分は、まだまだ精進が必要だということの裏返しかも。

  • ふむ

  • 共感経営などで著名な野中郁次郎先生の新著で、知識をどう実践していくかについて書かれています。
    野中先生の他の本『直観の経営』『流れを経営する』『構想力の方法論』もお薦めです。(じん)

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著者プロフィール

野中郁次郎
一九三五(昭和一〇)年、東京に生まれる。早稲田大学政治経済学部卒業。富士電機製造株式会社勤務ののち、カリフォルニア大学経営大学院(バークレー校)にてPh.D.取得。南山大学経営学部教授、防衛大学校社会科学教室教授、北陸先端科学技術大学院大学教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授などを歴任。一橋大学名誉教授。著書に『組織と市場』、『失敗の本質』(共著)『知識創造の経営』『アメリカ海兵隊』『戦略論の名著』(編著)などがある。

「2023年 『知的機動力の本質』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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